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昨日…、一昨日か。投稿できなくてごめんなさい。

そして昨日投稿するつもりだったのですがすみません。

 「…できた」

 

 私は琥珀色の液体の入った試験管を持ち上げ、そう呟く。


 ついに、できた。


 完成したのだ、未知の病を治癒する薬が。長かった道のりを思い出し、思わず涙ぐむ。漸く、これで病に苦しむ人々を助けてやることができる。





 「考えたんだが……、俺の身体の一部を使うのはどうだろうか」

 「……え?」


 久々に摂った深い睡眠から目覚めた時。そこには、眠る前と変わらずアリスの姿があった。先程のこともあって、少し気恥ずかしかったが、気にしていない振りを装っておはよう、と言う。穏やかに微笑んで挨拶を返したアリスは、私がすぐに開発に取り組もうとするのを遮って、そう提案した。


 アリスの一部…?


 彼が何を言っているのか理解できず、素で聞き返してしまう。そんな私の反応に苦笑し、アリスは詳しく説明してきた。


 「イチから、薬があと一歩のところまで来ている、と聞いた。患者の中の、薬を拒むウイルスを殲滅する材料が必要なら、この病に魔族が関わっていることを前提に、俺を使えば良いんじゃないか?」


 目からウロコだった。今まで生物を試すことなど考えたこともなかった。希望が胸に広がるのを感じる。


 「その考えがあったか…。早速試してみよう」


 普段普通に生活しているので忘れがちだが、アリスには魔族の血が流れている。もしこの新種の病に魔族が何らかの形で関わっているのだとすれば、彼の存在は重要な鍵になるかもしれない。


 今までその可能性に気づかなかったことに反省する。柔軟な思考を出来なくなる程疲れが溜まっていたのだろう。今は身体も精神もすこぶる良好なので、アリスには本当に感謝しなければならない。


 急いでアリスから試料となる血や細胞、体液などを貰う。何となく、血がアタリのような気がする。私の勘は結構当たるのだ。

 

 アリスは気が散るだろうから、と外に出てくれた。寝起きの不安定さからか、実のところ一人になるのは少し寂しさを感じたが、散々世話を焼いてもらったので、これくらいは頑張ろうと思う。


 「よし」


 一人で呟き、気合を入れる。大丈夫、きっと出来る。


 私はまず血を使い、薬開発に取り組んでいった。





 改めて琥珀色の液体を眺める。まだ試してはないが、完成したことは間違い無いだろう。


 アリスの血が最期のピースだった。人肌くらいに温めて投入することが条件だ。アリスが思いついてくれて、良かった。そう考え、彼には真っ先に報告しなくては、と思い立つ。


 言いようのない喜びを噛み締めながら、駆け足で隠し部屋から出て、アリスを探す。もう店は疾患してしまった患者で一杯だった。呻く彼らの間を縫うように進むと、もう見慣れた後ろ姿を見つける。


 「アリス!!」

 「…ナル?」


 小声で私の名前を呼び、驚いたように振り向くアリス。私は駆けていって、その腕の中に飛び込んだ。いきなりのことでもしっかりと抱き留めてくれる逞しい腕に安心しながら、彼の顔を見上げる。


 「できたんだ!アリスの言った通りだった!遂に完成したんだ!!」

 

 一気にまくし立てる私に呆気に取られていたアリスの顔に、じわじわと喜色が浮かんでくる。


 「本当か? 本当に――」

 「ああ、本当だ!」


 私が肯定すると同時に、ぎゅっ、と抱きしめられる。アリスは私の首筋に顔を埋めながら、よくやった、と何度も呟く。


 「頑張ったな。本当によくやった。お前のお陰でこいつらは全員救われる」

 「…ううん」


 そんな風にアリスが言うので、すぐに否定する。


 「違う。私じゃなくて、アリスが居てくれたからできたんだ。お前が私に休めと言ってくれた。お前が私にアドバイスをくれた。本当にすごいのはアリスだ。ありがとう」


 精一杯、感謝の念を込めて礼を言う。本当に、謙遜なしで、今回はアリスが居なかったら薬など出来なかったと思う。アリスは私の言葉に驚いた様子だったが、私が真剣に何度も言うと、笑ってああ、と頭を撫でてくれた。


