表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
63/66

第63話 完全共有

夜の要塞。


警報が鳴る前に、

帝国兵は気づいた。


白い影。


滑走。


音もなく、

ただ斬り伏せていく。


アルテミス。


残響共有設定値90%。


ブレードが閃く。

ブレードテイルが舞う。


まるで。


後席に“誰か”がいるかのように。


「撤退!撤退だ!」


並のGRASPでは触れられない。


一機で制圧。


夜襲。


白百合は、孤高だった。



だが。


来る。


黒と桃色。


滑るように戦場へ現れる。


GRASP-QΣ《クインヘイデス》。


桃色と黒の外装。

発光ラインは桃色。

片目だけが橙に光る。


ヘイデスの残骸と、

クインスの装甲を継いだ機体。


八槍はない。


代わりに、機動特化。


手には専用ブレード一本。


フィーナが静かに呟く。


「きたよ、レイ」


通信。


「見っけ」


セナの声。


刃がぶつかる。


衝撃が走る。


接触通信が開く。


「生きてる?お二人さん」


煽る。


フィーナは強く返す。


「今回は負けない!」


声はひとつ。


セナが首を傾げる。


「あれー? もう一人は?」


「レイ、答えなくていいからね」


一瞬の沈黙。


「……嘘。生きてる?」


距離が開く。


セナは笑う。


「ま、いっか。どっちでも」


ブレードを構える。


「決着つけよーか」



Σシステム解放。


接続値上限突破。


100。


120。


140。


160。


180。


200。


発光が強まる。


セナは笑う。


「感じる、感じる」


「自分が壊れる覚悟は最初っから出来てるんだよねえ!」


踏み込む。


速い。


ブレードテイルをくぐり抜ける。


斬撃。


アルテミスが受ける。


「くっ……!」


「90でも……!」


押される。


白い機体が後退。


フィーナの呼吸が荒い。


「100……」


一瞬。


躊躇。


「ねえ、レイ」


残響。


「フィーナ」


優しい。


包む。


「全部、共有しよ?」


静かに。


「愛してる」


「私も」


共有接続値。


100%。



アルテミスが、消えた。


目の前にいた。


刃を交えていた。


なのに。


視界から消失。


「……は?」


衝撃。


自分のブレードを見る。


折れている。


「え、なにが……?」


後方警報。


振り向く。


いない。


次の瞬間。


強烈な振動。


クインヘイデスが仰向けに倒れる。


脚部損傷。


制御不能。


「……あーあ」


息を吐く。


「これが、共有タイプ」


桃色の視界が揺れる。


「敵わないにゃあ」


ブレードテイル。


静かに。


コックピットへ。


潰す。


暗転。


停止。



戦場は静まる。


白い機体だけが立っている。


フィーナの中で。


何かが溶ける。


「なんだろう、この感覚」


境界がない。


「レイと溶け合う」


意識が重なる。


「私がレイで、レイが私」


区別がない。


「一体化してるみたい」


呼吸も、思考も、感情も。


「すごく……」


笑う。


涙が頬を伝う。


「気持ちいい」


残響が優しく返す。


「フィーナ」


「愛してる」


「うん」


フィーナは目を閉じる。


「私も」


「レイが大好き」


「愛してるよ」


「ずっと」


「ずっとずっと」


アルテミスの発光が強くなる。


共有率表示。


100%。


波形。


完全一致。


二つではない。


ひとつ。


白百合は、


完全に完成した。


そして。


フィーナは、


もう一人ではなかった。


――永遠に。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