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・ PIERROT ・  作者: 高砂イサミ
第27章
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心臓 -3-


 4人がユエの傍らに集まっているところへ、コウも歩み寄る。向けられた視線は、驚き半分、呆れが半分ほどだった。

「……遅れてスミマセン」

「あのまま……行ってしまっても、よかったのに……」

 疲労の色を濃くしながらも、セイレーンの口調はからかうようだった。コウは顔をしかめた。

「そこまで無責任になれなかったみたいデス。なんか、ユエさん1発殴ったら、思いのほかすっきりしちゃいましたし」

「なんというか、馬鹿よね。……私もそうなんだけど」

「あ……あなた達……?」

 力なく床にへたりこんでいたユエが、不安そうに5人を見回した。

「どうして、まだいるの……? 早く……逃げないと……」

「……」

 アオイがユエの前に膝をつく。

 そして――勢いよく、ユエに抱きついた。

「……アオ……イ……?」

「僕らが……そばにいる」

 アオイはユエの耳元に囁きながら、ユエの心臓に突き立てたクロウナイフを、さらに強く押しこんだ。柄からもユエの口からも、血が溢れた。

「バカ、ねぇ……あたしの身体は……」

「知ってる。だけどあなたが、僕を『死神』と呼んだから――」

 ぽたぽたと透明な滴が落ちる。

 アオイは、静かに泣いていた。

「僕は、あなたのための『死神』になる……!」

「……あ……!!」

 ユエが上げた声は、苦痛のようにも、歓喜のようにも響いた。アオイはきつくユエを抱きしめた。

「もう眠って、ユエ。あなたが眠るまで……こうしててあげるから。ずっとそばにいてあげるから……」

 アオイの声を聞きながら、ユエは静かに目を閉じた。

 その口から、ため息のような声が、もれた。

「……フフ……あたしの言うこと……聞けないなんて、なんて……悪いコ達なの……?」


       ――そんな悪いコ達は……もう、いらないわ……?――


 それからほどなくして、炎が室内までなだれ込んできた。地下全体を焼きつくすまで収まることはなく。


 そして――



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