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勇者誕生

加藤幸次郎かとうこうじろうは勇者である。

 彼は元の世界日本で看護師をしていた。日本の医療現場は人手不足から過酷な労働環境であった。加藤も中堅の看護師として、救急病院で連続夜勤に従事し、疲れ切って寮に帰った。28歳の若者でも体に疲れがたまるとどうしようもなくなる。


 死んだように眠った加藤は目覚めた時に、自分の体が思い通りに動かないことに気が付いた。

(な、なんだこれは!)

 声を出そうと試みたがしゃべることができない。

(体が動かない、起き上がれない……)


 どうやらベッドに仰向けに寝ているようだ。しかし、目に見える光景は今まで自分が暮らしていた寮の部屋の天井とは異なる。

(なんだ、この気持ち悪い感触……そもそも、今何時だ?)

 仕事の予定が入っているのだ。8時間睡眠を取ったらすぐに病院へ向かわないと、交代してくれた同僚の看護師が疲弊してしまう。


(うううう……何だか下半身が気持ち悪い……蒸れると言うか、何というか……)

 加藤はあうあうと口を動かした。何だか、声が出せるような気がする。


(よし、思い切って声を出そう)

「ほんぎゃ、ほんぎゃ……」

(はれ~っ。ほんぎゃってなんだ、なんで俺はこんな声しか出せないのだ?)

 見たことのない女性の顔が自分を見てる。ニコニコとした慈愛に満ちた顔だ。

「あら~、どうしたの~。もうお腹すいたのかなあ……それともオムツかな?」


 その女の人は加藤にそんなことを言ってくる。金髪の美しい外国人だ。加藤にはこんな外国人女性の知り合いはいない。

(ほよ?)

 おしりが急にさわやかになった。蒸れていたところに風が入ってすっとする。加藤はうれしくて足をぴょんぴょんと動かした。動かせる感触が味わえる。


「あらあ……うんちがいっぱい出たでちゅねえ……」

 お尻に温かい感触を覚える。お湯で拭かれているのだと加藤は思った。そしてその外国人女性は胸のボタンを2つはずすと豊かな胸をさらけ出した。


(え……ちょ、ちょっと……こんな昼間から……見ず知らずの女の人に……そりゃ、むしゃぶりつきたいけど……うぷっ)

 加藤の口の乳房が押し込まれる。

(うううう……うめええええええっ……というか、お乳かよ!)

 加藤はここで気が付いた。自分は赤ちゃんになっていることを。


「はい、セバスチャン。いい子ですねええ……」

 加藤幸次郎は自分が異世界に生まれ変わったのを知った。

 セバスチャン・カトー。生後2か月


 王国の元老院議員リチャード・カトーの嫡男として、姓を受けたのだ。


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