チュニジア会戦前夜 BC486 7月
だんだんデマラトスさんが危険になっていく・・・予想以上のペースで悪化してます。
アーシアは早速カルタゴとぶつかってるし、地中海世界は戦乱が渦巻いてます。
カルタゴとペルシアが絡むと兵力が一桁変わってくるから、本当にこの当時の大国は怖い。
=BC 486 7月10日 マレウェントム近郊 デマラトス=
既に片手を超える部族を破って、彼らの言う「獅子の牙」にたどり着いたが、マレウェントムとは山脈一つが要塞化された土地であった。
ギリシア風の都市を考えると規模が異なるのだが、全体的な配置は皮肉なことにアーシアのラムヌースに似通っている。
山と山の間の窪地に彼らは生息し、窪地には壁で囲んだ集落がある。
壁そのものは木と土でできている高さ3m程度の低いものだが、力任せに壊せるようなものではない。
それが川沿いの窪地に数珠繋ぎに配置されていて集落間の連絡は主に川を使っているようだ。
切り立った山の峰には人一人が通れるほどの山道しかない。
見える限りで集落は10以上ある。
奴隷に話を聞くと一つの部族が一つの集落という訳でなく、複数の集落に分けて暮らすのも一般的なため集落の数と配下部族の数は一致しないのそうだ。
とはいえ、ここをどう破るのか。大部族長は一番奥の集落にいるので、集落をつぶしながら進んでいたら何年かかるかわからない。
奇襲は地形上無理、兵糧攻めをするにも山脈一つは包囲不可能だ。
サムニウム奴隷たちは現在1000人を超えている。
どうも人数的にはこの辺りに落ち着きそうだ。
一度は1500付近まで増えたが、不穏な空気が漲ったので数を減らした。
時には適当な奴隷に唆した奴隷を指ささせ、そいつを殺したこともある。
そうやって、相互不信と恐怖で押さえつけたのだが、やはりスパルタンのような絶対的恐怖は与えきれてない。この辺りは年月の積み重ねは大事だと感じる。
そして最初の戦い以降は奴隷たちに藁の盾のみを持たせ、壁に使った。
おかげで大分、楽に戦争ができるようになった。
戦士の損耗が一気に減った。
第13歩兵隊と第19歩兵隊を解隊して他の部隊を補強した分を、ローマからきた補充兵で新たに2個歩兵隊(第21、22歩兵隊)を作ってハスターリに組み込んだが、今後来る分は補充ではなく増援として目論見が立つほどだ。
とはいえ、現状を考えると歩兵兵力1500名+騎兵50騎、オマケに奴隷が1200人という状態だ。
目の前のマレウェントムは戦士だけでも5000名は超えるだろう。
真っ当に戦うのは時間がかかりすぎる。
ちょっとばかり頭を使わせてもらおう。
=BC486 7月10日 マウリタニア アーシア=
この二月でヌミディア人はその勢力圏を3割ほど失った。
一つにはムーア人勢力の侵攻、もう一つが南からのエチオピア王国の圧迫である。
ムーア人はすでに鐙を手に入れ使いこなし始めている。
その数2500騎・・・今までの戦闘では考えられない大騎兵隊だ。
それが一気にヌミディア騎兵と戦い始めたのだ。
ムーア騎兵の全軍がヌミディア侵攻に投入されている。
ムーア人にとってはヌミディア人は気に障る隣人だったようで、蹴散らしていく様に同胞と戦っているという悲壮感は全くない。
むしろ蹂躙するのを楽しんでいるといっていいと思う
この戦闘にはサルピズマも参加し、久しぶりの全隊演習になっていた。
このところ各方面で動いていたので、連携の勘が鈍っていた部分を研ぎなおす、いい訓練になったようだ。
サルピズマ各隊はサンチョ総隊長補佐兼スペード隊隊長、ポセイドニクス クラブ隊隊長、パンティティス ダイヤ隊隊長、 コリーダ ハート隊隊長代行で運営している。(ハート隊隊長は名目上はキモン)この4人が揃うことはほとんどないので、隊員間での模擬戦や情報交換が盛んにおこなわれていた。
この中で一番忙しいのはコリーダだろう。
ハート隊の訓練・運営はタルゲリアとピュロスに丸投げに近いが、実戦指揮、総隊長護衛、調理指導、サンチョによる指導といくつ身体があっても足りない状況のようだ。
ポセイドニクスはケルト族対策、パンティティスは要塞建築とデマラトス情報の共有など情報の共有も一気に進んだ。
それにしても南伊のデマラトスだが話を聞く限りではまるでボクがその場にいるような感じだ。
対応するであろう方法が極めて似ているのである。
差があるとすれば、あっちの方が禁忌が少ない感じがするぐらいか?
パンティティスは要塞建築のついでに野営地建築のノウハウも持ってきてくれた。
夜間に獣に馬を襲わせないための策作りとか、アフリカでも思ったより必要な技術だった。
で、ボクのテントだが普段は5人で一緒に寝ている。
あくまで警護上必要な措置ということで3人が一緒に寝て、レイチェルはボクが一緒に寝ないと恐怖で夜泣きすることがあるので一緒に寝ている。
・・・ボクのテントの周りに隊長、副隊長格のテント、その外周を隊員のテントが囲んでいる状態で手を出せるほどボクも図太くはない。
そもそもレイチェルには記憶を失ってからは手を出してない。ロリBBAではなく、見た目通りの15才の女の子になってしまったのだ。
さすがにボクの少ない良心もストップをかけてくる。
とまあ、夜間は戦地とは思えない平和な雰囲気を醸し出しているのだが、昼間は改良兵器の運用実験、部隊での連携訓練、時に象を狩って象革を手に入れて革鎧に検討して見たり、キリンの足の腱を入手して弓の弦にしてみたりとか、いろいろと部隊を充電する2カ月だった。
さすがにカルタゴが参戦を表明してきた今日からは違うことになりそうだが・・・
東の地平線に砂煙が見えたのが早朝だった。
敵部隊が視認できたのはその2時間後、エジプトで見たペルシア軍と同じくらいいそうである。
ということは5、6万人・・・しかも砂煙は、どうも戦象部隊が立てているものらしい。
さすがに勝ち目がないから逃げようかと思っていた矢先である。
南の方の地平線に砂埃が見えた。
索敵を出す前にクルナが伝令でやってきた。
「エチオピア・エジプト連合軍、4万人、本日南方から到着します。戦闘は明日以降でお願いします!」
大平原で大会戦!小細工なしの叩きあいか、一番苦手なやつだよ・・・困ったね。




