騎士の戦争1
『奇襲成功、全機集中砲火』
『モニターに観測情報を出します』
モニターに戦場が映し出される、そこには大群に挑むたった10機の部隊が奇襲と称した決死隊が映し出される。
『ベラっ』
『ここで奇襲しなければ女王陛下が』
『ふざけないで、あなたがそこで死んだら』
『死ぬ気はないけど、女王陛下の安全はあれに託してきたし部隊は副官に任せてある』
『あれは役に立たないわ』
大群は急な奇襲に対応できずまばらな反撃しかしてこない。そのためかそれを余裕で掻い潜り圧倒的な数に攻撃を加えていく。
『これが返答か』
『そうじゃ、妾は妾を守ろうとするものがおるまで諦めたりはせんのじゃ』
『たかがあんな少数に』
『じゃが効果的なのじゃ』
『くっ、ふざけるな囲んで潰せ、たった10機一捻りだろ』
『後50分っす』
『消耗率10%』
後50分もある。戦場はまだ遠い、遠すぎる。これが敵の狙いだったのだろう、分かっているが切羽がつまっているときは苦しすぎる。
『急いでっ』
『無理っすよ、こっちだって色々フルパワーっす』
『ならなにか落とせばいいじゃない』
『ハッチ開けてる余裕がないっす』
『後50分持たせられるか』
『そんなにか、ちょっと辛いかも』
『1機撃破されました』
『ちっ、そいつの装備を拾え後50分粘るんだ』
『了解っ』
『後50分だな、50時間じゃなくて』
『ああ50分だ、たった50分だっ』
だがその決意もむなしく、敵は体勢を整えていく、反撃が鋭くなっていく、モニタリングしてある機体状況が悪くなっていく。決意だけではどうにもならない。分かってはいる、分かっているのだがそれを見続けるのは辛すぎる、辛すぎるがモニターを切れない。
『残り40分』
『一番早い輸送部隊はまだつかないのか』
『まだです』
『くそっ』
「フェザー間に合うかな」
『間に合うよ、絶対』
「だよな、そうだよな」
『さらに1機撃破されました残り8機』
『くそっ』
『あなたの奇襲部隊は限界のようですよ、女王陛下逃げなくていいんですか』
『妾は逃げるつもりはない』
『援軍は』
『ここにいるぞっ』




