アウラ、手紙をもらう
厳しい冬も終わりに近づき少し暖かくなり、降り積もった雪も溶け始めた頃。
カルナザルの街もソワソワしてきました。
もうじき春がやってきます。
私がエリーと出会いカルナザルに来て初めての冬でした。
厳しい、とは言っても森中の里に比べればとても快適でしたけど。
この冬の間、私は皆さんに稽古をつけたりハインツさんと新しい料理を作ったりしてました。
お外は凍てつく寒さでしたが屋根付きの修練場のおかげでカルナザルガードの面々は滞りなく修練に励んでいましたよ。
あ、それとヒーちゃんですけど二番弟子デビューしました。
最初は少し運動しただけでクタクタでしたけど誰よりも早く身体強化(改)をマスターしちゃいました。
今では歩法や基本技である『纏』などをエリーやイメルダさんと練習中です。
それと……
街中の孤児たちのお話し。
今年は不幸な出来事がゼロ件だったそうです。
例年は何名か飢えや寒さで亡くなる事があったみたい。
カルナザルガードの騎士さんたちのおかげで孤児たちも心を開き、一時的にでも孤児院に身を寄せてくれたのが一番の要因で嬉しい出来事でした。
春になったらやりたいこと。
赤芋の栽培です。
ダカン父さまは私の提案に二つ返事で許可をくれて、試験的と言う事でギュスターヴ家の農園の一部を借用までさせてくれました。
本格的に暖かくなってきたら孤児院とカルナザルガードが協力して苗を植える予定です。
ドサリ。
と屋根から雪が滑り落ちる音。
もうじき春がやってきます。
そんなとある昼下がり。
王都から私宛にお手紙が届きました。
差出人はじいじ。この国の大公さまです。
エリーとソフィー姉さまのおじい様で私のお友達。
気になるのはお手紙の内容です。
『拝啓、親愛なる我が友アーちゃんへ。あそびにおいで。じいじより。』
……1行のお手紙。
じいじらしいお手紙です。
春になればきっと色んな素敵なことが私を待っているー
じいじからのお手紙を開けた瞬間、私は漠然とそう思ったのでした。




