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出来損ないと呼ばれ追放された魔王の子供は国を創造し王となる  作者: 蒼崎しんのすけ


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第三部 第三章『世界の外側』

世界番号二一七を救った直後


転移船の中に、警報が鳴り響いた。


赤い光が明滅する


オルディスが操縦席から立ち上がった


「……おかしい」


ゼルが振り返る


「また世界が壊れたのか?」


「違います」


オルディスの顔から血の気が引いている


「世界が……増えています」


アークが画面を見る


一万八千


救済対象だった世界の数が――


一万八千ではなくなっている


一万八千


一万九千


二万


三万


数字が増え続けている


ノアが呟く


「世界が……生まれてる」


イリスは首を横に振った


「違う」


「生まれているんじゃない」


「呼び出されている」


世界の外側


突然、船の前方に黒い亀裂が現れた


転移船は強制停止する


その向こう側に――


何もない


星もない


時間もない


空間すらない


ただ巨大な暗闇が広がっている


オルディスが震える


「ここは……」


ネメシスが答える


「世界外領域」


アークが見る


「知っているのか?」


ネメシスは頷いた


「議会でも立ち入ることを禁じられている」


「世界と世界の間ではない」


「世界という概念そのものが存在しない場所だ」


その暗闇から――


声が聞こえた


「正確には違う」


全員が振り返る


そこに、一人の少女が立っていた


黒い少女


少女は十歳ほどに見えた


黒い髪


白い肌


黒いワンピース


裸足


そして、瞳だけが異様だった


右目には無数の世界


左目には完全な虚無


ノアが息を呑む


「……あなた、誰?」


少女は笑う


「私はリゼ」


「世界の外で生まれたもの」


イリスが観測する


瞬間――


鼻から血が流れた


「っ……!」


ノアが支える


「イリス!」


イリスは震えながら答える


「観測できないんじゃない」


「観測するという行為そのものが……」


少女を見る


「この子には意味がない」


リゼの目的


リゼはアークを見る


「あなた」


「クリエイトを持ってる」


アークは警戒する


「それがどうした」


「欲しい」


即答だった


ゼルが前へ出る


「断る」


リゼはゼルを見る


「あなたの力はいらない」


「ノアも」


「イリスも」


「ネメシスも」


そして再びアークを見る


「あなたの力だけが必要」


アークが尋ねる


「何のために?」


リゼは笑った


「外へ出るため」


世界の檻


リゼが手を上げる


暗闇に無数の光が浮かぶ


一万八千の世界


それぞれが巨大な糸で繋がっている


「世界は閉じている」


「世界と世界は お互いに干渉できない」


「でも あなたのクリエイトは違う」


「世界と世界の間に 新しい繋がりを作れる」


アークの表情が変わる


リゼは続ける


「だからクロノスは あなたを利用してる」


ノアが叫ぶ


「クロノスが!?」


「うん」


リゼは楽しそうに笑った


「一万八千の世界を救わせれば それぞれの世界にアークのクリエイトが残る」


「その全部を一本に繋げれば――」


少女の背後で、巨大な黒い亀裂が開く


「世界の外側へ 道ができる」


クロノスの計画


アークは黙った


ネメシスも何も言わない


オルディスが青ざめる


「……議長は最初から?」


リゼが頷く


「そう」


「世界を救うこと自体は嘘じゃない」


「でも その先に目的がある」


イリスが震える


「だから……未来が黒かった」


ノアがアークを見る


「私たちが世界を救えば救うほど……」


「外側への道が完成する」


アークは拳を握った


「クロノスは何を呼び出そうとしている?」


リゼは答えた


「私」


リゼの正体


全員が凍りつく


リゼは胸元に手を当てる


「私は《外界種》」


「世界が生まれる前から存在していたもの」


「でも 世界が作られたときに外へ追い出された」


「クロノスは私を封印した」


「そして今――」


少女の瞳が黒く輝く


「自分から封印を解こうとしてる」


アークが問う


「なぜ?」


リゼは少しだけ悲しそうに笑った


「クロノスはもう、限界だから」


クロノスの限界


その瞬間


宇宙の彼方


世界管理議会


クロノスの身体に亀裂が走った


一つ


二つ


無数


オルディスが叫ぶ


「議長の存在が崩壊している!」


ネメシスも驚く


「……使命の維持限界か」


クロノスは玉座に座ったまま、静かに目を閉じる


「もう……長くはない」


その身体は、何億年もの間に積み重なった世界の記録そのものだった


一つの世界を救えば、一つの記憶が増える


一つの世界を消せば、一つの罪が増える


その全てを抱え続けてきた


クロノスは呟く


「私はもう管理できない」


「だから――」


目を開く


「外側の存在にすべてを任せる」


アークの答え


リゼが手を差し出す


「私と一緒に来ればいい」


「あなたなら世界の外へ出られる」


「議会も クロノスも全部捨てられる」


ゼルが叫ぶ


「兄上 聞くな!」


ノアも不安そうにアークを見る


イリスは黙っている


アークは三人を見る


そして――


リゼの手を取らなかった


「断る」


リゼが目を細める


「どうして?」


アークは答える


「俺の力は 逃げるためにあるんじゃない」


「世界を繋ぐためにある」


「だったら 世界の外に逃げるんじゃなくて――」


右手に白い光が集まる


「世界の外側まで俺たちの世界にする」


ゼルが笑った


「それでこそ兄上だ」


ノアも笑う


「うん」


イリスの瞳が輝く


「未来が変わった」


世界外侵攻


リゼはしばらくアークを見つめていた


そして――


初めて笑顔を消した


「……そう」


少女の周囲から黒い亀裂が広がる


「なら 試してみよう」


「世界の外へ来て」


「あなたが本当に世界を創れる存在なのか」


亀裂が巨大化する


転移船の前方に、果てのない黒い領域が開く


その奥から――


無数の巨大な目が開いた


一つではない


十


百


千


世界の外側に潜んでいた存在たちが、一斉にアークたちを見つめる


ノアが震える


「……あれ全部 敵?」


リゼは答えた


「違う」


「敵なのは――」


少女がアークを指差す


「あなたたちが世界の外へ出ようとすることそのもの」


次の瞬間


世界外領域から無数の異形が押し寄せた


アークが構える


ゼルが笑う


ノアとイリスが観測を開始する


ネメシスが黒い剣を抜く


そしてオルディスが叫ぶ


「全員 戦闘準備!」


転移船が黒い海へ突入する


こうして――


「世界を救う旅」から「世界の外側との戦争」へ変わっていく・・・

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