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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 現聖女は結果がすでに判っているなら彼女達の将来のために早めに何かできないか、打てる手はないのか、悩んだ末に婚約者である王弟殿下に秘密を打ち明けた。

 王弟殿下はとても賢く誠実で信頼できる人だ。愛する婚約者に相談され、王弟はまず候補者達の婚姻問題の解決が最重要課題か?と考え、誰に働きかけるべきか悩んでいた。いくつか高位貴族の情報を精査している時に、すでに水面下で動いている者達がいることに気が付いたが、それがまさに筆頭侯爵家の者達だった。


 情報が漏れている訳ではないのになぜ?筆頭侯爵家の者たちは兄と自分の教師を同じくする者達で全員がとにかく頭が切れる。

 長男のアイオットとは学院でも首席を争った仲で親友とも呼べる。当時はよく王都の侯爵邸にも遊びに行った。

 次男のライオットには兄しかいない自分にとっても弟のようで、自分の言葉で近衛になったと聞いた時は本当に嬉しかった。


 現侯爵は若くして侯爵を継いだが、決して老獪たちにも引けを取らない者だった。次期、宰相にという話もあったが、即行で断られたという。

 彼自身は表に出るよりも裏で人も物も操るタイプだったからだ。しかも彼らには側妃の件で王家と公爵家は借りがある。

 王弟は直々に侯爵家に出向き侯爵と話し合いの機会を持ったが、侯爵は「殿下はご自身の結婚にのみ心血を注がれて下さい。この件には立ち入らぬようお願い致します」と言って慇懃無礼に王弟を追い出したのだ。

 アイオットには「殿下、悪いね。父はちょっとベルのことには過敏でね」と謝られた。王弟は大神官達の中に筆頭侯爵家の息がかかった者がいてもおかしくないかと改めて思った。

 

 更にこの後、甥である王太子から初めて「叔父上、水色のベルに関わってはなりません、火傷しますよ」と警告を受けたのだった。

 王弟は彼の婚約者に「何もできなかった。申し訳ない。ただ誰も不幸にならないよう注意深く見守るよ」としか言えなかった。


 王弟は子飼いの大神官がいるのは筆頭侯爵家だけではなく、王太子の婚約者令嬢の公爵家にもいて、侯爵家だけではなく、彼女が主に動いていたのだと知る由も無かった。

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