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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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誤字、脱字報告ありがとうございます。

特に初期の投稿は文字数に慣れておらず、おかしな改行などで読みにくい点が多い

ことをお詫びします。


 「ふーん、意外と勘が良いね」俺も本性を隠すのを止めた。

 「ほぼ正解だけど、何でか分かる?」

 「認めるの?でも何でかって、それは…公爵令嬢が殿下と私を引き離したいからとか?」

 「それが分かってて、どうして殿下達の側にいるんだい?」

 「そっそれは殿下も皆もいていいって言ってくれるし、兄もいるし?」

 「それで君は彼らの中の誰かと恋愛をできているのか?それともしたいのか?君は両親のような学院での出会いと恋愛に憧れているんだろう?」

 「そこまで知ってるの?!そう。でも分からないわ。皆、優しいけど、ちょっと違うと思ってるし。殿下は駄目だし」

 「なら俺にしたら?俺なら問題ないよ。誰も咎めない」

 「あなたに?冗談でしょう?それに私にも選ぶ権利がない?」

 「酷いな俺じゃダメなの?」俺は教室の隅で誰にも見られていない事を確認し、彼女を腕に囲う。

 「フフフッ」と笑った彼女は16歳と思えないような普段と違う表情を見せ、俺は不覚にもドキッとさせられた。

 俺達はそこから距離を縮め始めた。


 それから彼女は殿下や側近達と一緒にいるのを止め、時間があれば俺と過ごすようになった。残念なことに俺の魅力というよりも殿下や側近達の反応を見たかったみたいだ。

 その気持ちも分からないでもないが、殿下はその内、婚約者令嬢の方に気を遣い始め、彼女に戻るよう迫るのはパッとしない令息ばかりなのだと気づき始めた。だから彼女は言ってはいけない一言を言ってしまったのだ。

 「公爵令嬢に悪いから」その一言は公爵令嬢の怒りに油を注ぐ形となった。


 もう殿下達から離れるだけでは済まないだろう。必要の無い側近達と何かの罪をなすりつけられ、即刻排除されるに違いない。

 俺は彼女に言った「子爵家と兄君を危険にさらす気か?」彼女は何の事か分からないようだったが、俺が、

 「君は自分から側近達と離れたんだろう?なのに公爵令嬢のせいにしたんだよ。自分より遥かに身分が上の相手をね。しかも未来の王妃だ」

 彼女は自分のした事に気づき、初めて蒼白になった。これまではどこか大丈夫だと慢心があったのだろう。だがどんなに殿下のお気に入りだったとしても、あの公爵令嬢に敵うはずがないのだ。

 だから彼女の兄も必死だったのに。


 もうすでに王太子殿下は公爵令嬢の関心を取り戻そうと必死だ。令嬢次第では兄君の立場も危ういだろう。

 俺は早々に彼女を隣国に連れ戻ることに決めた。筆頭侯爵家なら公爵令嬢も手が出せないはずだし、隣国なら尚更手を出しにくい。できれば彼女から決断して欲しかったが、そんな暇も無い。

 

 俺は教員の宿舎で上司に報告しようとペンを取ろうとした時、彼女が泣きながら部屋になだれ込んできた。そして俺に縋る。

 「私、どうしたらいいの?お兄様に迷惑をかけるどころか、子爵家も潰されてしまうの?」

 いや子爵家は潰されないだろうな。なんせバックが筆頭侯爵家だ。だがそんな事教える必要もないだろう。

 今が彼女を落とすチャンスなのだ。


 「残された手段は一つだけだ。俺と婚約する事にして近いうちに一緒に隣国に渡るんだ」彼女は目を見開き、

 「いいわ。でもあなたは大丈夫なの?」と聞く。

 「俺は元々、君を誘惑する為に来たのだから問題ない」

 「違うわ。あなたには恋人とかいるんじゃないの?」

 「俺の心配じゃなくて自分のことだろう?まだ16歳だ。婚約は偽装でもいい。隣国で別れた事にすれば大丈夫だ」と言うと、彼女は俺の目を見て、

 「私、あなたでいいわ。これだって出会いでしょう?」と言った。

 「俺で妥協しようって?」俺は16歳の少女にムキになるなんて大人気ないなと自分でも思った。

 でも俺を選んで欲しかったんだろうな。多分、隣国に渡っても彼女を離したくないんだ。

 

 彼女は俺の首に腕を回してキスをしてきた。触れるだけのキスだ。だが、なかなかクルものがある。

 「別にいいか。あなたに恋人がいても。奪えばいいわ」とんでもない小悪魔じゃないか。

 

 俺は彼女の腰を引き寄せキスを返す。

 「俺が好きか?」

 「好きになったわ」俺はまた彼女にキスをする。

今度は恋人のキス。お互い盛り上がっちゃったんだろうな。結果は知っての通りだ。

 

 公爵令嬢にも「そこまでしなくてもいいのに」って言われたが、

 まあ良い引き際の理由になったという事で。

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