学生の戦争4
仕切り直しとなる、とは言ってみたが仕切り直しではなくただただ死ぬまでの時間が伸びただけだ。理由は簡単、もう機体はぼろぼろ、体力は尽きかけだからだ。
『うわぁ…………………………』
『サイ、更に1機』
そして最悪なことに味方は俺達2人を残して全滅してしまう。もはやこれまでだった。
『サイ後退しないと』
「どこに逃げろって言うんだよ」
そう怒鳴り返す、逃げ道と言っても逃げてる間に敵をどうにかしなければならず、そしてその敵はどうにかできる相手ではない。要は詰みと言う状態だ、そうその状態なはずなのに、仕切り直しとなり離れた機体はどちらも動かない。俺の方はもはや動かすと確実にどこかが壊れると言うくらい消耗しており、無駄に動かせる余裕はないからなのだが敵の方はわからない。わからないのであるが敵は背を向けた、まるでこちらは眼中にないかのように。少しイラつきその背中を切りつけようと動かしたのだが動かない、撃ち抜かれたわけではなかった。
『サイ足から煙』
「マジかよ」
足から煙を吹き出す、要は足の間接に備え付けられているモーターが故障してしまったのだろう、もはや歩くことさえできない。なのにだ、敵機はあさっての方向を向いている、まるでなにかを警戒するように。そして状況が動く。
『レーダーに反応、これって』
「反応っ」
レーダーに目をやる、現れた味方が急に出現した敵を即座に消すと、こちらに向かってくる。
「速い」
目の前の敵が動き出す、動き出すのだがそれより早く片腕のarmyが現れる。そのarmyに向けて敵は斬りかかるが、片腕のarmyはその腕事斬り飛ばし、流れるように敵のコックピットを斬りつける。
『作戦完了、そこのパイロット生きてますか』
聞き覚えがある声、ロノさんだ。
「はい」
『自力での帰還は』
機体をチェックするが足が完璧に死んでしまっている。
「無理です」
『そうですかなら………………了解、一時的にあなた方を特務隊傘下になれるチャンスがあります』
その言葉と共に垂直離着陸可能な輸送機、大出力が必要なために数が限られている、が降下してくる。
『死ぬかもしれませんがいきますか』
今さらな問いかけだった。
「いきます」
機体から飛び降りる、動かない機体など捨て置くしかない。後ろからフェザー機がくるので、それに拾ってもらう。
『私も』
『そうですか、なら乗り込んでください』
そうして、垂直離着陸可能な輸送機に、いや特務隊に加入する運びになった。




