東京は表裏一体
第2話です!
俺の家は普通の住宅街にある二階建てのコンクリート建てだ。玄関のドアを開け、リビングへ向かう。
「母さん、帰ったよ」
時間は既に夜中の3時を回っていたが、俺がそう言うとリビングに隣接した、一度も開けられたことの無い寝室の扉の向こうから声が聞こえる。
「よかった…あんたが居なかったら私は…」
何かを引っ掻く音が聞こえる。まあ、いつもの事だ。俺の普通の日常。
母さんは朝早くに家を出て、俺が家に帰るより先に家に帰り、俺の分のコンビニ弁当をテーブルの上に置き、後は寝室で引きこもっている。
顔を見たのは、1度だけ風邪をひき、早く家に帰ってリビングのソファで寝ていた時。ドアが開き、思わず振り向き母さんの顔を見ると、サングラスとマスク、フードを被っていた。
目も、口も鼻も、髪でさえも、よく分からなかった。
でも俺は、それそれについて言及しなかった。何故なら、母さんが俺を心配してる態度をとりながら顔を見せないのと同じで、俺も母さんを心配はしてるが3割くらいどうでもいいと思っているからだ。
「ねえ、早くご飯を食べて、早く寝るのよ…」
扉の奥からそう聞こえた。気付けば、引っ掻く音を止め、寝込んでるのだろう。
俺はコンビニの弁当、いつもと同じやつを食べ、風呂を沸かして入り、二階の自分の部屋で眠った。
朝7時、リビングに降りると、昨日のコンビニ弁当と一緒に買ってあったパンを食べる。母さんは既に外出していた。
支度をし、家を出る。その時、スマホが鳴った。久しぶりの事だったから少しびっくりしたがスマホを見ると、端末には『塩崎 泰斗で〜す』と書いてある。
確か連絡できるアプリで友達になったのか。メッセージが届いていた。
「おはようございます!今日は学校ですかね〜?放課後にお迎えしますので、学校の場所と時間を教えてくださいね〜」
俺は学校の場所と放課の時間を送り、学校に向かった。後に泰斗から可愛らしいスタンプが送られてきた、こんなふうにメッセージを送り合うことは初めてだった。
授業中も、なんだかわくわくして、いつもとは違う感覚がした。
放課後、校門前に車が停まっていた。他の人がチラチラとその車を見ながら通り過ぎる。今改めて見れば、赤色のオープンカーなので、とても目立つのだろう。
俺はそれの助手席に乗り込むと、そのまま発進した。泰斗が隣で話しかけてくる。
「こんにちは〜。軽くですが、色々説明しなきゃいけないと思いましてね?まあ、僕たちにも分からない事は沢山あるんですけど…あ、コンビニで何か買います?もしよろしければ何か奢りますよ〜」
コンビニか、最近は友達と帰ることも無くなってきてたからあまり行ってなかったな。
「じゃあ、お願いします」と俺が言うと、そのまま車はコンビニへ向かった。
俺は水を選んだが、泰斗が「ほんとになんでもいいんですよ〜?」と言うので、試しにコーラを買ってもらってみた。泰斗は沢山のシュークリームとプリンを買った。
コンビニを出て、泰斗が右手でシュークリームを食べながら左手で運転する。
「そういえば、僕の能力について説明しますね。僕の能力名は『時間観測者』です、能力は、時間を1秒だけ巻き戻す事が出来ます」
「ザ・ウォッチャー…その名前は、どこから?」多分、至極真っ当で多分的外れな質問だったのだろう。
泰斗は優しく教えてくれた。
「昨日、フィルムの事、勝手に口から出ましたよね?それと同じです。頭に勝手に入ってくるんですよ。祐介くんも能力が発現すれば分かりますよ〜」
祐介は不思議そうな顔をしながらコーラを1口、口に入れた。彼には初めての刺激すぎてしかめっ面をしたが少し我慢して飲み込んだ。
