第3話:「ねえ、あれって……もしかして女の子の……」
プールの授業が終わった直後、校舎の2年生フロアは一気に騒然となった。
「いったい誰よ! 私たちの下着をロッカーから盗んだのは!」
怒り狂って叫んでいるのは、さっき女子生徒を囲んでいたあの3人組だった。
「絶対にあんたでしょ! 昼休みに私たちに注意したからって、こんな嫌がらせするなんて最低よ!」
先ほどいじめられていた内気な女子生徒に向かって、3人は鬼のような形相で詰め寄る。
女の子は首をブンブンと激しく横に振った。
「し、知らない……私、そんなことしてない……!」
こうなるから余計な波風は立てたくなかったんだけどね……といった表情。
その時、タイミング良く校内放送のチャイムがけたたましく鳴り響いた。
「こ、こらーっ! 誰だ勝手に放送室に入ったのは! すぐにやめなさい!」
教頭の怒鳴り声がスピーカー越しに聞こえるが、私はお構いなしにマイクの前に陣取っていた。
「あー、あー、テスト中じゃなくて全校放送でーす。ええと、みんな校庭の真ん中を見て見てー。国旗掲揚ポールに、なんかすごく面白いものが掲げてあるぞー」
全校生徒が一斉にざわめき、教室の窓から外へと視線を集中させる。
うちの学校の校庭には、国旗、市旗、そして校旗を誇らしげに掲げるための3本の高いポールがそびえ立っている。
そのてっぺんに、ヒラヒラと風に揺られていたのは――。
「ねえ、あれって……もしかして女の子の……」
「マジ? ウケるんだけど!」
「あ、あれ、私の……っ!?」
慌てて窓から外を見た例の3人組が、血の気を引かせて絶叫した。
校庭の掲揚ポールには、彼女たちの恥ずかしい下着が盛大に吊るされていたのだ。
多くの生徒たちが指を指して笑い、スマホのカメラでしっかりと撮影し始めている。
数分後、顔を真っ赤にし、怒り気味の3人が、ドタドタと荒々しい足音を立てて私の席にやってきた。
「シノ! あんたでしょ、あんな恥ずかしい真似をしたのは!」
「さあな」
「しらばっくれても……っ」
「そういえばお前ら、歯向かってきた奴にはより酷い仕打ちをするだってな。今度変な事しようものなら、もっと酷い目に遭うと思っとけよ」
「くっ……!」
私の不敵な笑みと低い声に気圧されたのか、女子生徒たちは何も言い返せず、その後、内気な生徒への嫌がらせはピタリとやんだのだった。




