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DIVA  作者: メロン味
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DIVA第1章〜第2章

第一章【ハナという一人の歌姫】

ある村に美しい歌声を持つ少女が産まれた。名前は、【ハナ】。そして、もう一人の双子の妹、【サキ】も。ハナはみんなに愛されるような性格でとても明るい少女であったが、いつしか、ハナの両親は彼女のことで喧嘩しやすくなったり、村の人達がハナの声を求めておかしくなっていった。ハナはこの状況に耐えきれなくなり、自ら村を飛び出してしまった。妹のサキをおいて。ハナは、遠くの町にいる自分のおばあちゃんのところへ逃げ込み、おばあちゃんの家で住むことにした。ハナはおばあちゃんのことが大好きで、おばあちゃんはハナの歌声ではなく、ハナ自体の事を愛してくれていた。ハナはそれがとても嬉しくて、他の人達とは違うと心を許して気楽に過ごすことができた。ハナが大人になって一人でも暮らしていけるようになった時、ハナは素敵な人を見つけた。彼女がいつも歌手の仕事から帰るときに見かける男の人。メガネをかけていて、頭が良さそうな人。最初は何度か見かけるな。くらいの気持ちだったが、日に日に彼の事が気になり始めていた。ハナは、この日、思い切って彼に声をかけた。「すみません!……お名前は?」ハナは話しかけないほうがよかったな…と思いながらも彼の答えを待つ。「名前……?僕は、【シロツメ】。」彼の反応は思ったよりもいい感じものではなかった……こちらをじっと睨んでいる。そりゃ、もちろんいきなり見ず知らずの人に話しかけるなんて、頭がおかしいに決まってる。彼の反応は当たり前だ。名前だけでも答えてくれて、奇跡だと思う。ハナも目を逸らしながら彼に話しかける。「ごめんなさい……あなたが気になって……」ハナはもう頭がパンクしそうだ。でも、彼はまたぽつりと話しだす。「はっ……?そ、そうですか……」「あなたをいつも見かけてたんです!だからっ……!気になって……」ハナは、怪しまれないようになんとか声を出す。「僕なんかを気にかけるなんて……あなた相当暇なんですね。」シロツメは笑いもしないでギロッとこちらを睨む。ハナはもうくたくただ。「お願いしますっ……!あのっ。明日の朝、ここにあるカフェでお話しませんか。どうしてもあなたが気になるの……」ハナはシロツメに必死に懇願する。「はっ………はあ……」シロツメは、ずっと笑顔がない。これでは、仲良くなれるわけがない……。やっぱり、いきなり知らない人に話しかけるのはいけないことなのかもしれない……ハナは泣きそうになりながら、マンションに帰る。ハナはおばあちゃん以外の家族と縁を切ったので、今はひとり暮らしだ。ハナはあまり一人で全てをするのが得意ではない。料理も下手、家事もできない。いつもスーパーやコンビニでお弁当を買って食べている。もちろん、今日もそうだ。ハナはいつも一人でいるのが虚しくなってくる。ハナは、ひとり暮らしはあまり好きではないと確信した。





次の日の朝、ハナは汗だくになりながら、彼を待っていた。……もちろん。シロツメのこと。来なかったらどうしよう…でも来てもどうしよう…来たら来たでうまく話せるかわからないし、来なかったら来なかったですごくショックだし、どちらにしても、不安だった。


