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水色のベルと緑色のベル  作者: 朱井笑美


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 聖女候補達が大ホールでの治療に加わり始めて1ヶ月半、今は真冬で世間では風邪も流行っているが、聖女候補の物珍しさが半減し治療希望者も例年通りに落ち着いたせいもあって、候補者達にだいぶ余裕が出てきた。


 これまでは休息日には誰もベッドから出て来れなかったが、今では、またお茶会を再開する余裕もある。もう新しく覚えたり練習することもない。

 ただ聖女決定の日まで神殿のホールで治療を行い続けるだけだ。一緒に2年間学び合った同志だ。聖女が選ばれた後は再び6人で集まることはないだろう。そういう想いもあって今では6人集まってお茶をしている。結局、今のところ侍女も含めて聖騎士様と良い仲になっている人は誰もいない。


「聖女教育中に恋愛しようだなんて、今思えば安易な発想だったわ」と伯爵令嬢の1人が言う。「そうね。その通りだわ」ともう1人も深く同意していた。 

「聖女は候補の中からお告げで決まるのよね。いつお告げが降りるのかしら?」

「あと半月でとは言われてますけれどね」最近はこの話題が多い。

しかし誰も「誰が相応わしい」とかそういうことは一切言わない。

誰がなっても相応わしいし、誰が選ばれても女神様のご意志なのだ。

 女神様のご意志を我々が慮ることは無礼に値することだと、もう皆が理解している。皆様成長されましたね〜マリベルはなぜか親心で皆を見守っている。

 そんな聖女候補達を侍女も含めて遠くから見守っている人がいるとも気付かずに。


 現聖女様は神殿の温室でお茶会をしている聖女候補達を遠くから見て、フーッと溜息を吐く。実は新聖女選定のお告げはもう随分前から聖女に来ていた。

 これは大神殿にとっても前代未聞のことで、これまでは後1ヶ月を残すばかりと言われる中で、お告げがあることがほとんどだったし継承にもそう書いてあった。

 それが1年半を前にして直ぐに、聖女に女神様のお告げが降りたのだ。

 

 現聖女は夢枕に女神様が立たれ、お告げを聞いた後、飛び起き

「まさか!」と思った。ただの夢ではないのかと何度も思って、大神官を直ぐ集め夢のお告げの話をした。

 大神官達も直ぐには信じられずお告げは保留とされたが、今度は3日後に大神官達全員が同じ内容の女神様からのお告げの夢を見た。しかも「ちょっと早くてゴメンネ」とのお詫び付きだ。


 聖女も大神官達も悩んだ。早々に聖女教育を打ち切るべきなのか?しかし候補としてお預かりしているのは王太子殿下の婚約者候補でもあった高位貴族の令嬢達だ。途中で打ち切るには高位貴族達の面子に傷を付けることになるだろう。

今年は第一王子殿下も聖騎士としてお迎えしている。

大きな混乱とトラブルは避けるべきだという意見に達した。

 女神様には申し訳ないが、このまま教育と実習は続けて予定通りの時期にお告げを発表することになった。選ばれなかった候補者達には申し訳ないことをするが聖女の教育は彼女達の成長の糧になるはずだ。

 貴重な浄化や回復魔法も、覚えた魔法はお土産として持って帰ってもらえる。これらの魔法は女神様への信仰心を失わない限り死ぬまで使えるのだ。それがあるから候補者達は聖女になれなくても結婚は引くて数多なのだ。

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