表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
転生幼女は前世に極めた錬金術で、家族のQOLを爆上げします!  作者: 青空あかな


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

8/45

第8話:嫌な奴

「なんだぁ、貴様はぁ。大人の話に子どもが首を突っ込んでくるんじゃないぞぉ」

「ですから、用がないのなら出て行ってくださいと言っているのです」


 ヘラヘラするニューリッチを正面から見据えた。

 こういう輩は毅然とした態度を取らないとさらにつけ上がる。

 私の存在を知らないはずがないだろうに、知らないフリをしているのだ。

 ニューリッチは大仰に目を細めてジッと私を見る。

 と、思ったら、わざと大きな声で叫んだ。


「おやおやおや! 誰かと思ったらコモン家の貧乏娘ではないかぁ」


 ニューリッチは眉毛が八の字になるほど曲がった笑顔で私を見下す。

 よくもこんなに性悪な表情ができるものだ。


「コモン商店にどのようなご用件で来られたのでしょう。何かお探しなのですか?」

「はっ! 笑わせるな。こんな粗悪な品をワシが買うわけなかろうが!」


 何がそんなにおかしいのか、ガハハハッ! と大笑いしている。

 ふむ、どうやら出て行くつもりはないらしい。


「なるほど……用が無いのに店に居座る。出て行ってくれと言っても出て行かない。これは不退去罪に該当しますがお分かりでしょか?」

「な、なにっ」


 この街にも衛兵はちゃんといるからね。

 通報すればすぐに駆けつけてくれるだろう。

 先ほどまでの威勢の良さはどこに行ったのか、ニューリッチはたじろいでいる。 

 具体的な罪の名前を出したからだ。

 自分の行いが法的に問題だと認識すると、大抵の人間は怖気づく。

 それだけで戦意喪失してくれれば儲けもの。

 たじろぐニューリッチをよそに、父が心配そうに私を抱く。


「ル、ルー。あまり挑発してはいけないよ……どんなことをしてくるか……」

「いや、大丈夫。お父たまは私が守るから、後ろに下がってて」

「いつの間にか、こんなに逞しくなって……うっうっ……」


 泣き出してしまった父にハンカチを渡し、ニューリッチに向き直る。


「ご存じないようなのでご説明しますが、コモン商店は物を売るお店です。薬草などのクエスト必需品だけでなく、フォークやスプーンなどの日用品まで扱っています」

「そんなことは知っておるわ! ワシを馬鹿にするのか!」


 ニューリッチは威嚇するように声を張り上げる。

 経験上、自分に自信がない者ほどすぐに大声を出す。

 例によって、この人も内心は怯えているのかもしれない。


「何をお探しなのですか?」

「だから、こんな粗悪な物は買うはずがない、とさっきも言っただろ!」

「あなたは元より商品を買うつもりはない。つまり、迷惑をかけるため店に居座っている……という認識でよろしいですね?」

「ぅぐっ……」


 怒鳴るヤツに怒鳴り返しても意味がない。

 むしろ、冷静に話した方が効果がある。

 6歳の女の子に諭される中年オジサンもどうかと思うけど。

 さらに都合が良いことに、お店前に人だかりが出来ている。


「他のお客さんも入りづらいようです。このままでは威力業務妨害罪も成立しそうですが……どうしますか?」

「な、なに?」


 ニューリッチの大声を聞いて人が集まっていた。

 みな、何事かと商店を覗いている。

 実際のところ、彼らがコモン商店に用があるかはわからない。

 だけど、本当に用があるかもしれないのだから、ウソを言っているわけでもない。


「用が無いのにいつまでも居られると衛兵を呼ばねばなりませんね。それとも商品を買いますか?」


 ニューリッチは冷や汗をかきながら、うっ……とか、ぐっ……とか言っている。

 もういいから早く出て行ってよ。


「ふ、ふんっ……! まぁ、今回はこれくらいにしておいてやる」


 吐き捨てるように言うと、そそくさと出て行った。

 やれやれだぜ。

 一息吐いていたら、父にガバッ! と抱き着かれた。

 こ、今度はなに!?


「ル、ルー、大丈夫だったか!? 怪我はないか!?」

「え……う、うん、大丈夫だけど」

「ああ、よかった……お前に何かあったら私は生きていけないよ。次からはあまり無茶はしないでくれな」


 父は私の無事を確かめるように、ぎゅーっと抱きしめる。

 思った以上に心配をかけてしまったらしい。


「う、うん、ごめんなさい」

「いや、わかればいいんだよ」


 私を撫でる手はガサガサしているけれど優しさが詰まっている。

 貧乏な生活でも、父母と一緒に過ごせればそれ以上の幸せはない。


「それにしても……」


 少々しんみりしていたら、父がボソッと呟いた。


「どうしたの、お父たま」

「5歳の誕生日からルーは変わった気がするよ」


 ギクリ……と私の体が動くも、父は気づかずに話を続ける。

 そして、不意に表情が暗くなった。


「すまないなぁ、頼りない父親で」


 このしょんぼりしたセリフも家の中でよく聞いてきた。

 やはり、父はニューリッチとのいざこざを気にしているらしい。

 私も母もそんなことは思っていないのに……。


「頼りないなんて言わないで、お父たま。お父たまのおかげで、私とお母たまは楽しく生きていけてるよ」

「ありがとう。ルーはやさしいなぁ。もっと強い父親になりたいとは思っているんだけどね……」


 私を撫でる父の目に力はない。

 どこか諦めているような顔に胸がキュッとなった。


「私もルーと一緒にいられるだけで幸せさ」


 微笑む父。

 その力ない笑顔を見た瞬間、私は強く決心した。

 よし、決めた。

 錬金術を使ってこのお店も繁盛させる。

 せっかく前世の知識も経験も思い出したのだ。

 父母に少しでも恩返しする。

 ジャック一家に悪口を言われないくらい稼いでやるんだ。


「お父たま、私に任せてください」

「え? な、なにを?」

「私がこのお店を街で一番の商店にしてみせます」


 そう力強く宣言した。

 この街での商売をジャック一家が仕切っている以上、ただ毎日を過ごすだけでは何も変わらない。

 運命は自分の力で切り拓くのだ。

 しかし、宣言したら父はプルプル震え出した。

 え……こ、今度はどうしたの?


「ルー! お前はなんて良い子なんだ!」

「だ、だから、髭が……!」


 噴水のように泣いている父に抱かれながら、さっそく商品のアイデアを考える。

 どんな物を造ろうかな。

 どうせならコモン商店でしか買えないような品がいい。

 考えていたら気になることが思い浮かんだ。

 この前会ったジャックだ。

 そういえば、何かヒントになりそうなことを言っていたような……なんだっけ?

 先日の騒動を思い出す。

 なんか、ジャックはすごい自慢していたな。

 思い出せ思い出せ……。

 記憶をたどっていると、パンッ! と思い出した。


 “帝都で流行っているおもちゃだぞ。羨ましいだろ~”


 そうだ、女の子の人形を自慢してきたんだ。

 思い出したことをきっかけに、どんどんアイデアがあふれてくる。

 よし、帝都で人形が流行っているんなら、錬金術で動く人形を作ってやれ!

お忙しい中読んでくれて本当にありがとうございます

少しでも面白いと思っていただけたら、ぜひ評価とブックマークをお願いします!


評価は下にある【☆☆☆☆☆】を【★★★★★】にしていただけたら本当に嬉しいです!

ブックマークもポチッと押せば超簡単にできます。


どうぞ応援よろしくお願いします!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