すると、カフェのドアが開いた。……あの人が……!!と期待したが、違う人だった……。水色の髪に、ピンクの瞳を持つ男性だ。



ハナは、はぁ〜とため息をついた。やっぱり、来ないよなぁ〜と。「シロツメさん…」ハナが小さくつぶやくと、「えっ」っと後ろから声がした。「うぇ?!」ハナはその声よりもっと大きな声を出した。ハナが驚いて後ろの席を見ると、そこにはシロツメがいた。「ちょっと……うるさい。」シロツメは、小声でつぶやく。シロツメは顔をしかめてハナを睨んでいた。あぁ…怒ってる……ハナはしんどかった。「ごめんなさい…あっ、あの…そっちに行っても良いですか…?」ハナも小声でシロツメに言う。「あ〜…。はい……。いいですよ………。」シロツメはまだ笑わない。こんなにもハナに対して笑顔を見せない人はあまりいない。彼女は、有名なシンガーグループの【DIVA】なのに。彼はDIVAを知らないのか……?そもそも有名人に興味がないのだろうか。ハナは人目につかない朝の時間がとても好きだった。だから、彼を朝に呼んだのだ。でも……本当に来てくれるなんて……まるで夢のようだ。昨日はまるでもう来ないと言われているような気分だった。でも、彼はちゃんと約束を守ってくれた。ハナは安心したけど、やっぱり不安だった。これから彼と何か話さなきゃいけないから……。ハナは席ついて、シロツメの顔を見た。シロツメは、呆れているような、もしかしたら違うところを見ていたかもしれないけど彼もハナを見ていた。ハナはシロツメと目が合うとびっくりして、反射的に目をそらしてしまった。シロツメもカフェのメニューにゆっくりと目をそらした。「あの…私が誰かわかる…?」ハナは思い切って聞いてみた。もしかしたら、あえて言わないだけかも知れないし、本当に知らないだけなのかもしれない。ハナがDIVAの一人であることを……。シロツメはまたもや顔をしかめて言う。「はぁ…?誰かって……」シロツメはやっぱり知らなかった…。「あの、DIVAって知っていますか?私、DIVAなの!ねぇ…本当に知らないの…?」ハナはシロツメの顔を覗き込む。「うん……。聞いたことはあるけど……詳しくは知らないなぁ。あなたがいることも。」シロツメはまるで信じていないかと思う反応をした。本当のことなのに……。「そう……知らないのね。それは、それでいいかも。」ハナはますます、彼に惹かれていった。彼ともっとたくさんの時間を過ごしたいと思った。その日から、ハナとシロツメは何度か会った。…二人きりで。シロツメはだんだんと笑うようになっていった。ハナはそれが嬉しかった。もう彼とは合わないんじゃないかと最初は思っていたけど……それでも一緒にいたかった。こうやって、何度も会ってよかった。シロツメが心を開いていることが分かるたび、ハナの心も踊りだすような気持ちだった。


何ヶ月もすれば、ハナとシロツメの間に特別な空気が流れていた。そう、二人の距離は会うたびに縮まっていった。会うたびに惹かれるのは当たり前だ。どんなに嫌な人でも、何度も何度も繰り返し出会えば、少しくらいは好印象になるだろう。まぁ、それでも好きになれない人はいると思うが。いつしか、二人は結婚するまでの仲になっていた。「あなた!」ハナが笑顔でシロツメを呼ぶ。「ハナ…!」シロツメもハナの方へ駆け寄る。二人の結婚式にはほとんど人がいなかったが、それでも素敵な式になった。



「あなたに出会えてよかった。」ハナはシロツメの頬にキスをした。シロツメは始めてそんなことをされたので驚いてしまったが、それでも嬉しくて、ハナの事をぎゅっと抱きしめた。ハナは優しくシロツメを抱き返してくれた。シロツメはこの時、本当に彼女に出会えてよかったと思った。いつもモノクロでなんの変化のない毎日を彼女が彩ってくれた。こんな暗くて普通で平凡な僕をあなたは必要としてくれた。あなたには、あるべき場所があるはずなのに、あなたを求めている人はこの世界に何人といるはずなのに、あなたは僕を見つけてくれた。それだけでとても嬉しくなるんだ。あなたの人生に僕がついて行けるなんて。こんなに嬉しいことはないよ。あなたに出会えてよかった。こんな気持ちになれるなら、もっと早く出会ってれば良かった。あなたが大好き。あなたを愛してる。あなたのことをずっと支えていきたい。あなたのそばにいたい。お願いだから、僕から離れないでね。僕も、あなたから離れないよ。これからも、ずっと一緒。あなたのそばであなたの人生を見ていたいんだ。僕に見させて、これからのあなたの輝きを。




シロツメは、もちろん。ハナの歌も好きだしDIVAであることもすごいと思ってる。でも、一番彼女に惹かれる理由は、明るくて、優しくて、いつも元気であること。ハナはシロツメとは逆でいつも輝いてる。そんなハナに、シロツメは憧れのような気持ちもあった。でも、そんなあなたをそばで見ていたい。シロツメはハナを見て、微笑んだ。


