アウラ、お姉ちゃんになる①
新章始まります。
トルクですが週末の社員旅行は中止になりました。
さすがに熊本が大変な時に不謹慎だって事で。
トルクの親戚も被災したそうで、幸いにも皆無事でした。
トルクに出来る事はそんなにありませんがせめてこのまま毎日更新を続けられる様に頑張ります。
熊本のみなさん、大分のみなさん!
余震が続いています。
危険な場所には近づかないで!
あなたの命が一番大切なのですから。
一日も早い復興を心からお祈り申し上げます。
頑張って下さい!
とある昼下がりー
私とエリーは街にお買い物に来ています。
カルナザルの商業区はとっても活気があります。
「お!ちびっ子師匠!いい果実が入ったぜ!」
「姫さま!ウチのモロコシは甘いよ!」
道行けばみんなに声をかけられます。
今日の私たちの目的はソフィー姉さまのお誕生日プレゼントです。
姉さまに似合いそうなかわいい小物を探しに来ました。
「ふああ。エリー!お店屋さんがいっぱいです!」
「ウフフ。アーちゃん、楽しそう。」
「はい!とっても楽しいです!」
実のところ私はカルナザルの街を散策するのは初めてなのです。
たまにメイドさんたちのお使いに連れていってもらう事はありましたが主に大店に食料などの買い付けだったので、市民の皆さんが普段通うお店屋さんがとっても新鮮なのです!
「アーちゃん、ここよ。このお店。」
エリーが指差した先はー
『雑貨屋 乙女の嗜み』
はう!乙女!
なんかファンシーな感じです!
「あ、アーちゃん。これからお店に入るんだけど驚かないでね?」
「えっと、はい?」
驚くほどファンシーなのでしょうか。
ワクワクが止まりません!
カランコロンー
ドアを開けていざお店の中へ。
「いらっしゃ~い。あらま、可愛いお客さんだこと!」
野太い声です。
太い腕です。
おひげが青いです。
え?
おじさん?おばさん?
「こんにちは、キャロルさん。」
え?エリーの知り合いですか!?
「あらまあ、姫さまじゃないの!お久しぶりねぇ。それじゃこちらの方がお師匠ちゃんかしら?」
「ええ。私の師匠で親友のアーちゃんよ。」
バチコンッ!て音がしそうなウインクされました!
「は、はじめまちて!あうらでしゅ!」
ああ!滑舌が!
「ウフフ。アウラちゃんね。そうだ、私もアーちゃんって呼んでいいかしら?」
「あい!」
い、いけません!何故か足がガクブルです!
「大丈夫よ、アーちゃん。キャロルさんは乙女道の家元なの。見た目はアレだけどね!」
「まあ!姫さまったら!失礼しちゃうわね!!」
自らの身体を抱いてイヤイヤするキャロルさん。
珍獣?
「う、うん。よろしくお願いします。」
「はい!よろしくされました❤」
ぐふっ!かなりの戦闘力です!
「所で姫さま、今日はどんな御用かしら?」
「ええ。ソフィー姉さまのお誕生日プレゼントを探しに来ました。」
「まあ素敵!だったらこんなのはどうかしら?」
キャロルさんが凄く高い棚からひょいっと箱を降ろします。
私じゃ梯子が必要です。
「ほら、これよ。」
キャロルさんが見せてくれたのはブレスレットです。
「わあ、綺麗‥‥」
「でしょ?アーちゃんはお目が高いわね。」
誉められました。ちょっと嬉しい。
「いろいろありますね。キャロルさん、この青い石は?」
「姫さま、これはサファイアよ。安い石だけど綺麗でしょ?」
「サファイアが安い?」
私は思わず問いかけます。
「あら?エルフには馴染みがないのねぇ。街の傍に河があるでしょ?上流に鉱脈があるのかしら。この辺りではよく採れるのよ。」
なるほどなるほど。
「ただブレスレット自体はミスリルで組んだチェーンだから少し値が張るわね。」
ごくり。おいくらなんでしょう?
「うーん。私たちのおこづかいで買えるかな?」
「そうですね。でもソフィー姉さまに似合いそうです!」
私たちが暫く悩んでいると
「ウフフ。これはね、新米の彫金師の作品なの。だからお安くできるわよ?」
「「いくらですか!」」
「そうねぇ。金貨一枚って言いたいところだけど‥‥大サービスよ!銀貨50枚でどうかしら?」
え?半額ですか!
「「買ったー!」」
「ウフフ、毎度ありがとうございます。」
こうして私とエリーはソフィー姉さまへのプレゼントを無事ゲットしたのでした。
その帰り道ー
「うわ、きったねーな!」
「チッ。よるんじゃねーよ!汚れるだろうが!」
小さな子供がふらふらと歩いています。
破れた服ー
身体中に痣ー
「チッ、ダークエルフのはぐれかよ!おい、誰か守備隊を呼んで来いよ。」
「うわ、さわんなっての!」
ゲシッ。
小さな子がおじさんに蹴られました!
「エリー!」
「うん!」
私たちは身体強化(改)でその場に急行し、二撃目を入れようとしたおじさんの前に立ちふさがります。
「これ以上は許しません!」
「げ!残念‥‥姫さま!」
このおじさん、今残念騎士って言いかけましたね?
はい、お仕置き決定!
軽く殺気を飛ばしてあげます。
「ひぃ!ちびっ子師匠!!」
なんなんですか!そのリアクションは!失礼ですよ。
「この子はこちらで保護します。何か異存が?」
「い、いえ!ありません!」
おじさん、ビビりまくりです。
「エリー!ちょっとまずいです!」
この子、頭にケガしたみたい。血が出てます!
「大変!アーちゃん、私が抱っこしていくわ!治療院へ急ぎましょう!」
「はい!」
私とエリーは再び身体強化(改)を使うとその場を風の如く立ち去るのでした。
「すげぇ‥‥」
「ああ。ちびっ子師匠、恐るべし。」
カルナザルの街で私とエリーの噂の種がまたひとつ増えた瞬間でした。




