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第12話:――それが、私なりの最強だ。

挿絵(By みてみん)

トキが消えていくのを見届けると、私はようやく自分の部屋のベッドに倒れ込んだ。

なぜかもらうことになったびしょ濡れのドレスはすっかり乾いているけれど、あの地下施設での冷たい空気や、肌に突き刺さるような視線の感触は、まだどこかに残っている気がした。


ふと、あの地下麻雀の役の名前を思い出す。


「国士無双」


麻雀のルールを少し調べて知った言葉だ。

その国の中で並ぶものがいないほど優れた、最高峰の存在。


だけど、今の私にしみじみと感じるのは、そんな大層な称号の重みなんかじゃない。

どんなに追い詰められても、どんなに理不尽な罠に嵌められても、自分の足で立ち、自分の手で活路を見出すこと。


他人に人生を握らせず、いつだって自分だけの「逃げ道」と「切り札」を隠し持っておくこと。


――それが、私なりの最強だ。


あんな危ない組織には二度と近づかない。

これからはまた、退屈だけど自由な日常に戻るだけ。


それでも、もしまた退屈が過ぎたり、面倒な奴らが私の日常を踏みにじろうとしたりするなら――その時はいつでも、この手で綺麗にひっくり返してやればいい。


私はベッドから起き上がり、鏡に向かって不敵に笑ってみせた。

さて、明日からはまた、いつも通りの気だるい日常の始まりだ。


(了)


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