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リベルタ邸にて〜これからの話をしましょう。〜

今回も少し長めですが(通常、一話あたり2000〜3000字を予定しています。)中々リザ達の拠点に着かず…すみません;


 「いやぁ、待たせて悪かったな。それじゃ、リザ達のこれからについて話そうぜ」


 オウハさんは先程メイド長のメグさんが持って来た開封済みの二通の手紙を箱から取り出し、テーブルの上に置いた。


 「最初に届いたのが領主様…ファラティリア侯爵様からの手紙だ。多少、はぶくがそこには婚約破棄された娘が田舎で暮らしたいと願ったので、その願いを叶えてやりたい。だから、少しの間そちらで面倒を見てやってくれないか? ってな感じで。娘は既にそちらで暮らす事を決め、早速向かっている。近々そちらに着くだろうから宜しく頼む、って。これ、こっちに聞くまでもなく決定しているよな…って思っていたんだが、まあ、土地も家も空いてるところが幾つかあるから、少しの間でも住んでくれる人がいれば、土地や家も荒れなくて良いかなって事で。受け入れ了承の返事は、領主様からの手紙が着いた日に折り返し送ったんだよ」


 そして、オウハさんは『けど、何でウチの村に? 田舎も田舎。ど田舎だぞ?』と続けたので。


 「私は、のんびり穏やかに暮らしたくて。時には辛く厳しい事もあるって解ってる。けれど、畑や酪農、自由に物を作ったり、料理をしたり…そんな生活がしてみたくて。それで、広い土地があるだろう田舎が良かったし、王都の噂とかイチイチ聞こえてくるのも煩わしいから、情報が入り難い土地――…まあ村長であるオウハさんの場合は別として。そんな所が無いかと探していたら、父がキタムラはどうだと薦めてくれたんです」


 それに――…『他領では万が一何か問題が起きた場合、面倒な事になる場合もある。私が庇える範囲なら良いが、そう出来ない場合もあるだろう。それならば自領に居て貰いたい』…――とか。(父様。私、問題を起こしたりするつもりはないですよー。チートものによくある自動車やら飛行機とか文明が一気に進むような物を開発出来るような発明チートも記憶もありませんから!)


 「そうか。まあ、畑や酪農やるならウチは最適だな。村の外に出れば狩りも出来るし。ただ南の方は魔物も強いし深い森が広がっている。あまり調査した事もなく村の者はまず近寄らない。俺としても行く事は勧められない。だから南に関しては解らないが、西や東、近所の村の連中は種族こそ違うが良い奴が多いから、楽しく暮らせるんじゃないか。まあ、四、五日位はウチに泊まっててくれ。リザやロビンが暮らす家の掃除やら修理やらがまだ途中…って、あれ? そう言や、家は二人一緒で良いのか?」


 と、オウハさんに尋ねられた。


 「いやいや、ロビンはキタムラへ来るまでの護衛でしたから、住むのは私一人ですよ?」


 ね? って。ロビンの顔を見れば。あれ、何だかニコニコしてる? んん?


 「リザ、騙した訳ではないのだけどね、俺の任務はリザの護衛、つまり片道だけではなくて。リザがこの村から王都に帰るまで。村での生活も含めた往復で、って事なんだ。恐らく、村長が置いたもう一通の手紙には俺の事が書かれていると思うんだけど…村長、違いませんか?」


 『ナンダッテー!!?』 と。驚き、目を白黒させる私に『驚かせてごめんね?』と言いながらも。楽しそうに笑うロビンはテーブルに置かれた手紙に視線を向けて、オウハさんに問い掛けた。


 「そうそう。こっちはラドファルト侯爵様からで、要約すると…息子が任務でそちらに滞在する事になりました。お世話になります、宜しく頼みますって。滞在に関する資金につきましても、持たせてありますのでお気遣いなく…って、格下相手にも礼儀正しい方だよなぁ。この方が王立騎士団長なら心強いよな、って事で。ロビンもリザと同じ期間住む事が決まっているぞ」


