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もりとき怪談 第二集【一話完結/短編怪談】  作者: もりとき


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12/12

お盆の海

 お盆の時期に、海に行っちゃいけないって、聞いたことない?

 私はおばあちゃんに口酸っぱく言われてたよ。おばあちゃん、海に近いところの出身らしくて、「お盆の時期には死者が海から帰ってくる。だからお盆に海に近付くと、おばけに連れて行かれちゃうよ」って言ってた。

 小さい頃は怖くて、お盆になると母親にくっついて離れなかったよ。帰ってきたおばけが、海からぞろぞろ出てきて、そのまま街を闊歩していろんなところに行くって思ってたんだよね。

 おばあちゃんも一緒に住んでたから、お盆の頃になると毎年言ってた。まぁ、うちの近くって海なんかなかったんだけどね。

 でも親もおばあちゃんのことを気にしてたのか、海に遊びに行くってなってもお盆の時期は外して行ってたよ。


 小さい頃はそういう話が怖くてもさ、さすがに高校生にもなると迷信だって分かるじゃん。

 で、私が高校2年生の夏、友達に大学生の彼氏ができて、みんなで海に行こうってなったの。その彼氏が大学の友達を連れてきて、男3人、女3人で遊びに行った。ちょうどお盆の時期だったんだけど、そんなことぜんぜん気にしなかったよね。もしかしたら、大学生の彼氏ができるかもって期待の方が大きかった。

 その日はお泊りで遊びに行ってさ、明るい時間は海水浴を楽しんで、夜は海辺で花火するってプランだった。

 海にはけっこう人も多くて、おばけなんかとは無縁な感じだったよ。


 それで夜になって、友達の彼氏が持ってきた花火をみんなでやってたのね。

 夜の海辺でもカップルが散歩をしてたり、浜辺に座ってたりでそれなりに人がいたんだ。地元の人が犬の散歩とかもしてた。

 私達もきゃあきゃあ言いながら花火をしてたんだけど、ふと、波打ち際に女の子がひとりで立ってるのに気が付いたんだよね。

 その子さ、水着だったんだよ。

 しかもちょっと古い水着? スクール水着っていうのかな。黒いワンピースタイプの水着。あんまり海には持ってこないような水着を着て、海を見てた。

 夜の海なんて暗くて泳げないから、水着で来てる子なんてその子しかいなかった。10歳くらいだと思うんだけど、近くに親っぽい人もいなくて、地元の子かなと思ってた。


 私が海の方を見てるのに気が付いた友達が、「どうかしたの?」って言いながら近付いてきた。私が「あの子さぁ、何で夜に水着で来たんだろう」って言って指をさしたのね。

 その瞬間、波間から長くて白い腕がにゅっと出てきて、その子の足を掴んだの。

 私は思わず「え?!」って叫んだ。

 水着の女の子は抵抗する間もなく、白い手によって海に引きずり込まれた。

「ちょっと、ヤバくない?! 警察?! こういうときって警察?!」ってパニックになってる私の横で、友達は首を傾げてた。


「え、何で警察呼ぶの?」

「何でって、今、女の子が海の中に引きずり込まれたじゃん! 海から腕が出てきて!」

「いや、私は何も見てないけど。あんた寝ぼけてんの?」


 えー?! って思ったよ。

 海から出てきた腕はめっちゃ長かったから、それがおばけって言われたら分かるよ?

 でも、友達には女の子も見えてなかった。つまり、あの女の子もおばけだったってことじゃん?

 じゃあ、おばけの女の子が、おばけの腕に海に引きずり込まれたってこと? おばけ同士なのに、何でそんなことするの?? って感じだった。


 別にその後は何もなかったんだけどさ、家に帰ってこの話をおばあちゃんにしたのね。

 めっちゃ怒られて、お母さんに告げ口されて、しかも男の人と一緒だったからさらにお父さんにも怒られて、もうその夏休みは家から出るの禁止されたよ。

 そんでお母さんがさ、私が行った海水浴場のことを知ってて、私、小さい頃にもそこに行ったことあったみたいなのね。

 で、たしかそのときに溺れて死んだ女の子がいたんじゃないかって言うのよ。昔のことだからあんまり覚えてないみたいだったけど、お父さんも「そう言えば、そんなことあったなぁ。浜辺が急に騒がしくなったのを覚えてるよ」って言ってた。

 最後におばあちゃんがさ「お盆で帰った子を、海の幽霊が迎えに来たんだろ」って言ったのが、ちょっと怖かったなぁ……。

 


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