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 聖女教育が進む中、私は侍女の仕事もすっかり要領を得て時間を持て余すようになった。なので授業中の教室の後ろで静かに控えていることにしたのだ。

 聖女向けの授業を聴けるなんてありがた過ぎる。候補者達のようにメモを取れないので、マリベルは集中力を最大限発揮して内容を逃すまいと心に刻む。

 時々、質問したくてウズウズするのだが、そんな時はビアンカ様にさりげなく「どうしてでしょうねぇ?」と振ってみる。そうするとビアンカ様が教えてくれたり、次回の授業で質問してくれたりするのだ。ビアンカ様は私が授業を聞いているせいで自分も復習になると喜んで下さった。


 聖騎士様達とも交流は進んでいて残りの2名ともご挨拶をしたが結局独身者は2名だけだった。でも聖女候補付きの聖騎士の独身者が2名というだけで、他の聖騎士様の中にはもっといるのだと平民侍女同士が共同浴場でワイワイ話しているのを聞いた。

 平民侍女はアンナさんとあと2人が平民で、子爵家の私と男爵令嬢が2人だ。男爵令嬢のお2人は学院で1年間学ばれて成績優秀者として学院より侍女候補に推薦されたらしい。


 2人の平民侍女マリカさんとサーヤさんはアンナさんのことがあって言動には慎重だ。だから聖女候補のいないお風呂で話しているのだろうけど、私も女性神官様もいるからね。大丈夫かしらと思う。


 色々あったけど、ここに来て3ヶ月が経った。聖女候補の侍女になって2年間はお休み無しかしらと覚悟をしていたが、そんなことはなく、ちゃんと週に1度、授業の休息日というのがあって、その日は聖女候補も休みなので侍女も一緒に休んでよいとのことだった。


 その休息日に公爵令嬢ソフィーナ様から私達侍女も含めてお茶会に招待された。神殿にはパーティルームも無いし、聖女候補の部屋の応接間も12人は入れないので初夏の神殿の庭園に敷物を敷いてピクニックのように用意されていた。


 神殿の庭はちょうど色取り取りのバラが見事に咲いていて、晴天の下お茶会日和だった。12人分のお茶やお菓子を用意されたのはソフィーナ様自らで、アンナさんも一緒になって朝から準備したのだそうだ。

 最初の席順はソフィーナ様とアンナさんペア、ココット様とユリアさんペア、ビアンカ様と私の6人ずつの輪で、途中から好きに座ったりバラを見に行ったりしてもいいのだという。


 因縁の組み合わせの理由は、アンナさんが自分のせいで侍女を変わらせてしまったことをお詫びしたいとの気持ちを汲んだソフィーナ様の配慮だった。

 アンナさんはソフィーナ様の元で随分と自分の行動を反省したらしい。アンナさんは見違えるように素直になり、ソフィーナ様を女神様かのように崇拝している様子が分かった。

 2人の間に一体何があったの?ときっと皆が思ったと思うけど、ビアンカ様もココット様ユリアさんも好意的に謝罪を受け入れてらっしゃったので、私も余計なことは何も言わないでおいた。

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