2.第21章 対峙3
ゴンゴン。
イサムナは、ヴェールの書斎のドアをノックした。
「こんな時間に、どうしたのですか、イサムナ。」
ヴェールは、けげんそうな表情でイサムナを見つめた。
「お人払いをお願いしたいのですが、ヴェール女王様。」
「折り入ってお話ししたい事が、ございます。」
イサムナは静かに、しかしキッパリと言い切った。
二人きりになった書斎。
ヴェールは椅子に腰かけたまま、イサムナは距離を置いて立ったまま、二人は対峙した。
「あなたは、ひどいお人だ。」
「私の父を、毒殺しましたね。」
イサムナの言葉に、ヴェールの顔色が変わった。
「オールドイサムナの死について、卜占をしたのね。」
「余計な事をして、このニセ占い師め!!!。」
「世の中には知らなくて良い事もあるのに。」
「そればかりではない。」
「前女王のツインの、二人の子供。」
「そして前女王のツイン。」
「その事を悟ってしまった私の父、オールドイサムナ。」
「四人の人間を殺している。」
「そして自分の欲望のおもむくまま、今の地位を獲得した。」
「最後には暗黒神を利用して、エカリーを生贄へと導いた。」
「そして今回の事件は起きた。」
「なんて、ひどい人なのだ。」
「さすがは天下に名を知らしめる卜占科の長、イサムナね。」
「卜占によって、事の顛末を知ったという訳ね。」
「今さら昔の事を蒸し返しても、どうしようもないわ。」
「私は私の生き延びる道を考える。」
「私が生き延びる為だったら、何人死んでも構わないわ。」
「私はゴ族の族長に、取入ってやるわ。」
「私の魅力で、族長の女になるのよ。」
「そして、私がゴ族を動かしてやる。」
「こんなへんぴなシバルバ族を抜け出して、ゴ族の族長と共に、この星を征服してやるわ!!!。」
「何と!?、ゴ族の族長シャバランケは………。」
そこまで言って、イサムナは言葉を止めてしまった。
そうかヴェール女王は、ゴ族の族長シュバランケが、自分の子供だとは知らないのだ。
シュバランケがヴェールの息子だと云う事を知っているのは、ヤコック王、カサス、コアトル、それとマント族の族長フンアフプだけなのだ。
シュバランケもまた、その事を知らないのだ。
双子の王子が川に流され、ゴ族に育てられたと云う事を知っているのは、マント族だけ。
そのマント族に助けられた、フンアフプのみ知る事実だったのだ。
イサムナは、その場に立ちすくんだままになった。




