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最後のその時まで  作者: 宙兵
15/15

???

この話はただの自己満足です

















 
















「――認めない!」


 こんな結末認めてたまるか!

 俺は絶対に認めない!

 エゴでもわがままでも関係ない。

 エルちゃんを救い出して見せる!


 物体が魔力となって消えるならそれは可逆的なはず。

 魔力を物体に変換することだってできるはずだ。

 師匠に見させてもらった魔臓がない人体の構造、俺なら再現できるはずだ。いや、して見せる!

 魔力の7割を使用し、自分とエルちゃんの体を構築する。   

 ひたすらに集中し作り上げる。

 たぶん成功したはず。

 あとは魂を迎えに行くだけ!






 残り魔力を全て解けるようなイメージに変え魂世界をこじ開ける。

 感覚だけでの一発勝負だが成功させた。

 その瞬間世界に激震が走った。


「魂世界を無理矢理こじ開けた……? 女神に真っ向から喧嘩を売るようなことを誰が……」


 兵世の四賢者をはじめとした化け物たちは魂世界をこじ開けるようなものの存在を感じ取り驚愕した。





「まっててエルちゃん」


 魔力がそこら中に渦巻いている魂世界。

 この中からエルちゃんを見つけ出す。

 時間の感覚が分からないような世界でただただ歩く。




 

 ……

 …………

 ………………





 ついにエルちゃんの魔力と思われるものを見つけた、


「エルちゃん! 俺を掴んで!」








 何もない世界。

 これからただ消えゆくだけ。

 最愛の人に抱かれながら逝けたのだから満足はしている。

 幸せに包まれた中、少しだけ、いや実はかなりもっとヤーサ君と一緒に生きたかったという後悔が浮かんできた。

 ヤーサ君、大好き。



「エルちゃん! 俺を掴んで!」


 最後の最後までこんなものをみるなんて私本当に未練がましいですわ。

 思わず手を伸ばしてしまった。

 


「エルちゃん! 迎えに来たよ」


 ぎゅっと抱きしめられふわふわ幸せな気分になる。

 死んでまでヤーサ君といられるなんて至れつくせりと言うかなんというか……。

 幸せをかみしめていたらヤーサ君が戻るよと言う。

 そこでなにやら現実に戻される。

 死んだのだから現実に戻されるというのはおかしいような気もするが。


「可笑しくなんてないよ、エルちゃん、現実の世界に戻るんだよ一緒に!」

「どういうことですの?」

「詳しい話は無事に戻ってから!」


 ヤーサ君に抱かれ状況を飲み込み切れてはいないが一緒に現実への道へと戻る。

 ただ一つ分かったことはまだ一緒にいられる。

 それだけで天にも昇りそうな気持になってしまう。


「天に昇っちゃだめだよ!」

「折角一緒にいられる機会なんですもの、そんなもったいないことしませんわ!」 











 ヤーサはエルをつれ来た道を急いで戻る。

 だがこんな状況を女神がほっておくはずもなく……。


「なっ、魔力の波が」


 逃がさない、そういうかのように魔力を扱い攻撃を仕掛けてきた。



「邪魔を……するなぁあああああ!」


 ここまできたらどんな障害でも乗り越えてみせると辺りの魔力の制御を奪い反撃する。

 流石に女神のフィールドであるというのか魔力の制御がしにくい。

 最低限身を守り逃走することだけに力を入れる。

 やがて身を守ることすらもおぼつかなくなる。


「っ!?」


 決定的な一撃が入ろうとした瞬間それは決まることなく何かにはじかれた。



「振り返るな! さっさといけ!」


 とても頼りになる声がヤーサの背中を押した。


「俺はこの馬鹿にお返しをさせてもらってから帰る。また後でな!」

「ありがとうございます!! また後で!」

                  

 これ以上の言葉は要らない。

 最後の仕上げに幸せをつかみ取るだけ。


「帰るよ! 俺たちの家へ! スミレが待ってる!」

「はい!」









 二つの体に光が群がる。

 数秒もしないうちにその光は収まった。

 

「はは、帰ってきたぞ」

「はい、帰ってきましたね」

「ひゃっはー!! やってやったぞ!! 打ち勝った!! ハッピーエンドだ!! ざまぁ見やがれ!!」

 

 雄たけびをあげながらヤーサはエルを抱きしめる。


「エルちゃん、大好き、愛してる!」

「私もですわ!! ずっと、ずっと一緒にいましょう!」

「うん、ずっと一緒だよ!」

 


お読みくださりありがとうございました

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