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ざんねんな勇者 ~エルフ娘が語る異世界からの英雄譚~  作者: 九重七六八
第2話 ステータスオープン勇者
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ジゼルの警告

「昔、魔法大学院へ通っていた時に習ったのですよ」

 タカギはチュートリアル機能で得た一般的な知識から、魔法習得の王道パターンを口にした。この異世界では高度な魔法は魔法大学院というところで学ぶのだ。


「魔法大学院……その年齢で?」

 シエラはタカギのことを疑っているようだ。魔法大学院への入学資格は、普通は23歳を越えてからである。まだ17歳のタカギは若すぎるのだ。さすがにチュートリアルに書いてあることからでは、そこまで分からなかった。タカギは慌ててフォローする。


「飛び級ですよ、飛び級」

 苦しい言い訳だが、ブリザードの魔法を使えるという事実は、動かせない。タカギが何らかの方法で高度な魔法が使えるようになったことは認めるしかない。


「まあ、タカギのおかげで俺たちは助かった。あのまま、火で攻撃していたら増殖したクリスタルスライムによって全滅していたかもしれないからな」

 そうリーダーのベルドモットは話をまとめた。タカギが得体のしれないものであっても、その力は自分たちのパーティにとってはマイナスではないからだ。


「タカギが中級魔法も使える魔法戦士なら、今日のダンジョンかなり深いところまで潜れるな」

「深いところって……まさか、第7層まで行くの?」

 ベルドモットの言葉にシエラが心配そうにそう言った。彼らが今まで活動してきたのは、第6層まで。6層までのモンスターは把握しているし、罠の位置やダンジョンの通路の情報も良く分かっている。

 だが、7層は未知の領域だ。出てくるモンスターについても噂を知っているだけで、実際に戦ったことはない。


「いや、これはいいきっかけじゃないか。タカギが加わったことで戦力はアップした。6層まででは物足りないのはみんな思っているんじゃないか?」


僧侶のホーキンスは楽観的だ。下の階層ほど得られる報酬は大きくなる。パーティの総合力も上がっていて、そろそろ未知の階層へ行くかどうか迷っていたこともあり、タカギの加入はその考えを前進させるのに十分なものであった。


「タカギの魔法があればいけると私も思う。それにタカギの剣技もかなり期待できると思うのだけど……」

 シエラがそうタカギの方をチラチラ見ながら言った。どうやら、このお姉さん。タカギに興味津々のようだ。


 ここまでタカギはそれほど活躍していない。モンスターがあまり現れなかったこともあるし、出てもリーダーのベルドモットの一撃で粉砕していたからだ。

「いや、魔法はともかく、剣技の方は……」

 一応、タカギはそう謙遜してみたがそれは当然ながら演技。ステータスの通常状態でもベルドモットの2倍は強いし、ステータスの数値移動をすれば、剣の技もMAXにして最強になることができるからだ。


(いつまでもごまかかすわけにはいかないし、少しだけ手加減して剣の技もこいつらに披露するか……)

 タカギはほくそ笑んだ。そんなタカギをじっと見ている人物がいる。エルフのジゼルだ。

普段はあまりしゃべることのないジゼルはタカギのところへ近づく。ジゼルは背が低いからタカギを見上げるようにして、そのサファイアのような澄んだ水色の瞳を向けた。


「タカギ、タカギはモンスターの能力がわかるのか?」

 ギクッとしたタカギは思わず、体をこわばらせた。幸い、他の仲間は自分たちを見ていない。

「ジゼルちゃん、どうしてそんなこと聞くの?」

「……確信はない。だけど、タカギはいつも余裕。まるで相手のことが全部分かっているみたいに」


 タカギはこのエルフの少女の観察眼は侮れないと思った。この少女はこれまで自分をじっくり見ていたのだ。その結果、タカギにはモンスターの能力が見えるという結論に達したのであろう。もしかしたら、モンスターだけでなく、人間のステータスも看破できることをしったかもしれない。


(それにこの子、年齢でいけばこのパーティの最長老。経験もだれよりもある。見た目はどう見ても小学生か中学生だけど……)


「嫌だなあ。ジゼルちゃん、そんなこと分かるわけないじゃん。分かったらこのダンジョン楽勝じゃん」

 遭遇するモンスターのステータスがすべて分かれば、戦闘では有利だ。作戦も立てやすいし、弱点も分かる。仮に自分より強い相手がいても、勝てないと判断したら逃げることもできる。攻略法が分かったゲームに臨むのと同じだ。

「……もちろん、普通の人間にそんな力はない。エルフにもドワーフにもない」

「そうだよね」

「タカギが勇者でない限り……」


 淡々と語るエルフの少女の予想は当たっている。タカギは開き直ることにした。

「くくく……よくぞ見抜いたね、ジゼルちゃん。そうこのタカギ様は勇者なんだよ。だから、このダンジョンは攻略されたも同然だよ」


「はあ……」

 ジゼルはあきれたようにそうため息をついた。確かにこのダンジョンに初めて潜った人間が言うことではないし、自分から勇者だと言うのを簡単に信じるわけがない。


「タカギ……もし、相手のことが本当にわかるのなら、注意した方がいい。答えをいつも見る癖をつけるとそれができないときに自分で考えることができなくなる。それに見えたものがいつも正しいとは限らない」


(いつも正しいとは限らない?)

(何言ってるんだ、この子は?)

(俺は神によって選ばれた勇者様なんだよ。この能力は無敵なのさ)

 モンスターの強さは全て把握。把握した上で自分のステータスを操作。モンスターに合った攻撃力を構築して戦いに臨む。どんなボスキャラだって楽勝である。

「ジゼルちゃん、まあ見ててよ。ここからの冒険は楽させてあげるからね」

「……」


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