2.第13章 選ばれしもの2
結婚の準備が進む中、一人エカリーは、憂鬱な気分になる事が多かった。
もちろんコアトルの事は大好き。
コアトルも私の事を、好いてくれている。
コアトルと結婚できるなんて、夢のよう。
シバルバ族の次期王女になる事なんて、望んでいない。
コアトルと一緒に暮らせて、家族を持つ事が望み。
でもコアトルの母、王女ヴェールは、私が花嫁になる事を望んでいない。
王家の血統を大切に思う人。
私には辛くあたって来る。
果たして本当に結婚して、王家に入ってやって行けるのだろうか。
エカリーは地獄の毎日がやって来る様に思えてならなかった。
ある夜、エカリーは母が一人の時を見計らって、部屋に向かった。
ドン!ドン!。
「お母様、いらっしゃる。」
「おやエカリー、どうしたんだい。もう寝る時間だと云うのに。」
「お母様、私心配なの。この結婚が本当に正しいのか。」
「卜占の見立てが間違っていたんじゃないかって。」
「何を言っているのエカリー。卜占は、神の啓示。間違いはありませんよ。」
「お前が、王女ヴェール様から辛い仕打ちを受けているのは知っているよ。」
「でも王女になる試練だと思って、耐えて行きなさい。」
「試練の先には、きっと素敵な未来が待っている。」
「大丈夫だから。おまえには明白神がついているよ。安心おし。」
エカリーの母は、可愛くけなげな自分の娘を強く抱きしめた。
エカリーは、小さく体が震えるのを感じた。
その夜、皆が寝静まった真夜中。
夜の闇の天空の黒雲の中から、遠吠えが聞こえてきた。
ゴーン! ゴーン! ドゴーン!!!。
頭に3本の長い角を生やした竜が、天空を駆け巡っている。
ゴ~ン!! ゴゴ~~ン!! ドゴ~~ン!!!
銀色の鱗が二つの月に照らされてギラリと輝いている。
ゴーン! ゴゴ――ン!! ドゴ――ン!!!。
その声は山々を揺らし、寝静まった家々を震わせた。
その声に人々は起こされ、家々を出て空を見上げた。
「ドゴンだっ。ドゴンが来た。生贄の家に、御神託がくだるぞ。」
一見しては解らなかったが、夜空いっぱいに拡がった黒雲は、大きな、それは大きなドクロの姿をしていた。
ドゴンがグルングルンとその長い身体をくねらせ、暗黒神のぽっかりあいた眼窩から鼻に抜け、また口に入って動き回っている。
ドゴン族が雷を口から吐いた。
ピカッ!!!。ドロドロドド―――ン!!!。
建設中の結婚式が行われる事になっていた祭壇のピラミッドに落ちた。
バカ――ン!!!。ガラガラガラ~~~~!!!。
結婚の為のピラミッドが、破壊された。




