4.第15章 空堀3
「キッキッ、このままでは、いずれ空堀は埋められ、ゴ族が侵入してくる。」
「私は今までずっと考えていたが、今わかった。」
マックはコアトルの方を見て言った。
「『金』の性質を持つキチェ族には、その性質から生み出される『水』とは相性が良い。」
「『火』の性質は、『金』を溶かし、その存在を消し去る。」
「つまり、『金』の性質のキチェ族は、北の林の『火』の壁に向かうよりは、西の川の『水』に逃げた方が、より成功しやすい。」
「シバルバ族の『知の体系』から学んだ五行の循環が、今役に立った。」
「コアトル、族長ギルに伝えてください。」
「キチェ族は西の川を越え、逃げ伸びろと!。」
「泳ぎの上手いキチェ族を縦に繋ぎ、対岸に辿り着かせろと。」
「西の川に、キチェ族の橋を造るのです。」
「それぞれ、前のキチェ族の尻尾に噛付き、数珠繋がりになるのです。」
「そして、女子供、老人達、身体の弱い者を、その生身の橋を渡らせ、逃がすのです。」
「キチェ族達の橋を何本も掛ければ、短時間に大量のキチェ族を逃がす事が出来る。」
「さあ、早く族長を行かせてください。」
コアトルはマックの話を聞き、その内容をそのまま族長ギル達に伝えた。
族長ギル、キヤティ、ウルフ種長は、3匹で相談し合った。
ウルフ種長が、天に鼻を向け、大きく唸り声をあげた。
ワオ、ワオォ――ン!。
そして、ブルブルと身体を震わせると、村の方へ走り去った。
族長ギルとキヤティは、その場に残った。
「キッキー、どうしたのですか?、族長とキヤティはなぜ西の川に行かないのですか?。」
コアトルが答えた。
「ウホウホ、二人は、僕達と共に戦うって。」
「何とバカな判断を…。」
「私達と居たら、死ぬ事になりますよ。」
マックがフッと息を吐いた。
そして、族長ギルに近づき、その大きな血だらけの身体を抱きしめた。
また、キヤティの身体も、抱きしめた。
二人は嫌がる事は無く、マックの抱擁を受け入れた。
族長ギルがコアトルに言った。
「ガルルル、マックは良い奴だな。」
「もっと早くに、こいつを理解してやればよかった。」
「さあ、コアトル、空堀が埋まるぞ、ゴ族が襲ってくる。」
「思う存分戦ってやろうじゃないか。」
コアトルは無言のまま、大きくうなずいた。