この二人が結婚したのには、訳がある。子供がいたからだ。シロツメは、嬉しい反面心配なこともたくさんあった。シロツメには両親がいないので、子どもたちを思う存分愛せるのだろうか……と。シロツメはとても不安で仕方がなくなった。無事に出てきてくれるかな。ハナに何かあったら…そんな不穏な考えが彼の頭から離れなかった。その気持ちは、ハナには隠していたけど。何より、父親になることが、彼の中で一番怖かった。なったことないし、どうやってなればいいのかもわからない。だって、子供として扱われたことがあまりないから。シロツメは毎日涙を流すほど、そのことに対して不安だった。不安で不安で毎日眠れなかった。親になる人はみんなこうなのか。そうも思ったが、やっぱり異常にそのことに対して敏感になっていると自分でも分かってた。



そして、ついに来てしまったハナの出産日。シロツメは緊張で感情がぐちゃぐちゃになっていた。明るい気持ちよりも、暗い気持ちが強かった。


「赤ちゃん!生まれましたよ〜!」ナースのおばさんが飛び出してきた。「あっ…!」シロツメはさっきまで不安だったのに、それを聞いたらなんだかどうでもよくなってきた。その時のナースさんの顔が明るくてとても嬉しそうだったから。シロツメはとりあえず立ち上がってナースさんに付いていった。シロツメはなんだかニヤけてしまっていた。もちろん、怖い気持ちは残ってるしハナがどうなってるか、子供がどうなってるかとても不安だったが、ものすごく嬉しい気持ちも彼の中にはあった。


部屋に入ると、そこにはハナと……赤ちゃんが…… 


二人…?


シロツメはびっくりして赤ちゃんに近づいた。「ねぇ、ハナ…。双子……だったなんて言ってたっけ…?」シロツメはこそっという。なぜなら言われていたかもしれないのでじしんがないからだ。「うんう。言ってない……。あなた、喜ぶかなって思って!」シロツメはそれを聞いてニコッとした。「へぇ〜!すごくかわいいね…。二人もいるなんて……すごい!」シロツメは一人を抱っこしてみた。優しく、丁寧に。赤ちゃんをこんなに間近で見るのは初めてだ。今まで、自分には無縁だと思っていたから…

「その子は弟の方よ!私の持ってる子はお兄ちゃんよ。二人ともかわいいの。」ハナは自分の持っている子を見て言う。シロツメも、自分の腕の中にいる小さな命を見る。その子はまだ目をつぶっていて、こちらに気づいていないみたいだ。シロツメはその子の手を優しく指で触ってみた。そうしたら、その子は目を開けた。


その子は笑いだした。


シロツメは泣かれるかと思って覚悟してたけど、この子は笑った。「すごい!その子、さっき私が抱っこしたら大声で泣いたのよ。私が今持ってる子はやっと泣きやんだの。」ハナは羨ましそうにシロツメに言う。「いや……でも、本当はキミに抱っこされたいんじゃないかな。キミがこの子達に合わせてくれたんだから。」シロツメはハナに微笑む。「……そうかもね…。でも、あなたがいなかったら私、この子達を育てられないと思う。ひとり暮らしもろくに出来ないのよ?」ハナは苦笑いで言う。「そんなことないよ。」シロツメは愛おしそうに笑う。「ねぇ、ハナ、この子達に名前はつけないの?」シロツメは今ハッとして言った。「あ〜!!そうね!つけてあげないとっ!!ん〜……」ハナは考え込んだ。「名前って一度つけたら戻せないでしょう?だったらすごくいい名前にしなきゃ!」ハナは周りをキョロキョロした。「本から探す?名前の本、あるんじゃないかな。」シロツメが言った。「え〜……でも、自分でつけたいな〜…。……あっ!!」ハナは何かをひらめいたようだ。「えっなに。」シロツメはハナのいきなりの大声にびっくりした。「あなたシロツメっていうでしょう?シロツメクサ……三つ葉………四葉………」ハナはブツブツ言い出した。「みつばと、よつば…とかは…」シロツメがそう言うとハナはベットから立ち上がりそうな勢いで「よつば!みつば!!いいわね!!」と嬉しそうに言った。「ちょっと……落ち着いて……今日は休まないと……」シロツメは興奮するハナを静める。「あっ…そっか…それもそうね。」そう言うとハナはまた話しだした。「じゃあ、私の持ってる子がみつばで、あなたの持ってる子がよつばは?!」ハナはまたもや興奮して言う。「いいと思うよ、でも……どっちがどっちか……分かるかなあ……。」シロツメは子供たちを見ながら言う。「あ〜……そうね………。何か印を付ければいいんじゃない?!」ハナはペンを取り出して何やらしようとしていたのでシロツメは慌てて止めた。「ちょっ!ちょっと待って!落ち着いて!ナースさん呼んできて聞いてあげようか?子供たちを判断できる何かないか……」そう言うと、ハナはうなずいた。シロツメもうなずいて、よつばをハナの元に置き、ナースコールを押した。すると、ナースさんがこちらに吹っ飛んできた。「どうしましたか?赤ちゃん、元気そうですか?」シロすごい勢いで来られたので、シロツメは焦って答える。「あっ……あのっ……。赤ちゃんの見分け方ってどうやって……」シロツメが言いにくそうに言うと、ナースさんは答えた。「あ〜!それなら、足や腕に紐の名札を付けることができますよ。色違いで付ければ双子でもわかるはずです!」シロツメ達は安心してため息をついた。ひとまず、今日はハナは病院から帰れないので、シロツメが一人で帰った。シロツメが病院から帰ると、誰もいなくて暗い部屋が広がっていた。……これは当たり前の事だが、やはりいつも誰かいるはずの家に誰もいないのは寂しくてしょうがない。シロツメとハナはもう二人で暮らしているが、ハナは家事ができないのでいつもシロツメがほとんど家のことをやっている。仕事もして、家事もして、色々大変だが、シロツメは別にそれは苦ではなかった。だって、ハナがいるから。でも、ハナも仕事に行ってくれている彼のことを思ってできる限り家のことをやってみている。シロツメからは、焦らないで、ゆっくりと…と言われているのだが、ハナはそれでもあれもできないとこれもできないと!と、自分を追い詰めてしまう。



