炎上するよ
・・・・・・。
漆黒の闇を紅蓮の炎が染めあげる。
無数の火の粉が空へと吸い込まれて行く。
ぱきっ、ばきっ。
ゴトンっ。
周りじゅうに全てを焦がし消し去ろうとする音がする。
今まさに炎はありとあらゆるものを焼き尽くそうとしていた。
「殿っ!もはやここまでかと」
「是非もなし」
男はくるりと背をむけ、交戦するのを止め、だらりと構えた白刃を降ろした。
「しばし持ちこたえよ」
「はっ、命に代えましても」
「頼む」
炎の中へ消えゆく男。
炎で赤い部屋の柱は一本一本と崩れ落ち、男は薄らと笑った。
人間五十年
下天のうちをくらぶれば
夢幻のごとくなり
一度生を受け
滅せぬ者のあるべきか
「なんちて」
ひとしきり舞った、男はニヤリと呟き、右手を突き上げる。
それを合図に先程の家臣が叫ぶ。
「はーい。撤収~、みんな消火活動っ!」
一斉にわらわらと人が集まり、証拠隠滅へと取り掛かる。
「爺、父上に見つかってはならぬ。万事怠りなくやれ」
「ぼっちゃま、合点、委細承知でございます」
ごーぉごーぉごーぉ。
ばきっ、ぼきっ。
しゅわーしゅわーっ。
ドタバタドタバタ。
「急げ〜」
「そこまだ燃えとるぞっ!」
炎に消火、それに喧騒。
燃え盛る屋敷を背に、腕を組んだ男は高らかに笑う。
「うわっははははははははははははははっ!これぞブルジョアの為せる御業よ」
「ほっちゃま、ほどほどに」
諫める爺に、
「よいよい、今日は無礼講じゃ」
炎上する建物をうっとりと眺めるボン。
まさにこれが金持ちの・・・。
「戯れじゃ」
こんなのは嫌だ(笑)。
※当方、個人的夏休みに入るので、しばし投稿はお休みします。
よろしくお願いいたします。




