ご先祖様?
目の前の扉が、ゆっくりと開き出すのを見ながらセラフィーナが言った。
「ご先祖様?」
ヘンリが言うご先祖様とは、この城に関係するものであれば、
「そうです、勇者サトレイです」
深刻な表情のヘンリ。
「あ、なんだあ!」
対象的に一気に明るい表情となるセラフィーナ。
「?」
「もう、安心ですね」
「?」
「だって、ヘンリ様は勇者様の子孫なんだよね」
「はい……」
「なら、助けてもらえますよね」
「何からですか?」
「これから戦う城の魔物の親玉から……悪魔でしたっけ?」
「ああ……」
そういえばセラフィーナは城の魔物、死体を操る残留思念の正体を理解してなかったんだとヘンリは思い出す。
「ご先祖様と子孫が力を合わせたら、悪魔なんかすぐにたおせちゃいますね」
「なるほど……力を合わせられたのならそうかもしれません」
「え? ……られたら?」
セラフィーナも、なんか自分が勘違いしているのに気付いた様子。
「はい。ご先祖様——勇者サトレイは協力なんかしてくれなく……」
ヘンリは眼の前のドアの奥から姿を現した石と化した勇者サトレイの姿を見ながら言った。
「この城の魔物の正体こそが……彼なのです」