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警報裏 sideN

 それは急に鳴り響く。

「ナカイ」

「シルビア女王緊急避難を」

 たまたまいた、シルビア女王にそう言いながら、執務机から拳銃を取り出す。敵襲警報であるならまず爆撃、その次に兵員を押し込む。拳銃が役に立つのは押し込まれた時なので、それまではどこかに逃げ込まないといけない。

「どこに行けばいいのじゃ」

 逃げる場所はそんなになく、敵が高高度爆撃機を使用するならもうそろそろ爆撃されるだろう。なのでせめて死ぬ確率を下げるためにやらなくてはならないのは。

「すいません」

 机の上の荷物を押しのけ、襲いかかるかのごとく覆いかぶさる。こうすればナパームや燃料気化爆弾と言った高温で焼きつくすタイプや直撃は無理でも、至近弾による負傷は防げるはずだ。ついでに爆発による視力を奪われることを避けるために目を閉じ、音によって聴覚が奪われるのを防ぐために手で耳をふさぐ。後は祈るだけだ、直撃しませんようにと、崩れませんようにと。

『あのすいません、今のはミスです』

 そう学生の声が聞こえた。

「はぁだよな」

 耳をふさぐのをやめ、目を開き、フランカを起こす。

「ナ、ナカイ怖かったのじゃ」

「はははははぁ」

 そうフランカに言われ抱き着かれる。

『すいませんナイン騎士』

 そうエムから通信が入る。

「何があったんだ」

 フランカは置いとくとして、ひとまず現状把握だ。

『情報が交錯したために、擬似敵を本物と間違え緊急に』

「まぁそれは」

『起こりえたことだったのですがすいません』

「後でその学生に報告書と、訓練内容をどうにかするしかないな」

『そうですね』

「次ロワ」

『はっ』

 次に敵側の確認をとる。

「そっちは何があった」

『オペレーターのミスで識別信号が消えました、すいませんナイン騎士』

「そうか、ならオペレーターに報告書、後で会議だ」

『了解』

 最後に味方に連絡を入れる。

「ロノ」

『撃ってないよ、偽装がうまくないから判断ついてたし』

「そうか」

『それに実弾じゃない』

 これは問題なかったようだ。

「ならエム被害確認」

『了解しました』

「ロワ、ロノは今日の実戦訓練を中止」

『『了解』』

 それだけを通達すると今度はフランカに向き合う。彼女は泣いていた。

「えっと」

「怖い怖いのじゃナカイ」

「怖いってあの時よりましだったじゃないですか」

 あの時と言うのは、ひとことで言えば革命のために彼女が消されかけた事件のことだ。

「あの時は必至じゃたし、みんながいてくれたのじゃ」

「はぁ」

 言いたいことはわかるし、彼女は子供であるので当たり前の感情なのだろう。だが乗り越えなくてはならない。

「わけでもないか」

 こんな前線にいなければいいのだし、出る必要もない。それに騒いだところで最悪気を失わせてしまえばいいだろう。俺はできないのでトワに頼むが。

「まぁなくだけ泣いてください、俺は片づけてるんで」

 そう彼女に駆け寄ったために書類をまき散らしていることの方が問題であった。まずはそれの片づけだ。

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