これから、この家に自分の子供達と住むのか……そう考えるとなんだか微笑ましい気持ちになった。これから楽しくなりそうだ。


       第一章終わり


    第二章【歌声】

ハナとシロツメの結婚から数年後……みつばとよつばは4.5歳くらいの年になり、言葉もつたないけど話せるくらいに育った。ハナは、DIVAの仕事を最近全くしてないが……ハナが話したくなさそうなので、シロツメは理由を聞けないでいる。


シロツメはいつものように支度をして、家を出ようとしていた。「ハナ、ごめんね…。今日は遅くなる。大事な会議があって……」シロツメがそういうと、ハナはにこっとして「いいのよ。全然。私、頑張るから!あなたにはいつも迷惑ばっかりかけてるし、今日は家のことはかんがえなくていいからね!」ハナは絶対に無理をしてこんなことを言ってる。無理してなくとも、今はそんなことが言えるほど余裕があるが、後からだんだん手こずってくるのだ…「……う〜〜ん……わかった……いい?無理だけはしないでよ。」シロツメはハナに入念に注意した。「えぇ、もちろん!私、頑張るわ!」ハナはニコニコして答える。「パパ〜!」すると、よつばが近づいてきた。「よつば!お前もいい子にしてろよ〜?ママに迷惑かけちゃだめだからな。」シロツメはよつばのほっぺをもちもちした。「んー!」よつばは嬉しそうに笑った。そして、奥からこっそりと見ているのがみつば。「みつばは大丈夫そうだね。よつばのこと面倒みてあげてね。」シロツメはみつばに優しく語りかけた。みつばは、よつばと真逆で人見知りで家族内でもあまり話さない。「うん」みつばは小声でうなずいた。「じゃ、そろそろ行くよ。家だけは燃やさないで。」シロツメはハナに忠告した。前、ハナが一人で料理をしているとき、危うく家事になりかけるところだったのだ。「わかってるってば〜…気をつけて帰ってきてね。」ハナはシロツメを笑顔で送り出した。