車は都市部を走っている。ビルとビルが隣接し、たまにその間が空いている。
そして、少し経った後、泰斗が「あら、信号ですね〜、もう1つ空けてしまいましょうか…あ、祐介くんも要ります?」と言いながらシュークリームの袋を空け、祐介の方を向いた時、既に祐介の姿は助手席には無かった。
ほぼ同じ時間、祐介の視点
ここは、ネオTOKYO?何故…?さっきまで助手席にいたと思ったら、なにかに引っ張られて…ここに
そう思った次の瞬間、後ろに気配がした。
「こちらを向いても向かなくても構わない。端的に、ここはネオTOKYOで間違いない。俺達がお前をさらった。理由は、お前を止めるためだ」
背後の人間はそう言い、肩をぽんぽんと叩いた。俺は
「お前は誰だ?昨日の影のやつ…?それに、止めるってどういう事だよ!」
と言い、後ろを振り向いた。
その人間は、ハットを深く被り顔は見えなかった。口元は真っ直ぐ横に線を入れたみたいに無表情と言えるものだった。
「俺はお前の思い浮かべてる人間では無い。俺は管理人側の人間だ。お前はおろか、他の全てのネオTOKYOへ入った人間の場所まで分かる」
と言われた。「オーナー?ここはどういう場所なんだ?泰斗さんは教えてくれなかった」と俺が言うと、その人は
「そうだろうな、ここは俺達にしか分からないからな。摂理については直感で分かるようにしてもらったんだが、詳細は明かさないようにしている」
と言い、続けて
「俺の名前は『謎の恩人』と呼べばいい。勿論、本当の名前もあるが、ここではロピーとでも呼んでくれればいい」と言った。
「じゃあ、ロピー、お前は俺を止めるって言った。それはどういう意味だ?俺はまだ止められる事なんて一つも…」そう言いかけた時
「いいや、したさ。お前は、このネオTOKYOに入ってしまったからな。一応忠告だけはしておこう、ここは『裏』の世界。ここに来る人間は一般的に見て普通の人生を送ることはないだろう。それでも、お前はここを捨てずに関わり続けるのか?」と、途中で言葉を切られた。
俺は、自分がこれからも『あんな風に』生きるのは嫌だと思った。あれだけの事が起きて、魅力的に思わない事なんて出来るのだろうか…
「俺は、ここで生き残る。何が起きても、毎日を『普通』に生きるよりは楽しいだろ?」自分の口から出たとは思えないほど、希望に満ち溢れた言葉だった。
それに対し、ロピーは
「ふん、ならいい。だが覚悟はしておけ…ネオTOKYOは、東京のように『隠された闇』では無いぞ…この世界には正義も悪もない、誰もが自分の目的の為にここを使う。まあ、忠告するだけ無駄だろうな」と言い、俺を蹴り飛ばした。
次の瞬間、俺は泰斗の車の後ろの席に乗っていた。ぼふんと音が鳴ったので泰斗も気付いたのかミラーで確認した。
「あら、戻ってきましたね〜。多分、ロピーさんに会ったんですよね?死んだかと思って焦りましたよ〜?」なんて泰斗は言う。
俺は、ロペに会った事、ネオTOKYOに関わり続ける事を決めた事など、色々を話した。すると泰斗は
「あはは、やっぱりですね〜。だって、学校の帰りにこっちに歩いてくる祐介くんを見た時、とってもわくわくしてましたもん」と言い、シュークリームを齧った。
あぁ、やっぱりそうか、俺の中で渦巻いていた気持ちに間違いはない。まるで『引き寄せられるように』、あんな死地を助けてもらったというのに。
「はい、俺はネオTOKYOで暮らしていくつもりです」と、言い泰斗を見た。
泰斗は微笑みながら車を走らせるのみだった。
ども、すみおです!
やっぱりこういうのを書いたり想像するのは楽しいね。
これからもマイペースに投稿していきたいと思いますのでよろしくお願いします!




