第27話 突撃、隣の廃墟
コンテナの開け方がわからない。
ヤバいなぁ。
マジで万事休す。
どうやらスライド式の蓋で、
コンテナの上部から蓋を上へ引っ張れば開く。
だが、でかい。
でかすぎる。
「俺が寝転んで腕伸ばしたより、
コンテナの横幅の方が長い。
ざっと三メートルあるかどうか。
高さはもうちょっとありそう。
厚さはわからん。
でも、どうみても金属製。
重量はおして計っても百キロ以上はある。
こんなん人力で引っ張りあげられんわ。
クレーンくれ。
積む時あったやつ。
……どこにもねぇな、クレーン。」
俺はトラックを探るが、
コンテナを開くための設備は見つけられなかった。
例え滑車とロープがあっても、吊るす場所がない。
「この建物、重要そうなのよ。
ゲームでも絶対中を探索するやつじゃん。
入り口がないのは、あれかな。
イベントアイテム取りそびれてる?」
一人でボケてみたが、誰からもつっこまれない。
つっこむ人がいない。
「さすがにメランコリーだわ。
寂しすぎる。
走り回るよりはいいのか?
死にかけないしな。」
折れかける心をなんとかなだめ透かしつつ、
俺は周囲をもう一度探す。
「ゲーム脳で言うと、
侵入経路は地下とか下水道か。
……道端に排水溝がねぇな。
はぁい、ジョージ。
なんてな。
もう一回別の建物に入ってみようか。」
手短な民家っぽい建物に入る。
さっきも入った建物内。
割れたガラス、壊れたドア。
そこから入ってきたとおぼしきゴミ。
俺はとりあえず、軽く片付けてみた。
「……文明レベル高いな。
これ、マジのSFだ。」
ゴミ山から出てきたのは、
ロボットだった。
もちろん、壊れている。
多分放置される前から壊れてた。
「……大穴空いてる。
外装硬ぇのに、ちょっと溶解した跡もある。
あのレーザー砲?
いや、破壊痕がこっちの方がでかい気がする。
あれだ、
ロボット用の兵器でやられたみたいな。」
家具も人の生活の跡もないのは襲われたからだ。
片付けが進むごとに、弾痕や破壊の跡が見えてきた。
「やっべぇな。
これ重要イベントだろ。
どうする?
セーブしてぇ。」
絶対無理だが、
俺は心の底からそう願ってしまう。
「戦争だとか書いてた新聞の方が時系列的に古いと仮定して、
これは戦争による略奪か何かの跡か?
そうだとしても、人が戻らない理由は?」
毒物など汚染物質や地雷等が原因で近寄れないことはあれど、
理由なく戦後ここまで放置される町は基本的にない。
理由はいくつかあるが、
一番大きいのは不法にゴミなどを投棄されたり、
違法薬物の取引に使われたり。
後はスラム化して、不法に住み着く人がいるからだ。
「そして、その不法占拠者もいない。
そのまま無人の廃墟だ。」
俺はここに来て数時間経っている。
身体に異常は感じられないが、
念のため懐の薬を二錠飲んだ。
「『動くな!』」
俺が思わず耳を塞いだほどの爆音が外から聞こえた。