シロツメは、ネクタイを整え、外に出た。あ〜…朝の日差しが眩しい……シロツメは太陽を見上げてそう思った。これから風野村から出て、夢見町へ向かうところだ。それには、電車が必須。本当に電車は毎日満員電車で大変だ。もううんざりしてくる。また人混みの中に揉まれへとへとになりながら会社に向かうのか。同じことの繰り返し。まぁ、そんなのはきっとみんな繰り返してるけどさ。でも……毎日こんなことをしてるとバカみたいに思えてくるんだ。でもね、家族を養っていくためにとても必要なことなんだけどね。それでも…とても辛くて大変なんだ…。特に、シロツメの仕事では人と話すことが多いので、人に気を使うことが多い。シロツメは、あまりコミュニケーションが得意な方ではない。新人社員に実力が負けてるくらいだし、頭もそんなに良くない。まぁ、ハナよりは良いのかもしれない。シロツメ自身もちょっとそう思っている。でも、ハナは自分がいなくてもきっと生きていけるんだろうな。とも思っている。彼女の武器は愛嬌。みんな彼女を助けたくなるだろう。でも、シロツメには愛嬌がない。おそらく、子供の頃から一人で生きてきたので人を頼る術を知らないのだろう。子供に限らず、人に頼ることはとても大切なことだ。だから、よつばやみつばにはちゃんと甘えさせてやりたい。自分が出来なかったから、せめて、この子達には…


そんなこんなで電車はもうシロツメの会社の駅に近づいていた。シロツメは窓ガラスに映る自分を見て、あぁ…なんて酷い顔……。クマができてる……最近寝てなかったしなぁ……はぁ〜……みたいなことを考えていた。最近、家族との時間が少し減ってきている気がする。ハナが一人で家事をしている今のこの状態がいつまで持つかわからない。彼女が色々理解していけるならいいが、理解もできてないし、何より、家に何かあっては困る…。そして、ハナは最近様子がおかしい。前までDIVAの話をたまにしていたのに、それが一切なくなった。それに、仕事にも行ってないみたいだし、何かあったのは確実だと思うが……一体何が……?


そんなことを考えていると、もう降りる駅だ。シロツメはパンパンの人混みからなんとか抜け出し、夢見町へついた。……と。ここからがまだ歩くし、長いんだ。ただ、ここの海は本当に綺麗だ。観光客がたくさん来るのも、わかるっちゃわかる。こんなに美しいものをこの星は生み出したのかと思うとなんだか壮大で不思議な感覚になる。そして、そんな場所に自分がいるのも不思議だ。だが、そんなことを考えている暇はない。今は会社へ向かわなければならない。そう考えると一気に現実が襲ってきた。シロツメはとにかく、目の前のことに集中することを決めた。余計なことを考えていたら終わるもの終わらない。今日も一日、頑張ろう。精一杯やれば、必ずいいことが起こるから…会社につくと、見慣れた顔がちらほらと現れた。まず、社長の顔。「おはよう!シロツメくん!今日もあまり元気がないなぁ〜。今日は頑張ってくれよ。頼むから〜」と社長は言う。「はい……もちろんです。社長……」シロツメもなんとか声をひねり出して答える。「よし!その意気だ!」と社長はシロツメの背中を叩いた。(いった〜!)と思ったが、シロツメはなんとか耐えきった。社長は悪気があってやってるんじゃない。でも、やっぱりちょっと痛い…。そして、社長の娘のヨウコも話しかけてきた。「おはようございます!シロツメさん!今日の会議、頑張りましょ〜ね!」ヨウコは手でグッド!として去っていった。そんな彼女を見て「ヨウコさんは今日も元気だなあ〜」とシロツメはつぶやいた。そうすると、カレンもやってきた。「シロツメさ〜ん!お疲れぇー!」と若者のノリで話しかけられた。「あ〜!お〜……お疲れぇ〜…」とシロツメはへにょへにょ声で答えた。はぁ……もうなんでこんなにも人に合わせられないんだっ!とシロツメはやきもきした。


シロツメはいつもの自分のデスクに着き、パソコンを開いた。もう、その瞬間からため息しか出ない。これから、長い仕事の時間が始まるのだ……。




気づけばもう夕方。ハナは洗濯物を片付けていた。ハナは綺麗に洗濯物が畳めて満足そうだ。「あら、もうこんな時間。よつばとみつばのご飯を用意しなきゃ。」ハナは料理を作るために一回のリビングへ降りる。「お腹すいたでしょう?今作るからね〜」とハナは足早にキッチンへ向かった。そして、たまごを割り、フライパンに火をつけたら準備は完璧だ。ハナはこれからオムライスを作ろうとしていた。前に大失敗したけど、今回はうまく行くのだろうか……?シロツメに教えてもらったとおりにハナは腕を動かす。すごくハナにとって料理というものは頭を使うからとても疲れる仕事だ。ハナは一生懸命よつば達のために料理を用意する。



完成!


なんとか、美味しそうに作れた……でもお味は……?


おいしい!

