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男女比1:5の世界でサバイバル  作者: 桃野産毛


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第43話 国の中枢は白い建物

 いつのまにか朝だった。

特に呼び出しもされないので、

俺は整備待ちのロボットたちをなだめすかしながらベッドで寝た。

 熟睡していたが、チャイムの音で目が覚めた。

窓から外を見ると、日が沈みかけている。

昼夜逆転なんて、高校生以来だ。

 ドアを開けると、

軍服を着た女性が三人立っている。


「ついてこい。」


 彼女たちはそれだけ言って、俺は連行される。

鞄、持ってて良かった。

 またエレベーターで地下へ行き、

車に乗せられる。

今度は軍服たちも乗り込む。

ただ、運転は自動だ。


「どこまでドライブするんだ?」


 返事がない。

ただの軍服のようだ。

いやいや、君たち俺のこと嫌い過ぎ。

 まぁ、たった一人の男なんて、

異物に違いないわな。

俺は自嘲気味に笑ってスベった空気をごまかした。

 しばらくすると、景色が開けた。

ドーナツ状の堀のような川のようなものにかけられた橋を渡る。

堀の真ん中には真っ白な城のような建物があった。


「どこかのランドか?

いや、サミット会場っぽくもあるなぁ。」


 車はその城の前で止まった。


「降りてついてこい。」


 軍服はそう言って俺を車から引きずり出し、

城の中へ連行する。

扱いとして不満はあるが、

要所要所で彼女らの胸とかに接触するので文句はない。

むしろ、緩む顔を頑張って引き締めるのに忙しい。

 厚く、踏む度沈む絨毯。

白い壁に、煌びやかな調度品。


「ホワイトハウスか?

マジでサミット会場みてぇだな。」


 俺は会議室のようなところに連行された。

視力検査のランドルト環みたいな円卓。

どう見ても偉そうな女性たちが十二人、

そこに座っている。

 ちょうど俺の正面の女性が口を開いた。


「ようこそ。

待たせて申し訳ない。」

「いんや、良いホテルだったよ。

ベッドが特に良い。」


 俺はペースを取られまいと、

ちゃらけて言い返す。

そして、俺の左手に座ってる顔見知りに挨拶した。


「そんでもって、やっぱりここにるんだな。

解放軍のリトスさん?」

「……大抵の人は驚いてくれるんだけどね。」


 円卓に座っているのは、あの穴ぐらで見た顔だった。

皆顔が似ていると言えど、

この顔は間違えるわけに行かない。

 多分、解放軍は言わば『職業案内所』。

壁の外でも一定以上の認知能力をもつ人材を集めて、

解放軍に入れて教育、訓練する。

具体的にはあの女医みたいな人を育てる。

 そして、良い頃合いで収穫をする。

収穫方法は簡単だ。

政府軍に襲わせる。

捕まえたやつに国家反逆罪だとかなんとか罪を被せて、

労働力として活用する。

そして、

数が減ったらまたスラムからスカウトしていく。

確証がなかったが、

ここにコイツがいたので確定だ。


「君はちょっと。

いや、とても頭がいい。

私たちとしては予想外を通り越して、

異常だ。」


 円卓に座る一番機嫌が悪そうな顔の女がそう言った。

名乗りもしやがらねぇ。

俺は右手にいるソイツの方に首を向けた。


「いったい全体、お前はなんなんだ?」

「俺はそう言う話をしにここに来たんじゃねぇんだ。

バネロって人と約束してんだけど。

 バネロってのは、お前じゃないな。

アンタ、誰?」

「ごみが!

質問に答えろ!」


 瞬間湯沸かし器より性能が良いな。

俺は思わず笑ってしまう。


「何がおかしい!?」

「全部だよ!

この茶番も! この街も! 国も!

国とも呼べねぇわ!

今すぐ笑い転げてやりてぇな!」


 俺が大声を張り上げると、

さっきまで沸騰していた女が叱られた犬みたいに縮こまる。

俺は鼻をならして言い放つ。


「バネロってのは、どいつだ?」


 円卓に着いている十二人を順番に睨み付けつつ、

俺は凄む。


「……私だ。」


 一番渋面をしたヤツが名乗り出た。


「さて、お話ししましょ?」


 俺は両脇をつかんでいる軍服を振りほどき、

円卓のバネロの席へ詰め寄る。


「まずは、俺の要求をもう一度主張する。

 一つ、俺のためのロボットを一機作らせろ。

作ったロボットは俺のものだ。

でも、材料費、開発費、諸々全部そっち持ち。

 二つ、ロボットができたら俺を収容所へ戻せ。

記憶の操作、薬物なんかはなしでだ。

部屋も前俺が入ってたのと同じ部屋で。

 三つ、搾精は俺の作った俺のロボットでやる。

もう二度とあの拷問は受けたくない!

 四つ!

俺のこの鞄と作ったロボットは誰にも渡さない!

以上だ!」


 沈黙が部屋を支配する。

バネロは眉間にシワを寄せて、

口を開いた。


「その要求を我々が飲むかわりに、

お前は何をする?」


 俺は笑いながら言い返した。


「お前たち次第だ。

こっから話が長くなるだろ?

茶くらい出せっての。

コーヒーでも良い。」

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