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家に帰り森で歌います。
何曲か歌ってると、何か光って消えていく。
なんだろう?
蛍みたいなものかな?
晩御飯の支度をして、またクッキーを作る。
ロンドさん喜んでくれたし、一応手土産として持っていこう。
マリウスさんのじい様って、どんな人だろう。
はぁー、気が重いなぁ。
翌日、約束の時間にギルドに行ったら、
「悪い。場所変更で、俺の家になった。」
「うえっ?なんで?」
「歩きながら話そう。」
ギルドをでて、歩きながら話します。
「じい様がギルドにくると、仕事にならんからな。俺達の家で待たせてる。」
ん?達?
「あの、俺達ってことは、マリウスさんの家族もいるんですか?」
「ん?あぁ、いや違う。俺達というのは、俺とロンドだ。2人で暮らしてる家だ。」
うひょ〜!まさかまさかの関係ですかぁー。
私、腐ではないのですが、興奮しちゃいますよ?
「そんな、2人の愛の巣にお邪魔するなんて、むりですっ。無理無理無理!馬にけられちゃいます!
どこか別の場所にしましょう。」
「待て、なんか変な言葉が聞こえたが?」
「クレアちゃん、何か勘違いしてない?マリウスの家が広くて部屋が、3つ4つあるからさ、その一部屋を借りてるんだよ。どうせ、寝に帰るだけだから、家賃もったいないしね。」
ニッコリ笑顔だけど目が笑ってないよ、ロンドさん。怖いよ〜。
「あはは〜。ジョウダンデスヨ〜。」
疑惑は残るが、踏み込むのはダメだ。
「えっと、お家にお邪魔していいんですか?」
「よくなかったら案内しない。じい様も待ってるしな。」
「はぁ。わかりました。」
マリウスさんの家は、ギルドから近いところにありました。
思ったよりも大きいです。
お邪魔しまーす。
おじい様がいるであろう部屋のドアをあける。
目つきの鋭い男の人が立っています。
この人がおじい様?
おじい様にみえません。若いです。
マリウスさんより少し年上くらいに見えます。
「えっ?おじい様?ほんとに?お兄様じゃなく?」
マリウスさんを見ます。
「勘違いするな。そいつは、じい様の護衛だ。じい様は、どこに行ったんだ?」
なんと、護衛・・・いや護衛ならおじい様についていかないとダメでしょ。
「そちらに。」
おおぉ。渋い声。
手で示された方をみると、ドアの横に立って笑ってる人がいます。
「じい様、なぜそこに?」
「いや、驚かせようと思って?」
ため息をつくマリウスさん。
「とにかく座ってくれ。」
ソファに座って
「はじめまして。クレアです。」
「はじめまして、そこにいるマリウスの祖父で、ジョバンニ・スペンサーだ。クレアさんの刺繍が上手と聞いてお願いにきたのだよ。」
「そちらの、護衛の方は?」
「ん?こいつは、ルークだ。護衛が、気になるか。」
ニヤニヤしてますねー。
「ルークさんですね。先程は、失礼しました。
クレアです。よろしくお願いします。」
「いや、構わない。ルークだ。」
ロンドさんがお茶をいれてくれたので、クッキーを出します。
「よかったら、どうぞ。」
「ありがとう。あっ、また作ってくれたんだね。」
「クレアが作ったのか?」
「はい。」
4人で、座ってますが、ルークさんは、立ったまま。
「あの、ルークさんは座らないんですか?」
「護衛だからな。」
「うまいな。」と食べてるクッキーを数枚ハンカチに包んでルークさんに渡します。
「よかったら、あとで食べて下さい。疲れた時は、甘いものですよ!」
「いや、俺は護衛だから・・・」
「?護衛は、甘いもの食べたらダメなの?あっ、ごめんなさい。私が勝手な事したから、怒られるんですね。ごめんなさい。マリウスさんのおじい様、私が勝手にした事だから、ルークさんを怒らないで下さい。お願いします。」
ブフォー。ニヤニヤしながら飲んでたお茶を吹き出してむせてます。
「いやいや、なんでそうなる?怒りはせん。ルークも、もらっておきなさい。」
「はっ。ありがとう、クレアさん。」
「クレアでいいですよ。」
「わかった。」
「マリウスさんのおじい様、怒らないでくれて、ありがとうございます。」
「マリウス、どういうことだ?私は、そんなに怖いか?」
「いや、クレアの貴族に対する考え方がなぁ。
まぁ、気にしないでくれ。それより、刺繍だろ?」
「ああ。マリーにハンカチを贈りたいと思ってな。クレアさん、頼めるかな?」
「あの、私より上手い人に頼んだらダメですか?」
「マリウスがクレアさんが上手いと言うから、ぜひともお願いしたい。」
「マリウスさん、何言っちゃってるんですかー。
困ったなぁ。」
「クレアの腕なら大丈夫だ。」
「クレアちゃんほど、上手な人いないよ。」
2人に言われては仕方ない。
「わかりました。ハンカチ1枚でいいですね?
どんな柄を刺繍しますか?」
「バラの花を頼む。マリーの好きな花なんだ。」
フワッと笑う顔は、優しい。
奥様の事が、とても好きなんだろうな。
「わかりました。バラですね。」
「こちらに、布や糸など、持ってきたから選んでくれ。」
ほえー。抜かりない。
最初から用意してるなんて・・なんか掌でコロコロ状態?
むぅ。黙って布や糸をみます。
あとは、勝手に話してて下さい。