ハナは始めて自分でも美味しいと思える料理が作れ、大満足だった。これは、よつばもみつばも喜んでくれるはずだ。




「できたよ!よつば〜みつば〜」ハナはよつばとみつばを呼んだ。…でも、二人はケンカの最中だった……「返してよ!よつば!それぼくの!」みつばがまたよつばにおもちゃを取られて困っている。「あ〜!もうよつば〜ダメよ!人のもの取ったら!みつばも優しく言ってあげなさい。よつばは優しく言えば聞くから。」ハナはよつばを強制的にテーブルへ連れて行った。「……うん。」みつばもハナのあとを付いていき、テーブルに座った。「じゃあ!食べましょう!いただきます!」ハナは手と手を合わせて頭を下げた。みつばとよつばもマネをして頭を下げた。すると、ハナはケチャップを取り出し、よつば達のオムライスにかけてやった。器用ではないので、適当に。




そしてもうおやすみの時間が迫ってきていた。「じゃあ、そろそろ寝るからね。お風呂入ろうね。」とよつばとみつばにハナは語りかけた。「やだ!一人で入る!」みつばは不機嫌に答えた。「え〜?どうして〜?一人で入ったらオバケ来るかもよ。」ハナは少し困った。「やだ!そいつと入りたくない!」みつばはよつばを指差して言う。「みつば。わがまま言うなら一人で寝かせるからね。」「……?!それは…」ハナの脅しにみつばは気が変わったようで「わかった…」と納得いってはいないようだが、そう答えた。「偉いわ!ママもいるから。ね?」ハナはみつばに笑いかける。「……うん。」みつばは気に食わぬ顔でうなずく。



ハナ達はもう寝る準備をしていた。みんなでパジャマに着替えていつでも眠れる状態だ。「いい?トイレ行きたくなったら、必ず起こしてね。起きれなかったらごめんね……」とハナはみつばに言った。みつばは夜、トイレでよく起きていて、怖くてトイレに行けないというのでいつもハナかシロツメを起こして一緒に行く。シロツメはよく起きて一緒に行ってくれるが、ハナは爆睡しているのでめったに起きない。よつばと一緒だ。今もうよつばは夢の中だ。



そして、部屋を完全に暗くし、眠りについた。




そうすると、ハナはドアがノックされていることに気がついた。


こんな時間に誰だろう…とハナは身体を起こす。



ハナは、階段を降りて、玄関まで行こうとする。




すると、美しい歌声が彼女の耳に入った。



ハナは意識を吸い取られたかのようにその声が聞こえる方へ向かう。すると、みつばも目を覚ました。ちょうど、トイレに行きたくなったからだ。でも、ハナがいない。それに1階から誰かの歌声が聞こえてくる。みつばは怖くて仕方がなかったが、なんとか震える身体を起こし、その声が聞こえる1階へと降りていくことを決めた。その声は驚くほど美しかったが、美しすぎて不気味なくらいだった。よつばも寝ているし、ハナもいないしで本当に最悪だった。みつばは涙を流しながら、必死にその声を辿った。すると、階段の執着地点に、ハナの姿が……みつばは驚いて声を出した。「ママ!」でも、ハナは何も答えずに進んでいく。みつばはもうダメだと思い、ハナの行く先を見た。その先には眩しくてよく見えないが、人…?が立っている気がする。みつばは更に怖くなってもう階段から動くことができなかった。そうすると、ハナは声がする玄関の前でピタリと止まり、玄関のドアが勝手に開いた。


「聞かせて」


綺麗な女の人の声でそう聞こえた。すると、ハナは歌を歌いだした。さっきまで聞こえていた歌と同じ歌を。みつばは顔面蒼白になった。ハナの身体を光が包み込み、


彼女の声を奪ってしまったのだ。


みつばはもう見ていられなくて、顔を埋めた。何も出来ない自分が、とても悔しかった。何が起きているのかもわからないけど。



「大丈夫?」



また、あの優しい女の人の声。彼女はみつばに手を差し伸べていた。みつばは怖くて何も答えられなかった。……でも、彼女はそんなに怪しく見えなかった。少なくとも、みつばからは



「嫌でしょう。もう与えてばかりの生活は」



女の人は優しく、優しくみつばに言う。



「おいで みつば」



みつばはそう言われて、彼女の手を取ってしまった。




「うん…。」




        第二章終わり



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