心臓 -3-
4人がユエの傍らに集まっているところへ、コウも歩み寄る。向けられた視線は、驚き半分、呆れが半分ほどだった。
「……遅れてスミマセン」
「あのまま……行ってしまっても、よかったのに……」
疲労の色を濃くしながらも、セイレーンの口調はからかうようだった。コウは顔をしかめた。
「そこまで無責任になれなかったみたいデス。なんか、ユエさん1発殴ったら、思いのほかすっきりしちゃいましたし」
「なんというか、馬鹿よね。……私もそうなんだけど」
「あ……あなた達……?」
力なく床にへたりこんでいたユエが、不安そうに5人を見回した。
「どうして、まだいるの……? 早く……逃げないと……」
「……」
アオイがユエの前に膝をつく。
そして――勢いよく、ユエに抱きついた。
「……アオ……イ……?」
「僕らが……そばにいる」
アオイはユエの耳元に囁きながら、ユエの心臓に突き立てたクロウナイフを、さらに強く押しこんだ。柄からもユエの口からも、血が溢れた。
「バカ、ねぇ……あたしの身体は……」
「知ってる。だけどあなたが、僕を『死神』と呼んだから――」
ぽたぽたと透明な滴が落ちる。
アオイは、静かに泣いていた。
「僕は、あなたのための『死神』になる……!」
「……あ……!!」
ユエが上げた声は、苦痛のようにも、歓喜のようにも響いた。アオイはきつくユエを抱きしめた。
「もう眠って、ユエ。あなたが眠るまで……こうしててあげるから。ずっとそばにいてあげるから……」
アオイの声を聞きながら、ユエは静かに目を閉じた。
その口から、ため息のような声が、もれた。
「……フフ……あたしの言うこと……聞けないなんて、なんて……悪いコ達なの……?」
――そんな悪いコ達は……もう、いらないわ……?――
それからほどなくして、炎が室内までなだれ込んできた。地下全体を焼きつくすまで収まることはなく。
そして――




