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新たな出会い その3

 それから暫くした後、着替えを終えたリッチ4世さんが再びその姿を自分達の前に現した。

 再び現れたその姿は、先ほどの黒一色の貧相と言った恰好は何処へやら。一言で言って先ほどよりも目立つし、貴族のような装いに見えなくもない。

 基本は黒に近い紺色のローブだが、そこに加えられた黄金色に輝く装飾品の数々。肩にはよく解らない何かの毛のようなものが付いており、手には人間か亜人かはたまた魔族かの頭蓋骨が二つ付いた禍々しい杖を持っている。

 まさに一目で自分達とは異なる世界の住人であると分かる装いであった。


「お待たせしました。これぞ、私の正装です」


 肉体的にない胸を張り正装を誇らしげに見せつけるリッチ4世さん。その姿を見てカルルはカッコイイと感想を漏らす。

 カッコイイかどうかは別にして、着替える前より立派になったのは確かだ。だがその分、魔族としての威厳と言うか雰囲気と言うか。それらも増した気がする。

 魔族の一般的な印象などは分からないが、多少腹の立つ部分はあるもののリッチ4世さんは根っからの悪ではないのは話していて分かった。カルルが怖がったりしないのも、根はいい人なのだと感じ取っているからかもしれない。

 しかし、多種多様な人々がいる王都の全員がリッチ4世さんを害のない人物であると分かってくれるだろうか。

 その姿を見ただけで剣を構える者も出てくるかもしれない。いや、確実に出てくるだろう。


 となると、何とかして姿を誤魔化して王都に入れなければならない。もしそれが駄目なら、最悪王都の外で隠れていてもらわなければならない。


「あの、出来ればもう少し目立たないように出来ないかな。これじゃその、目立って仕方がないと言うか……」


「おぉ、そうですね。執事たるもの主人よりも目立ってはいけませんものね」


 そういう意味ではないのだが、と言葉を続けると。


「分かっていますよ、私の姿が王都で公になれば無用の混乱を引き起こしかないかも知れませんからね」


 と、自身でも分かっていたのか。自分が言いたかった事を既に察していた様だ。


「うむむ、魔法で体を見えなくして頭だけと言うのも出来ますが、いかがですか?」


「いやいや、それじゃ余計に目立つよ」


 自分達の歩く後ろをフードを被った頭蓋骨が宙に浮きながら付いてくる。考えただけでも不気味で怖い、それが夜中などに見られると思うと尚更怖さが増す。

 傍から見て、もはや何かに取りつかれているとしか思えないだろう。


「では、省エネモードと言うのはどうでしょう?」


 家電製品の設定のような名前に、一体どうなるのか想像すら出来なかった。と言うよりも、そもそもそれは魔法なのか。

 そこで、一度実践してほしいと頼み、省エネモードとやらを見る事にした。


 省エネモードに必要なのか、詠唱のようなものを口にすると、手に持った禍々しい杖を天高く掲げた。

 刹那、リッチ4世さんの体から眩いばかりの光が溢れ出る。その溢れ出る光の眩しさに、もはや目を開けている事も出来ず自分もカルルも目を背けるしかなかった。

 やがて光が収まると、自分達は再びリッチ4世さんの方へと目を向けた。だが、目を向けたその先には、先ほどまでその場にいたはずのリッチ4世さんの姿が見当たらなかった。

 一体何処へと思った瞬間、カルルの驚いた声が耳を突いた。


「ショウイチ! あ、あれ!」


 何かに驚くカルルが指さす方、その先に目を向けると。そこには、我が目を疑うものがいた。


 そこにいたのは、カルルよりもさらに小さな、ぬいぐるみのような大きさしか持たないリッチ4世さんと思しきなにかだった。


「ほほほ、どうですか。これこそ省エネモードです」


 自分と同程度であったフルサイズの時の身長はもとより威厳はもはや何処へやら。そのまま小さくなったと言うよりも、デフォルメして小さくなったその姿は何処か不思議な可愛さが溢れていた。

 そんな姿に合わせるかのように、その声もまた、可愛らしさを押し出したものとなっていた。


「ほ、本当に、リッチ4世さん。ですか?」


「正真正銘私自身ですよ。ほらほら、先ほどまでの紳士っぷりが溢れ出てるでしょう?」


 紳士としての何かが溢れ出ているかどうかはさて置き、兎に角これで王都に戻っても問題は起きなさそうだ。

 誰かに見られても、ぬいぐるみ等と誤魔化せそうだし。


「それから一応、留意していてほしいのですが。この省エネモード中は力が制限されていまして、一応魔法も使えますがフルサイズの時よりも威力が下がったり一部の魔法は使えなかったりします」


「なる程ね。了解、留意しておくよ」


 流石に省エネと言うだけあって、小さくなっても能力そのままとはいかないか。


「さてと、問題も解決したし、今度こそ王都に戻るか」


 こうして、三度目の正直と言わんばかりに今度こそ王都に戻る為に足を踏み出し始めた。

 その肩には、行きには見られなかった不思議で可愛いぬいぐるみのような魔族を乗せて。



 因みに、王都へと帰るその道中。特に聞いてもいないのに生い立ち等を含め何故あの場所に倒れていたのか、何故一文無しだったのか等、リッチ4世さんはその経緯を勝手に話し始めた。

 元々更に女性にモテるからと言う理由で魔法使いの道を究め、不老不死になればずっと女性とキャッキャ出来ると思って今の姿になり。魔族の女性も攻略したいと魔界に赴き、攻略の為にはそれ相応の力を示さねばと更に力を磨き。

 そしてふとエルガルドの女性が恋しくなり戻って来てはみたものの。悪い女性に捕まり根こそぎ金銭を吸い取られた挙句、怪鳥の餌にされようとしたとの事。

 そして、最後の力を振り絞って餌にされる寸前に逃げ出し、あの場に倒れていたのだとの事だが。


 聞いた感想を言えば、不純としか言いようがなかった。

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