表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
24/138

24.どっかで聞いた台詞

唐突なんだけど、普通村といえば一体何人位の集団を想像する?

そもそも町と村の違いはなんだろうか。

確か明確な定義は無かった気がする

しかし大体の人がなんとなーく町の方が大きいと感じると思うのは一体何故なんだろうか。

というかそもそもなぜ今俺がこんな話題を持ち出しているかというと……


目の前に軽く100人を越えそうな村人達が、あるものは涙をながしながら、あるものは俺に尊敬の眼差しを送りながら、平服している。

この村……カリス村だったっけか。

この村の人工が少なかった場合、今俺の前には村人のほぼ全員が集結してる事になる。


まずいな……。

こいつらの反応からして、俺の話はすぐ広まるだろう。

「グレーターベアから村を救った、」と。

しかし、それは困る。


勇者の補正が有るからかわからないが、この世界は比較的簡単にスキルレベルが上がるらしい。

特に『観察』なんかは適当に物の特徴を捉えたりするだけで3までスキルレベルが上がった。


勇者どころか現地人にも『観察Lv:Max』なんて奴がいてもおかしくはない。

その場合俺のステータスにある、

ーーーーーー

【状態:勇者】

ーーーーーー

が、バレてしまう恐れがある。

そうなると、あれよあれよと無理やり城に戻され、鎧をひっぺがされると、そこにあるのはもはや人間ブサメンフェイスではなく、人外バケモンフェイスだ。

そこからの展開は大体予想できる。


いや、あるいは意外とフランケンシュタインみたいに悲しきモンスター的なポジションで受け入れられるかも知れないが、そもそもあまり仲良くはなかったとはいえ、クラスメイトにこんな姿を見られたくはない。


村人達に口止めできればそれが一番良いんだろうが……この村人達は俺を英雄として未来永劫語り継ぎそうな勢いで平服しているからな。

多分難しいとは思うが、一応言ってみるか。


「カリス村の者達よ。諸君らに頼みがあるのだが、良いだろうか。」


「勿論です!我々にできる事でも、出来ない事でも、なんとしてでも達成いたしますじゃ!なんとでもお申し付けくださいませ!のう!皆の衆!」


「「「はい!」」」


凄まじい迫力だな。

これならいけるかもしれない。


「私を英雄と呼ぶのはやめてほしい」


「な、なんですと?しかし、騎士様はこの村をお救いになられた……その偉業を語り継がせて頂けなければ、私たちが貴方に返せる物は何もありませぬ!」


老人が、鬼気迫る表情で言ってくる。

ちょっとこれいくら説明しても納得しなさそうだから、適当にカッコいい事言って誤魔化そう。


「かつて、パヨスポンチョリチョ国王が言った言葉に、こんなものがある。」


「パヨ……なんですと?」


『英雄は、英雄に成ろうとした瞬間に終わってしまう』


「「「!!!」」」


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

【『村の英雄』のレベルが、1から2へと上がりました】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


老人を含め、村人全員が息を飲んだ音が聞こえた。

もう自分でもちょっと何言ってるかわかんねぇな。

とにかくこの場を離れたい。


「私を最後まで、英雄でいさせてくれ……。」


そう口にしながら俺は村人達に背を向け、バナス大森林の中に入っていった。

村人は追ってこない。

なんとかカッコいい感じで締めくくったけど、冷静に場の空気なしで文字だけ並べたらただのイタい奴だかんな。


多分村人達も場の空気に飲まれてただけで、明日になったらあいつ結局何が言いたかったんだ状態だと思う。

うわぁ恥っず!できればもう村人とは顔を合わせたくねぇ!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
新作はじめました。 現代日本で騎士の怪物になってしまった男の物語です。 貌無し騎士は日本を守りたい!
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