「さぁ――」

 

 落ち着いたところでアリスが私に言う。私は彼の言いたいことが分かったが、黙って次の言葉を待つ。


 「――救世主の時間と行こうか」






 試作品は、絶大な効果をその時点でもたらした。まず最初に疾患した患者に与えたのだが、一番症状が酷く、悪夢に魘されていた彼が、薬が効き始めると穏やかに寝息をたて始めた。私の考察では、魔族の血だから、では無く、アリスだから、のほうが正しいのではないかと思う。


 アリスは私の魔力の込められた血を吸っている。恐らくそれが色々な作用をしているのだろう。お陰で大した修正も無く、新種の病を治癒できる新薬が完成した。


 今ではほとんどの患者に薬が行き渡っており、疾患が早かった始まりのグループはもう少しで完治に至る。黒かった虹彩も元の色彩を取り戻していた。


 新たな感染者も、数人ちらほらといるが、もう収まってきたと言っていい。街は平穏を取り戻しつつある。




 「――で、結局この病の正体は分かったのか?」


 隠し部屋で、数日前と同じように、私、アリス、ロドック、フィー、イチで集まる。だいぶ患者が減ったので、皆余裕が持てるようになったのだ。


 私が薬の開発をしていた時に、彼らが調査できたことの報告を求める。すると、なぜか彼らは私から目を逸した。イチは苦笑している。


 「なんだ。早く言え」


 不思議だが、ここは問い詰めなければならない。症状が虹彩が黒く染まることなので、最悪魔族が関わっているかもしれないのだ。実際、アリスの血で薬が完成している。その可能性は極めて高かった。


 「…あのね、」


 三人での無言の押し付け合いの末に、フィーが仕方なさそうに口を開く。最悪の事態を考え、私は背筋を正す。そんな私のことを見て、なぜか彼らは微妙な顔をした。


 「とっても言いにくいんだけど…。えっと、今回の病の原因は、一応分かったわ。んーと…」


 言い渋るフィーに、アリスとロドックの視線が突き刺さる。私もそんなにためられると嫌な想像ばかりしてしまう。暫しの沈黙の後、フィーはああ、もう! と叫んだあと、早口で言い切った。


 「もう! 原因は、アタシがかつて飼っていて、いつの間にか逃げた魔鳥でした! 一年くらい前だったんだけど、それから今まで生きていたのね。で、ある時飢えた人間に捕まって、食べられちゃったって訳!!分かった!?」

 「……は?」


 ヤケクソになって一気に叫ぶフィーに、思わず目が点になった。魔、鳥…? 魔鳥とは、その名の通り魔力を持った鳥で、魔族の住む魔界の生物だ。しかしその豪華な見た目から、富豪層のペットとして狩られることもある。間違っても食べるものではない。というか…、つまり――


 「つまり、お前が元凶、だと…?」


 ふぅ、と深呼吸をする。私は奴の所為で、身を粉にして、倒れそうになって、アリスに怒られたの、か…?

 ふつふつと湧いてくる怒りを必死に抑え、確認をする。


 そんな私を見て、フィーは震えている。


 「そ、そそそうです!アタシの所為です!ごめんなさあああああい!!!!」


 

 ――その日、ゲラウス街には威勢の良い断末魔が響き渡った。







強引に終わらせますよっと。グダグダですが、これ以上作者にシリアスを続ける勇気はありません。作者のライフは0よ!状態です。

一応補足ですが、今回は元凶が一匹の逃げ魔鳥なので、今の感染者が完治すれば、もう二度と発症しません。食べられちゃいましたし(汗)あくまで恋愛なので…


頑張ります。こそっと応援してくださったら嬉しいです(笑)


ありがとうございました。

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