2.第18章 決死行4-4
目の前で生贄の心臓を奪われた暗黒神は、身悶えるようにその黒雲のドクロを、空いっぱいに広げていた。
グゥゲギヴゥゥェェ~~~~~~~~ㇽㇽ。
暗黒神が、大きな叫びとも、悲鳴ともとれる声を発した。
その耳をつんざく声に、集まった人々は皆、恐怖で地面にふせた。
突然ヴェールが、ヤコック王に迫って来た。
「あなた!誰でも良いから、若い娘を今すぐ殺して、心臓を差し出すのよ。」
「このままでは、暗黒神の機嫌を損ねてしまう!。」
「誰でもいいから、早く殺してっ!。」
ヤコック王は狼狽し、傍らにいたイサムナに駆け寄った。
「イサムナ!。どうしたら良い?。」
「冬至の神事の生贄は、暗黒神が指名するもの。」
「他の生贄を出したとしても、暗黒神は受け取らないでしょう。」
「エカリーの心臓で無ければ意味がない。」
「無駄な殺生をしてはいけません。」
「それにもう日が落ちてしまう。」
「暗黒神は消えてしまいます。」
イサムナのその言葉を受けて、ヤコック王は空を見上げた。
夕日の太陽が赤く燃え上がり、天空は黒雲と赤で、二色のまだらに染まっていた。
そして暗黒神の実体は、黒雲の中に溶け込んで、消えてしまった。
ポツリポツリと雨が降り出し、次第に雨足が強くなって行った。
神殿ピラミッドに集まっていた人々は皆恐怖を覚え、クモの子を散らすように、その場からいなくなっていた。
雨は激しさを増して行ったが、ヤコック王は石畳の上にひざまずいたまま雨に打たれていた。
同じように、立ったまま雨に打たれているイサムナに言った。
「イサムナの卜占は当たったな。」
「今回の神事は大凶。」
「途中で横やりが入り、中断。」
「まさか、コアトルが横やりを入れる事になるとは…。」
「いったいこれからどうなる。」
イサムナは、ヤコック王の肩にそっと手をかけた。
「我々の時代は、終りました。」
「明白神と暗黒神に管理された時代は終わった。」
「新しい時代は、あなたの息子コアトルがつくって行く。」
「神事はおしまいです。」
「さあ、部屋に戻りましょう。」
ついに行動に出たコアトル!!!。
冬至の神事に失敗したヤコック王は、シバルバ族は、どうなってしまうのか?。
シバルバ族の運命や、如何に?。




