波乱の夏休み明け?!
久し振りに制服のブレザーに腕を通す。
そう、今日は夏休み明け集会の日。
忘れ物も確認したし、お弁当の準備もして、準備満タン……!
「学校、行ってきます」
朝ご飯を食べているお母さんにそういって、私は家を出た。
「心菜、待って!実は、湊が――」
お母さんがそういっていることなんて、私は気づきもしなかったんだ。
それから、5時間後。
無事に夏休み明け集会も終わって、一安心!
なはずなんだけど。
「み、湊、なんで神代学園に転校したの……?」
お昼になり、お弁当をもって李由ちゃんと裏庭に移動したら、湊がここにいて驚いた。
湊はもともと、家に近い公立の中学に通っていて……。
制服も着ているし、湊が持っているのは入学当初に渡される、生徒証。
それから、購買の方のパンと水を持っている。
「ホントは俺、神代学園を受験しようと思ってたんだけど、友達に誘われちゃって……」
確かに、友達に誘われて公立中学に入ったって、前湊が言ってた。
だけどまさか、神代学園を受験しようと思っていたなんて……。
「ていうか朝、お母さんが言ってなかった?俺が転校したって」
あれ……?お母さん、そんなこと言ってたのかな……?
も、もしかして、行くときに言いかけてたってこと……?
お母さん、聞いてないでごめんなさい……!と、心の中で謝った。
「ちょっとちょっと!二人だけで話進められて困るんだけど~??」
さっきからじっと腕を組んで立っていた李由ちゃんが言った。
「っていうか、心菜が敬称使ってないとこ初めて見た……。まぁそれは置いといて、その美男子は誰?」
その美男子……ということは、湊のことだよね。
そっか、私、李由ちゃんにも弟がいるって言ってなかった……。
「えっと、この子は私の弟。武田湊だよ。で、できれば仲良くしてあげてね」
「へぇ、心菜弟居たんだ。よろしく。私は森田李由」
李由ちゃんに紹介する。
ふふっ、大事な人を大事な人に紹介するって、とっても嬉しいなっ……。
「……よろしくお願いします」
少し戸惑いつつも、ちゃんと挨拶をする湊。
「え、その人だれ??」
こ、この声は――
そう、その声の主、神代先輩……じゃなくて英治先輩と、山中君。
「えっと、私の弟です」
じっと湊を見つめると、理解したのか、口を開く。
「……武田湊です」
「えっと、今日ここに転校してきたんです」
英治先輩と山中君に言う。
英治先輩は何かを言った。
「ふぅん……今日転校してくる人ってこの人だったんだ」
小さくて何か聞こえなかったけれど、英治先輩はニコッといきなり微笑んで、自己紹介をした。
「僕は神代 英治。よろしくね」
「……」
自己紹介されても何も答えない湊に、湊といった。
すると慌てて、よろしくお願いしますといった湊。
もう……。
「俺は山中累!よろしく!」
山中君の自己紹介にはすぐによろしくお願いしますと言って、しまいには握手までもしていた。
こ、この差は何……?!
少し痛くなったこめかみを抑えながら、私ははぁっと息を吐いた。




