南イタリア攻略戦 BC486 5月1日
書いていてアーシアのSAN値はこの程度では動じないことを思い知りました。
ビビりなのか肝が太いのかよくわからない人になってます。
デマラトス、いつの間にか新兵器作りまくる人になってる・・・今度の盾は超危険(敵も味方も)
=BC486 4月18日 アガニッペ アーシア=
予定通り三日でアガニッペの青々とした泉を発見したボクらだったが、予想もしていない問題が発生していた。
アガニッペの泉で一口水を飲んで詩才が降りてくるか、試してみる気だったが・・・泉の水がコバルトブルーだったのである。
念のために木の椀で皮膚に触れないように汲んでみたが、絵の具の洗浄水ぐらいには色が濃い。
少なくともお椀の底は青くなって見えない・・・のんで平気かこれ?
あまり期待はできなかったが、絹を重ねて濾してみた。色にまったく変化はない。
「ご主人様、私が毒見をします。」
コリーダが先に飲もうとしたが、止めた。
まだやるべき手が残っている。
鍋に水を汲むと、火をおこし煮沸することにした。
少なくとも微生物由来の場合はなんとかなるだろうと思ったのだが・・・さらに混沌を引き起こした。
10分程沸騰させて覚ました水は綺麗に透明になっていた・・・。煮沸の途中で色が赤くなったり、葡萄のような紫やヨモギのような緑に変化した後でなければ綺麗な水としか思えないし、底に沈殿物が一切ないのがより恐怖を煽る。
これは、全部溶けたってことだよね。色の成分。
こうなると青いまま飲んだ方がいいのか、透明な水を飲むかで余計な選択肢を増やしてしまったことを後悔するしかない。
動物の水飲み跡は一切見つからない。近くに綺麗な川があるんだからそっちで飲んでるようだ。
ちなみに我々の馬も川でゆっくりと水を飲んでいた。
「困った。」
何しろ絶対、飲まなくてはいけないわけではないし、飲んでいい結果が出るとも限らない。
最悪、錯乱して意味のないことを言い続ける可能性もあるのだ。
とはいえ、目的地について何もしないで帰るのも癪にさわる。
こういう時は皮袋に水を入れて、戻って鶏ででも毒見させてから飲めばいいか、と後回しにすることにする。
少なくとも彼女らに毒見はさせられない。
「とりあえず、水を汲んだらヒッポクリーネに向かうぞ。」
なんか締まらないが、仕方ない。
たぶんヒッポクリーネも同じ結果になりそうな気がするが・・・
そのまま注意して丘を越え西を目指す。
ヒッポクリーネは直径50cm程度らしい。
木々が視線を遮るため発見は難しいが、丹念に探していく。
1kmも離れていないはずだが、それらしい場所を見つけた時には陽が傾きかけていた。
そこには窪地にクレパスに近い感じで地面が裂け、地下1mの地点に水が溜まった泉?らしいものがあった。
すぐ横まで行くと独特の芳香が鼻をくすぐった。
アルコールの香りだ。
ここまで行けばヒッポクリーネの正体は予想がついた。
養老の滝と同じということか。
糖分を含むものなら何でも醗酵して酒にできる。
そういえば礼文島の昆布焼酎は度肝を抜かれたが、飲んでみるとグルタミン酸ナトリウムの味がして、料理酒には最適だった。
酔えば歌うし音楽も奏でるだろう。
総じて古代ギリシア人はアルコールに弱い。
ストレートでワインを飲むと一杯で酔っぱらう。
ここの泉が何パーセントは知らないがワイン並みの強さなら一杯で酔えるだろう。
そう思って、松明で水面を照らした。
その瞬間、普通の人なら目を開いていたのを後悔する光景が流れ込んできた。
岩盤全面にナメクジがびっしりとついていたのである。
それは水面まで途切れることなく続き、岩全体が細かく細動しているように見えた。
「この泉って無害なのは間違いないな。」
「どうしてですか。アーシア様?」
尋ねてきたピュロスに松明で中を指し示すと、それを見た彼女は鳥肌をたてて一歩後ろに下がった。
「なんかあったの、ピュロス?」
次にはコリーダも覗き込むと同じように鳥肌を立ててこっちを見た。
「ご主人様、これ飲むの?」
「ああ、たぶん酒になってるとは思うが、味見してみる。」
「イヤイヤ・・・やめましょう。こんなに気持ち悪い場所の水。」
コリーダにとっては青い水の方が楽らしい。
気にしないで腕を伸ばして椀に水をくみ上げる。
腕に何匹かナメクジが張り付いたが気になるほどでもない。
香りを嗅ぐと間違いなくアルコール臭がする。それに木の根っことベリー系の匂いが?
