↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
男女比1:5の世界でサバイバル  作者: 桃野産毛


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

30/89

第28話 廃墟包囲網

「『貴様は包囲されている!』」


 洞窟でもに聞いた文句だ。

テンプレートがあるのか?

俺は耳を塞ぎながら、窓辺に近づく。

なるべく頭を出さないように外を見ると、

装甲車のような車が数台、

廃墟の町を取り囲むように停車している。


「ヤバそう。」


 俺は小声で呟いて、

壊れたドアの方へいく。

そこから慎重に外を覗いた。

俺が乗っていたトラックが止まった辺りや、

大きな建物の近くには装甲車はいなかった。

 俺は扉から音を立てないように外へ出た。

装甲車の方から見えないように気を付けながら、

大きな建物の方へ向かう。

 拾ったいい大きさの瓦礫や破片をいくつか手にして、

パチンコのゴムにあてがい備える。

レーザー砲に適うとは思わないが、

牽制にはなる。


「動くな!」


 俺は立ち止まり、

声のした方を向く。

少し距離はあるが、

軍服を着た女性が数人立っていた。

皆一様に銃口を俺に向けている。

 万事休す。

俺は思わずよろめいて数歩下がる。


「動くな!

次動いたら発砲する!」


 そうですよね。

チクショウ。

 彼女たちは収容所で見てた女性に似ている。

皆身長は高く、出るところは出ていて、

括れるところは括れてる。

 解放軍で見た人たちと何が違う?

今はそれどころじゃないが、

思わずそう考えた。


「ゆっくりこっちに来い!」


 ……こっちに来い?

俺が行くの?

普通逆じゃねぇ?

 こんな状態なのに俺の思考は冴え渡る。

こういう場合、床に伏せて手を地面につけろ、

とか抵抗できない姿勢にするはずだ。

だが、軍服たちの指示は違う。

何故?

俺は口の中で転がすように呟く。


「取り押さえに来れない理由がある。

もしくは、俺に近づけない理由がある。」


 軍服たちをよく見ると軍服こそ着ているが、

ガスマスク等防毒の装備は誰一人として着けてない。

そして、目測だがここから軍服の先頭まで約二十五メートルから三十メートル。


「……やってみるか。」


 俺は盛大に、

オーバー気味に苦しむ演技をした。

軍服たちは発砲しなかったが、驚き慌てる。


「どうした?!

クソ!

ロボットはまだ来ないのか?!」


 軍服たちは慌てているものの、

俺には誰も駆け寄らない。

俺は苦しむふりをしつつ、

のたうち回って更に軍服たちから徐々に距離を取る。


「だっ! 誰か、近づけ!」

「何を言ってるんですか?!

ここは『境界』なんですよ!」

「だが!

あれを生け捕りにするのが命令だ!」


 また出た、『境界』。

俺は演技に拍車をかける。

さっきの場所より約六歩ほど後ろに移動し、

地面にうつ伏せに倒れてみた。

 今の俺から五時の方向、トラックまで約十歩。

八時の方向なら、大きな建物までは約二十五歩。


「クソが! 命令だ!

誰か近寄って、男の様子を見ろ!」


 お?

コイツらは男を知ってる。

ここも何か違いがあるのか。


「ですが!」

「このまま男が死んだら、

私たちも死ぬんだよ!」

「じゃぁ、貴女が行けばいいでしょ!」


 あーあ。仲間割れを始めた。

俺から見て一番奥で俺に怒鳴ってたのが偉いやつか。

で、今言い返しているのは、手前の三人。

薄目で確認したら、軍服は全員で十五人か。


「うるさい!

行かないとお前らを撃つ!」


 とうとう偉いさんたちがキレた。

手前の三人が他の軍服に銃口を向けられる。

三人が青い顔でお互いの顔を見合わせ、

二人が一人に銃口を向けた。


「わ……私?」

「い、行きなさいよ……。」


 あーあ。

見てらんねぇ。

古今東西、津々浦々。

世界が違えど、こう言うのはあるんだね。

 彼女は涙を流し。

よく見ると鼻水とヨダレも垂れ流しの顔でこっちに来きた。

ゆっくり、一歩ずつ近寄って来る。

 まるで断頭台に登るみたいだ。

『境界』ってのは、命にかかわるのか?

 俺まであと十歩くらいのところで、

彼女の様子が激変した。

胸を押さえ、膝から崩れ落ちる。

そのまま地面に倒れ痙攣し、胸元をかきむしる。

喘ぐような声もか細く、

どう見ても死にかけている。

 残った軍服たちはそれを青い顔で見つめるだけ。

とうとう彼女は大きくエビぞりをし、

地面に落ちて動かなくなる。

 辺りを静寂が支配した。

俺の鼻が地面に触れてるのに、

土の臭いすら感じない。

 俺は頭が真っ白になった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。