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第十八話 クールな風雷のトルマリン


 辺り一帯を包むように、力強くも優しい風が巻き起こる。

 それによって舞い上がった落ち葉がスルスルと一箇所に集められると、澄んだ青い瞳のジェレメジェバイトが感嘆の声を上げた。


「はー……マリンちゃんは本当、凄いよね」

「とんでもございません。お役に立てましたなら幸いです」


 ジェレの言葉に振り返るのは、鮮やかな緑の瞳をしたトルマリン。瞳の虹彩に桜の模様を持つ彼女は、風や電気に関連する魔力に秀でた宝石だ。今は、偶然会ったジェレの落ち葉清掃を手伝っている。

 相変わらず真面目でクールなトルマリンに、ジェレは長い銀髪のポニーテールを揺らして微笑んだ。


「汚れ落としなら俺の浄化でいけるんだけど、こういうのは時間がかかるから助かったよ」


 ジェレメジェバイトは、シキオンジェムズと呼ばれるヒーローの一人である。彼らの主な任務は、シキオンの街の清掃活動だ。しかしジェレの得意分野は浄化能力による清潔保持の為、今回のような作業の場合は一般的な道具を使っている。


「掃除自体は、好きだからいいんだけどさ」


 そう言って竹ぼうきを握る彼に、トルマリンは『ふむ……』と顎に手をあてた。


「……では、効率のよい道具を作りましょうか。風の広がり方を自由に変えられるブロワーなど、如何でしょう?」


 機能は、風量の調整や集塵だけに留まらない。先程トルマリンがやったような、対象を囲い込む風を起こせるブロワーなら、時間短縮ができる。ちなみに動力源は、トルマリンが既に作っている長持ち電池とのこと。

 そんな提案をする彼女に、ジェレは美しい青の瞳をますます澄み渡らせた。


「マリンちゃん、それ作れるの!?」

「可能です。私の風と電気の魔力の合わせ技ですから、むしろ作りやすい道具です」

「かっこいい……!!」


 くいっとスクエア型の眼鏡を上げるトルマリンが、ジェレにはいつにも増して輝いて見える。


「じゃあ、いつでも構わないから頼めるかな?」

「承知致しました。ジェレさんと、シキオンジェムズの他のお二人の分と予備を一つ、ご用意致します。追加機能の要望などありましたら、ご連絡ください」


 その抜かりない返答とスラスラ紡がれる言葉は、あまりにもトルマリンらしい。

 ジェレは楽しそうに笑って、彼女を見つめた。


「ふふ、ありがとう。楽しみにしてるね。あ、でも、ほんとに急がなくていいからね」

「お気遣い痛み入ります。ご心配には及びません」


 優しいジェレの心遣いに小さく笑みを浮かべ、トルマリンが応える。

 特製ブロワーがシキオンジェムズそれぞれのカラーをしていて、メンバーに大変喜ばれたことは、また別の話。



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