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出来損ないと呼ばれ追放された魔王の子供は国を創造し王となる  作者: 蒼崎しんのすけ


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12/28

暴走

その日は、あまりにも普通だった。


市場の喧騒

パンの匂い

子供の笑い声


ノアは広場の噴水に座り、

水の跳ね方をじっと見ていた。


ぽつり、と呟く


「……いっぱい」


視界に未来が溢れていた。


今日は静かに収束しない


分岐が増え続けている


彼女の呼吸が浅くなる


「とまらない……」


突然


世界が“二重”になる


人々の動きがぶれる


同じ人が違う行動を同時にして見える


ある未来では笑い、

別の未来では泣いている


ノアの瞳が白く染まる


「ぜんぶ……見える」


都市全体の未来が彼女に流れ込む


処理できない量


噴水の水が空中で停止する


時間が不規則に跳ねる


人々がざわめく


「何が起きてる!?」


ゼルとアークが到着する


ゼルが叫ぶ


「兄上、空間がおかしい!」


街の一部が“別の結果”になる


壊れていない建物が崩れる未来と、

無事な未来が同時に存在する


アークが歯を食いしばる


「ノアが全部観測してる……!」


観測=現実の確定


だが彼女は今、

確定させられずに重ねている


都市が多重化する


ノアが震える


「えらべない……!」


未来の重みが現実を裂く


空に亀裂


地面がずれる


都市が“可能性の層”に沈む


ゼルが断界を展開


「抑えきれねぇ!」


アークがノアへ駆ける


「ノア!!」


彼女の周囲だけ、

時間が無限にループしている


涙が空中に止まる


「こわい……

ぜんぶ、こわれる……」


彼女は未来の崩壊を見ている


だから止めようとして――

逆に重ねてしまう


アークはノアの手を握る


「全部見る必要はない」


ゼルも来る


「一個でいい」


ノアが震える


「でも……まちがえたら?」


アークが微笑む


「間違えても直せる」


ゼルが笑う


「俺たちがいるだろ」


ノアの視界に無数の未来


その中に一つ


三人が立っている未来


街が無事な未来


彼女はそれを掴む


「……これ」


ノアの瞳が静かに光る


未来が一本に収束する


重なっていた都市が戻る


空の亀裂が閉じる


水が落ちる


時間が動き出す


人々が息を呑む


崩壊は止まった


ノアの力が静まる


彼女は倒れる


ゼルが抱き止める


「よくやった」


医療室


ノアが目を覚ます


小さく呟く


「えらぶの、こわい」


アークが頷く


「だから一人でやらなくていい」


ゼルが笑う


「次は俺たちも選ぶ」


ノアは安心したように目を閉じる


観測の力は消えない


だが彼女は知った


未来は――

一緒に決められる


窓の外で都市が動く


静かに


確かに

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