2.第24章 脱兎1
階段を駆け下り、ヤコック王、カサス、イサムナは厩舎の前にやって来た。
途中カサスは武科の衛兵達に指示を出し、全軍突撃の準備を整えさせた。
イサムナの予言通り、後方に現れた援軍の旗を目がけて一目散に突撃するのだ。
「カサス、イサムナ。」
「今までよく私を、またこの国を、支えてくれた。」
「二人には、本当に礼を言う。」
「ありがとう。」
ヤコック王が騎乗の準備をしながら言った。
「勿体ないお言葉。」
「私はこの国を支えると云う事よりも、あなたにお仕え出来た事の方がうれしい。」
「私はあなたの人柄に、惚れていたのですよ。」
武人のカサスが、優しい目で、ヤコック王を見つめた。
「その通り。」
「あなたの人々に対する優しさが、私達の励みでした。」
「あなたにお仕え出来て、幸せでした。」
イサムナも答えた。
ヤコック王が両手を二人の前に出し、二人はその手を、また両手で包み込んだ。
「必ず生きて、中原にて再起を計ろう。」
「二人共、死ぬなよ!。」
ヤコック王が言った。
「私が死んだとしても、王の命は守ります。」
カサスの言葉に、イサムナも大きくうなずいた。
三人は馬にまたがり、ポポカが鍛えたそれぞれの剣をすらりと抜いた。
カサスが矢継ぎ早に号令をかけた。
「まず弓隊は、矢を射かけろ。」
「騎馬隊は体当りして、ゴ族の陣形に穴を開けろ。」
「白兵隊は騎馬隊の造った穴へ入り込み、走り込んで、ゴ族を切り裂いて行け。」
「ただ一点、ヤコック王様をお守りし、南の援軍と合流させるのだ。」
「皆、シバルバ族の未来の為に、その命、捨ててくれ!。」
オオ――――――ッ!!!!!。
シバルバ族の衛兵達が、ときの声をあげた。
王宮の門が開かれ、弓隊が出て、大きく横に広がった。
一斉に矢が放たれる。
ゴ族からも、矢が射返される。
だがゴ族は、後方の混乱が前方に伝わり、浮足立っていた。
衛兵の騎馬隊が、ゴ族の陣形に突撃した。
手に手に剣を持った白兵隊が、それに続く。
錐をもみ込むように、ゴ族の陣形にシバルバ族の衛兵達が、深く道を造った。
「私が先陣を切る。」
「その後にヤコック王様。」
「イサムナは後方を、お守りしてくれ。」
カサスはそう言うと、馬の尻に鞭を打った。
3人は、王宮の外へと、脱兎のごとく飛び出した。