地形をよく見るとこの裂け目に向かって斜面ができている。
周りの木には蔦やらドングリらしいものもあるので、なった実が落ちた後風が吹けばここに落ち込む仕掛けになっているようだ。
「それで醗酵する材料が補充されているのか。」
ワイルドベリーの表面には天然酵母もある。
醗酵する条件はそろっているわけだ。
まず毒見だ。布にしみこませて、それを吸う。
結構強いアルコールだ。日本酒並みの感じである。
次に一口、意外にうまい。木苺を漬けた薬用酒の感じだ。
もう一口と思ったら空が回った。
あわてて、コリーダが抱き留めてくれる。
その後の記憶はない。彼女達の話ではご機嫌で歌っていたようだ。
後から気づいたがドングリや木苺の他にもいろんなものが落ちていたはず、中には毒草なんかもあったかもしれない。・・・まあ濃度が低ければ薬だから・・・下剤とかでなかった分、良しとしよう。
確かにこっちは伝承通りのことが起こった。
となるとアガニッペの詩才についても何かが起きる可能性があるわけで・・・逆に飲めなくなった。
周辺の探索に翌日一日を費やしたのちボクらは帰路についた。
=BC486 4月28日 ローマ デマトラス=
カピトリーヌスの丘のウラヌス神殿で出陣式を執り行う。
元老院から指揮丈を預かると戦勝を祈願し生贄をささげる。
鳥占いは前日に済ませていたので今日はやらなくて済む・・・あれはいまいち理解ができないが・・・絶対指揮権を持つものしか催せない儀式なのでやらない訳にもいかない。兵もそれを期待しているし。
今回の敵はサムニウム族だ。
山岳民族でローマ人には対応が難しい場所に住んでいる。
だがスパルタンにとってはおなじみの場所といってもいい。
なぜならメッセニアでヘロットは蜂起すると必ず山に籠る。
それと戦ってきたスパルタンはそういう場合には集団行動だけでは、うまくいかず個人の武技が必要とされることを身に染みて知っている。
どうして個人の武技が必要になるか、それは相手が地形を利用して味方を分断しやすいのだ。
分断された後も戦闘力を保持してないと嬲り殺しにあう。
そこで最悪一人になっても戦闘力を保持するためにスパルタンは鍛えぬくのだ。
今回、かろうじて使えるのは第1歩兵隊のみだろう。他の部隊はそれの補助に回ってもらうことになるが・・・出発に際して大量に春小麦の収穫後の麦わらを集めさせた。
重量にして10トンぐらいか?もっと集めたかったが時間が足りなかった。
行軍の途中でも随時集めていく方針だ。
麦わらは野営の時に巻き藁にして細い丸太のようにする。
これを木枠に何本も縛り付けて重さ10kgほどの藁の盾を作り上げる。
防御力は若干木の盾が上だが、弓矢や投槍なら充分止められそうだ。
この辺は実際に試験しながら厚みを検討していく。
結論は巻き藁2列分で済むとの結果になった。
サムニウム族の勢力域まで三日で到着した。
その間に兵士総出で作った藁の楯は1000個。ほぼ全員にいきわたる数だ。
もっとも壊れた時の予備も含めて作り続けている。
斥候がサムニウム族の集落を発見した。
山の中腹に1000人程の集落をつくっているらしい。
この集落には防壁はないようだ。
いよいよ作戦開始だ。




