第二部 『新世界暦』
第二部 『新世界暦』
真の黒幕・設計者との戦いから五年
世界は大きく変わった。
魔族、人間、獣人、精霊――かつて争い合っていた種族は、都市リベルタを中心に一つの共同体を築いていた
創王アークは都市連盟の代表となり、剣ではなく対話で世界を導いていた
ゼルは相変わらず最前線に立ち、「最強の守護者」と呼ばれている
ノアは十五歳へと成長し、観測能力を自在に扱えるようになった
イリスも都市で暮らし、人々から「未来を見守る少女」と呼ばれている
誰もが思っていた
もう世界は平和だ。
世界の外
宇宙の果て
そこには無数の世界が浮かんでいた
その一つが、アークたちの世界
巨大な存在が静かにそれを見つめている
「設計者が敗れた世界か」
その存在は、一つの世界を手に取るように眺める
「興味深い」
その背後には、さらに十二の巨大な玉座
それぞれに異なる存在が座っていた
彼らは「世界」そのものを管理する存在
設計者ですら、その一人に過ぎなかった
中央の玉座に座る者が静かに告げる。
「議会を開く」
「管理番号・第三七世界」
「自由意思の発生を確認」
「危険度……最上位」
新たな敵
リベルタの空に、光の柱が降り注ぐ
だが今回は黒ではない
黄金
空が割れ、一人の青年が現れた
白銀の髪
黄金の瞳
純白の衣
背中には六枚の光の翼
彼は街を見回し、静かに笑う
「なるほど」
「ここが自由を選んだ世界か」
ノアはその瞬間、顔色を変えた
「……見えない」
イリスも息をのむ
「違う……」
「この存在は観測不能ではない」
「観測する側だ」
名乗り
青年はゆっくり地上へ降り立つ
アークが前へ出る
「君は誰だ?」
青年は丁寧に一礼した
「私はオルディス」
「世界管理議会・第一執行官」
ゼルが鼻で笑う
「また偉そうなのが来たな」
オルディスは怒らない
「敵意はありません」
「本日は通達に来ました」
アークが眉をひそめる
「通達?」
オルディスは静かに告げた
「一か月後」
「この世界は消去されます」
街中が凍り付く
アークは一歩前へ出る
「理由を聞かせてくれ」
オルディスは淡々と答える
「自由意思は世界を予測不能にします」
「予測不能な世界は他世界へ干渉し、やがて宇宙全体を崩壊させます」
「これは世界管理議会の決定です」
ノアは震えながら叫ぶ
「そんなの おかしい!」
オルディスはノアを見つめる
「感情による反論は記録しました」
「ですが決定は覆りません」
オルディスが光となって消える
残された都市は静まり返る
ゼルが拳を握り締める
「世界ごと消すだと……?」
イリスは空を見つめる
「設計者の上にも、さらに支配者がいた……」
ノアはアークの手を握る
「守ろう」
アークは静かに頷いた
「もちろんだ」
そして都市中へ声を響かせる
「今度の敵は、一つの世界じゃない」
「宇宙そのものだ」
その日、人々は再び立ち上がった
自分たちの未来を、自分たちの手で選ぶために




