2.第18章 決死行1
どうやってエカリーを助け出すか?。
衛兵の宿舎では、見張りが付いていて近づく事が出来ない。
部屋の前も、窓の外にも衛兵が二人いる。
生贄の為の神殿のピラミッドには、左右に衛兵達が並ぶ。
どこで、エカリーに近づけるか?。
どこで、エカリーを助け出すか?。
「冬至の神事」の当日が来た。
国中から前代未聞の、次期女王の生贄を見ようと人々が集まって来ていた。
「あんな可愛い娘を生贄に指名したのか?。」
「何と神は無慈悲なのだ。」
酒と干し肉を両手に持った人々が、上気しながら言った。
ただ今回は、ゴ族の影を恐れて、酒の量は少なかった。
またヤコック王、イサムナ、カサスは酒には手を出していなかった。
いつものように朝から楽隊の演奏が奏でられ、武科による演武、女達による舞い、各地の貢物の品評会が続けられた。
毎年のごとく行われている事々が、今年は妙にそっけなく、華やかさに欠けた。
周囲を取り囲む衛兵達の数がいつもより多いせいか?。
その衛兵達の眼光が、鋭かったせいなのか?。
そして最後の儀式。
処女の心臓をえぐり出し、暗黒神に奉げる儀式となった。
エカリーの心臓をえぐり出す最後の神事。
太鼓と角笛の音がひときわ大きく鳴り響いた。
ドンドンドン!!!。 プオープオープオ―――。
ドンドンドン!!!。 プオープオープオ―――。
集まった人々の目は、生贄の儀式の神殿ピラミッドに集中した。
エカリーの両親はその瞬間を見る事を避け、神殿ピラミッドの前から姿を消した。
神殿ピラミッドの頂上に向かう広い階段の両脇には衛兵達が二段ずつ間隔を空けて立っていた。
その真ん中をヤコック王が進んで行く。
後ろからコアトルがうやうやしく両手で、頭上に剣を捧げながら続いて登って行った。
儀式の為のその短剣は、コアトルの手の中で、青く鋭く光っていた。
ドンドンドン!!!。 プオープオープオ―――。
何処からともなく黒い雲が集まりだし、それが渦を巻き始めた。
黒雲は形を整え、不気味なドクロの姿となった。
そこには長い指と爪もあった。
暗黒神だ。
エカリーの心臓を待ちわびるかのように、長い爪を動かしていた。
「コアトル。儀式の短剣をこちらに。」
最上階に登りつめたヤコック王がコアトルに言った。
顔をあげたコアトルの視線の先に、黒い石板に縛り付けられたエカリーがいた。