 そして、オウハさんがロビンに答える。それを聞いた私は――…


 「ええぇ…そ、それは、ロビン。かなり迷惑なんじゃ…? 正直、私暫くの間…と言うか、ずっとこの村で暮らすつもりだったんだけど」


 マズいな。ちゃんと一時的にではなく『ずっと暮らしたい』と言って来るべきだった。まさか、こんな事になろうとは。


 「そっか。周りは皆、リザがすぐに音を上げて帰ると思っているからね。俺も短期間の遠征任務の括りで来ているからな…長期間となると時々は状況報告に帰らなきゃならないけど、うん。まあ、念の為に持ってきておいた魔道具があるから大丈夫かな。それで、リザがこの村でずっと暮らすのなら俺も、ずっと側で君を守りたい。ううん、守らせて欲しい―――駄目かな?」


 横に座るロビンが私の手を取り、そっと握ると。澄んだ湖のような綺麗な水色の瞳と視線が重なって、その水色の瞳には戸惑う私の顔が写っている。


 「ええっと、その、ロビンが良いなら…? あ、後。私も時々帰らないといけないかな?! ちゃんと、ずっとこの村で暮らしたいって家族に言わないと…! あれ? でも、そんなにマメに帰れる距離じゃないから困るよね?!」


 向けられる真剣な眼差しに対し、頷いたり、首を傾げたり。カクカク動く人形のようになってしまった。


 思わぬ展開にドキドキしたり、今後の事を考えたり、若干パニックになっていた私に助け舟が入る。


 「それじゃあ、二人は同じ家で良いって事だな。まあ、空いている土地は、どれも村外れの方だからなー。女の子の一人暮らしも心配だと思うし。二人で暮らすなら安心だろう」


 あれ、助け舟なのか? これは。


 「はい。それで宜しくお願いします。リザも良いよね?」

 「え? あ、うん。そうだ、個室はありますよね?」

 「おう! それどころか、七、八人は余裕で暮らせると思うぞ。昔はこの村も大人数の家族が多かったからなー。ウチも含めて、何軒かデカい家が村には幾つかあるんだよ」


 そうか。それなら、良いかな? 確かにロビンが居てくれるなら安心だよね。


 「ってー!? ちょーっと待って? 待って下さい!? 確かにロビンが居てくれたら安心だな〜とか思いましたけど! 例え広い家でも流石に二人で暮らす訳にはいきませんよ?!」


 まあ、王都には伝わる事も中々無さそうだけど、村には二人で暮らしているって、すぐに伝わるでしょうよ!


 「私達は恋人でも夫婦でも無いのですから、二人きりはマズいですって!」


 危うく流されてしまうところだった。ロビンだって万が一好きな人に、私と一緒に一つ屋根の下で暮らしているなんて知られたら大変でしょう?


 「あ。そうだよなー、変わり者とはいえリザは侯爵令嬢だし婚約も無くなったばかりだし、ロビンも護衛とはいえ侯爵子息でもあるからなぁ。変な噂が立つのは、まずいよな。あ! そうだ! それなら、ウチの料理人見習いのダリルと、セバとメグの娘なんだがメイドのラナも一緒に住まわせよう。ウチも親父とお袋が今、王都に行ってるだろ? 後、年が離れた弟も居るんだが…その弟、キサラも今は王立学園の中等部生で寮暮らしでな、滅多に帰らないし、この家に今リベルタの人間は俺だけだから、働き手が余りがちなんだよ」 


 広い家だと言うし、その提案は有難いけど。


 「私としては、有難い提案だけど…ダリルさん? て方は見習いでしょう? リベルタ邸から離れて良いのですか? それにラナさんも、ご家族と住み込みで働いて居るのでしょう? 良いのですか?」

 「んー、ダリルは見習いと言っても、もう独立出来る位の腕はあるんだよ。まあ、町中とかにある食堂の店主や、男爵、子爵家辺りの料理人レベルだがな。それで今は、そうだな…週二、三日通って来て料理長から学べば良いって感じだな。だから、リザんとこで雇ってやってくれたら助かる。ラナも隠しているつもりだろうが、ダリルに惚れてるようだし、仕事についても『暇だわ〜。これはもう出稼ぎに出るべき?』って、この間ボヤいていたから喜んで行くと思うぞ…なぁ、セバ。どうだ?」


