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男女比1:5の世界でサバイバル  作者: 桃野産毛


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第44話 旨いコーヒーとこの国の事

 俺がペースをつかんだ。

このまま俺の主導で進めたい。

そんな簡単に行かないとは思うが、

相手の出方もいくらか想定済みだ。


「お前らの問題は、

男女比がおかしいために起きている。

 正確な比率はわからんが、

二対三どころか一対五とか極端な状態だろ?

 そんなんで今さら男の地位確立、

生活の保証なんか主張しても手遅れで意味ねぇ。

違うか?」


 まっすぐ目の前のバネロだけを見て話す。

ロボットがコーヒーを俺のところに運んできた。

俺はそれを受け取ってあおる。

飲みきって空になったカップをロボットに返却して、

話を続けた。


「あの収容所で男を囲って、

精子を搾取し活用しても既に手遅れ。

 理由はわからねぇが、

他の場所から男を連れてくることもできないんだろ?

このままじゃ、確実に人類は滅亡だ。

そうだな?」


 誰も何も言わない。

目の前のバネロも口の前で手を組んで黙っている。

どっかのパイロットの親父かよ。


「それに対して、俺は策がある。

そっちの詳しい情報がないんで、

確実に効果があるとは断言できねぇがな。

 それを俺の要求を飲む引き換えに教えてやろう。

どうだ?」

「……あの保護施設から出て、

そこまで情報を集めたのは称賛に値するが。

我々はこの問題に五十年も取り組んでいる。

半端なものでは、聞くだけ時間の無駄だ。」


 バネロがそう言う。

五十年も、か。

こんなギリギリの状態でよくもたせたな。

ナノマシンとかSF医療でごまかしてたんだろうけど、

そっちの方が称賛されるべきだと思う。


「じゃぁ、俺との話しは終わりか?

こんな状態になってから動き出した無能らしい判断だな。」

「……そこは話しておこうか。」


 バネロは話し始めた。


「ことの起こりは、約百年前だ。

当時は世界大戦が起きており、その末期。

 情報も何も残っておらず、

今でもどこの国の誰がやったか不明だが。

この星を滅ぼす兵器を誰かが使用した。」


 バネロは子供に言い聞かすと言うより、

なにかを朗読するように話を続ける


「それのことを我々は『オメガ』と呼ぶ。

絶えず吹き荒れ、全て根こそぎなぎ倒し。

敵国も自国もなく全て滅ぼした。

特大の『磁場嵐』だ。」


 磁場嵐?

磁気嵐ではなく?

俺は疑問を飲み込んで続きを聞く。


「直径は約1500キロ。

瞬間風速は時速350キロ。

移動速度は時速150キロ。

最強最大のハリケーン。

 突風と大雨の威力もさることながら、

強力な磁気を帯びていて強風域、暴風域内に雷が雨のように降り注ぐ。

 嵐自体が発する強力な磁場が近隣の電子機器を全て破壊し、

突風が建物をなぎ倒し、落雷が全て焼き払う。

磁場の範囲は広大で、

軌道上の人工衛星は全て機能停止。

宇宙を漂うごみになった。」


 バネロは遠い目で語り続ける。


「『オメガ』によって巻き上げられた大量のチリと、

強い磁場で地表の金属が発熱したため、

地球温暖化が劇的に加速。

 生態系が根本から大破。

他の自然災害も天変地異と言っても過言じゃないほど併発した。

 『オメガ』は今なお減退することなく吹き荒れ続けており、

あっという間に数万の動植物が絶滅。

 たった十年そこらで、

国境、国、人、家畜、自然、文化すら風前の灯火。

無差別、無慈悲に滅びを撒き散らした。」


 そりゃ最悪だわ。

バチバチ帯電した巨大台風。

電車並みの移動速度もさることながら、

直径がデカすぎる。

日本列島の半分くらいをすっぽり覆うサイズだ。

 後、人工衛星が駄目になる程広大な磁場の範囲。

発電施設とか重要施設のある地域を通るだけでインフラは崩壊する。

でかい国土の国でも、

消ゴムをかけるみたいにやられたのが想像できる。

 もしかして、

『境界』っていうのはそれが通った跡か、

それの影響でできた地域か?


「我々は、

世界で唯一『オメガ』の周回コースを外れたこの地に逃げ延びた者の集りだった。

ここでもう一度やり直すため、

一致団結して『世界政府』を立ち上げた。」

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