第37話 軍服と車内で
薬と食い物はかさばる。
鞄を廃墟で見つけられなかったので、
装甲車に乗ってた軍服に鞄を貰って全部詰め込んだ。
そして、俺は鞄と銃を持って装甲車に乗り込んだ。
先に乗ってた軍服全員が一斉に俺を見る。
運転手をいれて六人。
多分、全員が他人だ。
だが、俺にはいまいち顔の違いが分からない。
解放軍とちがい、全員背も高くスタイルがいい。
だが、髪色とかホクロくらい目立つ違いがないと見分けられない。
古いギャルゲーみたいだ。
「どこに座ればいい?」
俺は案内された席に座って、シートベルトをつけた。
「こりゃ、気が休まらないなぁ。
もう疲れてきた。」
ぼやいてみたが、周りは無反応だ。
仕方ないので一人反省会をする。
爆弾のフェイクは収容所から出る時にも使ったが、
意外に効果は低そうだ。
水素電池を常用しているだけあって、
爆発した時の対策もきっとあるに違いない。
後ひと踏ん張りだ。
ここで踏ん張れば時間も稼げるし、
あわよくば逃げられる。
車が動き出した。
廃墟の町を抜け、荒野が広がる。
高速道路どころか生き物の気配すらないので、
車は速度を上げる。
「うお。
二百キロくらい出してるだろ。」
俺が思わず呟いたが、
車内は静かだ。
むしろ、緊張感すら感じる。
こりゃ、爆発物は俺の方か?
なるほど。なんとなく見えてきた。
コイツらの『男性』についての理解度は、
俺が思うよりはるかに低い。
下手をすればマジに人間として認識されてない。
「なんだよ。
俺が少し話しただけでこれか?
軍人っつても、女の子ですねぇ。」
嫌味を言ってみたが、
やはり反応はなにも返ってこない。
話すな、と命令されている可能性はあるが、
それだとしても雰囲気は異様だ。
「お前ら、
人間が分裂増殖するとか思ってるクチか?」
俺はふと、思ったことが口に出てしまった。
その瞬間、車内の空気がすこしヒリつく。
「さすがにそれはなさそうだな。」
俺はそう言いつつ思案した。
単に男女比がおかしいだけじゃなさそうだ。
これはまだまだ、情報を集める必要がある。
目標設定を変えるか?
とりあえず、生き延びて平穏に暮らす。
世界の滅亡は無視するつもりだった。
だが、この感じだと先に世界の滅亡を何とかしないと、
平穏に暮らすのは難しいのかもしれない。
あの駄目神のことも気になる。
もう頭がいたい。
何が行動すれば、だ。
俺は駄目神を一発ひっぱたくことも目標に追加した。
「俺は少し寝る。
着いたら起こしてくれ。」
少し大きい声でそう言って、
俺は目を閉じた。
俺に対して何かするなら、
さっきの廃墟でしたはずだ。
あのバネロのこともあるし、
車内で攻撃的なことはしないと思う。
今俺に必要なのは休息と情報だ。
眠れそうにないが、目は閉じたまま車に揺られる。




