レクイエム -3-
まっすぐな道がどこまでも続く。いつになってもどこへもたどり着けず、セイジとカナはどちらからともなく立ち止まった。
「迷った……っていう気がするんだけどな」
「うん。もうどれだけ走ったか分からない。これも何かのまじないかもしれないよ」
「どうする? 戻っても、戻れるとは限らないな、この感じだと」
セイジは手近な白い壁に手を当ててみた。特に何も起きない。しかし、手のひらに少しばかり違和感が残ったような気がした。
「あのまじない探知機があったら、ちょっと探ってみたいとこだな……」
「探知機……って、あのベルね」
「代用品になるものとか、なんかないか」
「そんなこと言われても……」
カナが持っているのは、クラブ2本と鞭と、メテオ。セイジに至ってはクロウナイフしか手持ちがない。
「う――――ん……」
「少し休む?」
「……そうするか」
2人は隣り合って腰を下ろした。カナは膝の上で腕を組み、そこへ顔を埋める。
セイジはカナの肩をつついた。
「どうした。……迷ってんのか」
カナは身体を縮めた。
「自信、なくなってきたかも……本気で戦わなきゃ、ユエにはかないっこないのに……」
「……悪いけど、俺は手加減なしでいくぞ?」
「悪くない。私だって、炎のステージや……コウのこと、許せないって思ってる! なのになんで、こんな気持ちになるんだろ……!?」
セイジは手を伸ばした。カナの頭に手を乗せ、わしわしとなでる。
「無理ないって。育ての親の、あんな強烈な想念見せられたんだ。それで普通だよ」
カナがわずかに顔を上げ、横目にセイジを見た。
「私達って……本当に兄妹なのかな……」
「は?」
「私もあんたみたく、割り切って考えられたらいいのに」
一呼吸置いて、セイジは肩をすくめた。
「別に割り切ってるわけじゃないけどな。じいちゃんが『悩んでる間に動け』ってタイプだったから、多分それに似ただけだ。でもアンティークにはよく怒られるよ、『セイジの場合は考えなしなだけ!』ってさ」
「ああ……言いそう」
「そんなのがもう1人いたらアンティークの苦労が増えるだろ。だから、お前はそのままでいてくれよ」
「苦労かけてる自覚あるんだ?」
カナが小さく噴きだした。セイジはその頭を軽くはたき、立ち上がった。
「よし。とりあえず、もうちょい詳しく調べながら進むか」
「ん」
「あっちの方が探索は得意だろうから、先に何かつかんでるかもしれないな。それでこっちもなんとかしてくれねーかな……」
カナも立ち上がって埃を払った。
「組分け、もうちょっと考えれば良かったのに」
「こうなるって分かってりゃな。ま、仕方ないって」
今度は壁をたたきながら、2人はゆっくりと歩き始めた。
++++++




