表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
出来損ないと呼ばれ追放された魔王の子供は国を創造し王となる  作者: 蒼崎しんのすけ


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
13/19

再臨

その朝、都市が静かだった。


静かすぎた。


鐘が鳴らない。

鳥が飛ばない。


アークが窓を開けて固まる。


街に人がいない。


家具はある。

食べかけの皿もある。


だが――人だけが消えている。


ノアが震える。


「……えらばれた」


空が裂ける。


白い観測空間が重なる。


イリスが現れる。


「非効率な未来を排除した」


ゼルが怒鳴る。


「人ごと消すな!」


イリスは淡々と言う。


「死亡ではない。

一時的隔離」


ノアの拳が震える。


「かえす」


イリスが手を広げる。


都市全体が観測空間へ移行。


無数の未来が空に浮かぶ。


消滅する世界。

統制された平和。

選択のない幸福。


「最適化された未来」


ノアの瞳が燃える。


「ちがう」


彼女も未来を展開する。


失敗。

涙。

笑顔。


“生きた未来”。


空間が軋む。


二つの観測領域が重なる。


イリスが未来を固定する。


都市が無人の理想状態になる。


ノアが叫ぶ。


「それは……いきてない!」


彼女は観測を上書きする。


街に声が戻る。


しかし不安定。


世界が点滅する。


ゼルが踏み込む。


「支えろ、兄上!」


アークが都市と同期。


現実を補強する。


観測 vs 観測

現実 vs 理想


空間が割れる。


イリスの瞳が深く光る。


「ならば、排除」


彼女がノアの“観測能力”を削る。


未来が見えなくなる。


ノアが息を呑む。


恐怖。


初めての“無観測”。


イリスが近づく。


「これで苦しみは終わる」


その瞬間。


ノアが呟く。


「……みえなくても、えらぶ」


彼女は未来ではなく――

今を見る。


心臓の鼓動。

ゼルの足音。

アークの声。


現実の確かさ。


観測が再点火する。


爆発的な光。


ノアがイリスの手を掴む。


未来の嵐が静まる。


ノアは見せる。


苦しみの先の希望。


選び続ける人々。


イリスの視線が揺れる。


「……矛盾している」


「うん。でも、いきてる」


沈黙。


長い観測の後。


イリスが手を下ろす。


「最適化、保留」


消えた人々が戻る。


都市が息を吹き返す。


イリスは後退する。


「観測継続。

次は結論を出す」


彼女は消える。


ノアが膝をつく。


ゼルが支える。


「勝った……のか?」


アークが空を見る。


「いや。保留だ」


ノアは静かに言う。


「それでいい」


未来はまだ決まっていない。


だから――進める。


都市が再び動き出す。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