セラフィーナの純情
抱き合うセラフィーナとヘンリ。いわくつきの古城の奥に来ているのに、随分と場違いな様子のイチャコラカップルであった。
見つめ合う顔はぐっと近づいて、今にも唇が触れ合いそうな状況で、
グゥるるるるっる……
「——!」
タイミング悪く、操られた死体の出現であった。
さっと体を離し、剣を構えるヘンリ。
「チッ! 良いところで……」
もうちょっとで伯爵家の貴公子を落とせたところで、と悔しそうな表情のセラフィーナ。
しかし、
「セラフィーナど……いや、セラフィーナ。私の後ろに隠れてください」
「えっ(ぽっ)!」
あっさりヘンリが名前呼びしてくれたのに、なんか恥ずかしくなって下を向くセラフィーナ。
というか、彼女の方がヘンリに陥落していた。
領地では不良共とつるみ、問題児として知られたセラフィーナであったが、逆に、本当の恋いを知らない。
というか、仲間に舐められないように、いろいろ経験豊富なふりしたせいで、いまさら実体験はないとは言えなくなってしまっていた不良娘だった。
純情な男を弄ぶ技は悪い仲間から学んでいても、自分の防御はがら空きであった。
「あ……」
呪われた城の中、死体が多数弾け飛ぶのを間近に見ながら、それどころの状態じゃないだろうが……
「素敵……」
「はああああ!」
もうヘンリしか見えていないセラフィーナなので、周りがいくら凄惨な状態でも関係ないのであった。
で、そんなふうに、気になる女子に注目されているので、異様にはりきった男は強い。何者かに操られた死体を次々に倒し、
「敵が消えましたね」
剣を一度、鞘に収めながら言う。
セラフィーナもあたりをキョロキョロして確かめる。
「全部倒しちゃったかな?」
ローゼと別れて城の中に入ってから、いったい何百倒したかわからないくらいに次々に現れていた死体であったが、流石に城にある死体の数にも限りが合ったのか。
「……」
厳しい顔をするヘンリであった。
今、彼らが立つ廊下の奥にある扉を見つめながら、
「前座は終わったということでしょう」
と言った瞬間、奥の扉が糧に開き、
「……御先祖様にに対面です」
不気味な妖気がその中から流れ出すのであった。




