6-10「届かなかった一撃」
クレージュが踏み込む。
限界の先。
最後の一歩。
「――終わらせる!!」
叫びと共に、剣を振り上げる。
アルシェリアの力が重なる。
リシェルの光が流れ込む。
フランソワーズが側面から斬り込む。
四つの力。
全てを乗せた――
最後の一撃。
⸻
グラディオは、動かない。
ただ静かに。
それを見ている。
「……来い」
小さく、呟く。
⸻
振り下ろされる。
刹那。
世界が止まったように感じる。
⸻
バチィィィィィィン!!!!!!
激突。
衝撃。
光と灰色が弾ける。
空間が歪む。
王城が震える。
⸻
クレージュの剣が――
確かに届く。
グラディオの身体を捉える。
亀裂が広がる。
深く。
確実に。
⸻
「……っ!!」
クレージュが歯を食いしばる。
(押し切れ……!)
力を込める。
全てを。
残り一滴まで。
⸻
だが。
その瞬間。
グラディオの目が、わずかに細くなる。
「――十分だ」
静かな声。
次の瞬間。
灰色が爆ぜる。
⸻
ドォォォォン!!!!
凄まじい衝撃。
クレージュたちが弾き飛ばされる。
床を転がる。
壁に叩きつけられる。
「ぐあっ……!」
息が詰まる。
視界が揺れる。
⸻
煙の向こう。
グラディオが立っている。
傷はある。
確かに。
だが――
致命ではない。
「……ここまでか」
淡々と。
事実だけを告げるように。
⸻
クレージュが立ち上がろうとする。
だが。
膝が震える。
力が入らない。
(……もう……)
限界。
完全に。
⸻
アルシェリアも膝をつく。
「……維持できない」
リシェルも崩れ落ちる。
光が消えかけている。
フランソワーズが歯を食いしばる。
だが。
満身創痍。
⸻
グラディオは一歩だけ前に出る。
「回収は……次でいい」
その視線が、リシェルに向く。
「条件は確認した」
「成果は十分だ」
クレージュの目が見開く。
(最初から……)
(試してたのか……!)
⸻
グラディオは続ける。
「次は完成させて来い」
「その方が価値がある」
淡々と。
まるで――
育てるように。
⸻
クレージュが歯を食いしばる。
「ふざけんな……!」
立ち上がろうとする。
だが。
身体が言うことを聞かない。
⸻
グラディオが手を上げる。
灰色の光。
転移の兆候。
「待て……!」
届かない。
足が動かない。
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その瞬間。
グラディオがわずかに笑う。
「次は殺す」
その言葉だけを残して――
消えた。
⸻
静寂。
完全な。
戦いの終わり。
⸻
クレージュは、その場に崩れ落ちる。
「……くそっ……」
拳を握る。
床を叩く。
守れた。
だが。
倒せなかった。
⸻
リシェルがかすかに言う。
「……生きてます」
その一言。
それが全てだった。
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フランソワーズが深く息を吐く。
「……撤退したか」
アルシェリアが小さく呟く。
「次が来る」
エイドの声も続く。
「確実に」
⸻
クレージュはゆっくりと立ち上がる。
足は震えている。
だが。
目は死んでいない。
むしろ――
強くなっている。
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「……次で終わらせる」
静かに言う。
誰に向けたでもなく。
自分自身に。
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王城の外。
夜はまだ続いている。
だが。
戦いは一つ、区切りを迎えた。
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そして――
新たな段階へ。
お読みいただきありがとうございます。
次回もお楽しみに。