 え? セバさん? と思いつつ、オウハさんの視線のある先へ、私も振り向くと――…


 「私は賛成にございます。本人は勿論ですが、メグやサナも賛成するかと思います。リザベル様、ロベルト様。是非お願い致します」


 …――セバさん。いつの間にか戻って来ていた! (気配感じなかったよ…)ちなみに、サナさんとはラナさんの妹さんらしい。


 「それじゃ、ダリルとラナに聞いてみるから、この件はまた夜にでも話そう。あ、そうそう。二人を雇ってくれる場合の賃金についてだが、ウチで今まで通り出しても良いし、領主様が手紙と一緒に、リザの滞在費として結構な金額を送って来ているから、そこから払わせて貰うのでも良いけど、どうする? あ、滞在費は元々返すつもりだったから、何なら今渡すぞ? いや、ウチの金庫で預かっておいた方が良いのか? 奪い取ろうなんて悪いヤツは居ないと思うし、盗賊、山賊もこの辺りには出ないが…うーん、どうする?」


 父様、私は旅行に来たのではないのですが。しかし気持ちはとても嬉しいです、ありがとうございます。(暫くしてからになりそうだけど、必ず近い内に一度帰りますから…! せめて、手紙位は書きますので!)それにしても、幾ら送って来たのでしょうか…!?


 「ちなみに、如何ほど送られて来ています?」

 「大金貨が三百枚、金貨が三百枚。俺もこんな大金がまとめてウチの金庫に入っていると思うと…ビビる。流石領主様だよな、ははは…」


 とーさまあぁあああ!! 白金貨が無かっただけ良かったと言うべきなのか…。かーっ! もう、こうなったら使っちゃうよ!? 有難く使っちゃいますよっ!?


 「ええっとー…それじゃあ金貨だけ渡して貰って、そこから、二人が了承してくれたら、毎月お給金をお支払いさせて貰います。大金貨は…暫く預かって置いて貰えます…あっ! これから私達が住む家と土地代にはなりませんか!? 買取ります!」


 そう提案してみたら。


 「いや、ここファラティリア領だからな? 使用人の賃金はともかく、自分の家の領地に金払ってどうするよ?」


 ハッ! そうでした。


 「うーん。それじゃあ、修繕工事の費用にあてて下さい」

 「それでも、かなりの釣りが出るぞ?」

 「では、残りは送り返すか、この村で必要な時に役立てて下さい」

 「そうか、んじゃ、この件は領主様に手紙で聞いてみる事にするわ。しかし、リザは欲が無いなー」

 「そんな事はないですよ。今の私の所持金ではお給金を払い続けられないから、ちゃっかり金貨は頂きますし」

 「俺が出しても良いんだぞ? ウチの使用人でもある訳だからな」

 「いえ、それは駄目です。こちらで働いてくれるなら、こちらで支払うべき、と思うので」


 『まあ、まだ決まってないけどな』と。そんな話をしている内に、泊めて貰う部屋の支度が整ったから、と。ロビンと私はメグさんに、それぞれの部屋に案内して貰ったのだった。話がまとまるのは早くても夜になりそうだ。







 部屋(壁は、若草色をベースに薄いピンクやクリーム色等の小花模様で可愛い雰囲気だし、壁側に置かれたチェストや机、椅子、反対側にあるベッドも。焦茶色や茶色等の落ち着いた色合いの木材で作られているようで、ゆったりくつろげる良い部屋だった)に一人になり、ふと思い出してしまった。


 そう、さっきのロビンを。


 『リザがこの村でずっと暮らすのなら俺も、ずっと側で君を守りたい。ううん、守らせて欲しい…――駄目かな?』


 うっ! 何かアレじゃないですか。乙女ゲームの一場面みたいな? オウ、ワタシ、ヒロインジャナイヨー! …駄目だ。変なテンションになって来ている。落ち着こう、リザベル。

 

 「…はぁ」


 何て言うか、格好良かったな。流石、攻略対象…いや、もうゲーム期間は過ぎているから、元・攻略対象か。


 「ロビンの手、大きかったなぁ。私の手なんて簡単に包み込めちゃうんだもんね…って、待って。ああ…何、考えてるかな私」


 もう、本当に惚れてしまったらどうしてくれるの、ロビン!


ここまでお読み下さりありがとうございます…!!


次回は、ちょっとリザ宛に荷物が届いたり、ようやく住む家と土地へ到着。そして新しい出会いも…(新キャラ少しの間出ないとか言っていたのですが…すみません;)な話になる予定です。


ブクマ、評価、感想(現在、感想欄は閉じていますが活動報告の方で受け付けています)本当に、やる気や、励みに繋がっています。ありがとうございます!!


これからも応援して頂けると嬉しいです!宜しくお願いします!!

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