第20話 穴ぐらからの脱出
「中央の犬どもが、
とうとうここを嗅ぎ付けたか!」
テンプレートのような台詞だ。
ボスが言うと学芸会チックで、
拍手がしたくなる。
俺は現実逃避しつつも、
逃げることを選択した。
立ち上がって一目散に玄関へ向かう。
「待て!」
誰かが引き留める声がしたが、
聞いている暇はない。
どこか出口をさがしてこの穴ぐらの外へ逃げなければ。
「『抵抗すれば、発砲する!
繰り返す!
抵抗すれば、発砲する!』」
拡声器かなにかだと思うが、
爆音で流される音声。
その声の先に出口はある。
ただ、そこには恐らく軍隊がいる。
他の住民が逃げる方にもきっとなにかがある。
解放軍だというくらいだ。
脱出路、避難所なんかはあるはずだ。
だが、コイツらもきな臭い。
手当てしてもらったが、信用はしきれない。
嫌に冷静な自分を不思議に思いつつ、
俺は誰も行かない方へ向かってみた。
「おっと、そう来たか。」
今度はロボットたちがどこかへ向かっている。
固定されている個体は、
別のロボットが取り外して移動させていく。
さっき見た掃除ロボもたくさんいた。
キレイに掃除した個体は見えない。
俺はこのロボットの避難する方へ向かう。
ここは昔の鉱山跡でロボットは元々いたものなら、
鉱山として使われていた避難路があるはずだ。
ただ、後から持ってきたロボットの場合は、
どこへいくか分からない。
「少なくとも、
俺以外に人がいないことを祈ろう。」
とうとう爆発音が聞こえた。
戦闘が始まってしまったようだ。
音が遠くに聞こえる。
景色が霞むが、
ロボットの姿ははっきり見えた。
やっぱり靴があるのとないのでは違う。
服と靴に感謝しつつ走る。
爆発音、振動、悲鳴、怒号。
距離はまだあるみたいだが、
ここでも十分に恐ろしい。
「なんだ、ありゃ。」
ロボットたちはダクトのようなものに吸い込まれていく。
大型のものは、コンテナに詰められていく。
よく見ると、
ダクトは大きな運搬車に繋がっていた。
コンテナも車に積むようだ。
この車自体にロボットが付いている。
ロボットを回収して逃げるようだ。
これはアタリだ。
「移動手段か。
便乗させてもらおう。」
俺は運転席とおぼしき席に潜り込み、
身を屈めて隠れる。
案の定、ハンドルもアクセルもない。
フロントガラスと席だけだ。
とにかく見つからないことを祈って待つ。
「『ゴキブリどもが、出てこい!』」
拡声器からとうとう罵声が飛び出した。
声が近い。
近づかれているようだ。
「シュッパツシマス。」
どこからかそう聞こえると、
車がひとりでに動き出した。
「『車だ! 止めろ!』」
ヤバい。
軍隊に見つかったらしい。
俺は頭を上げて外を見た。
車は真っ暗な坑道に入っていく。




